野村監督の辞任発表を奮起の材料として、2年連続で”甲子園大勝利”を目指した広島が第2戦延長12回コールドゲームという異例の終焉を迎えた。
第1戦は1-0で阪神が先勝。きょうの第2戦に引き分けると、仮に第3戦を広島が取っても1勝1敗1分となり、レギュラーシーズン上位の阪神が勝ち抜けとなるためだ。
そういう意味では広島は133戦目、10月1日のマツダスタジアムでの阪神戦、6日の同じく巨人戦、「勝つか引き分けで2位確定」のこの試合をともに落としたことがけっきょく最後にツケ傷となって還ってきたことになる。
振り返ってみると1日の阪神戦もきょうと同じ大瀬良と能見の投げ合いで始まり結果的には2対4で競り負けた。本来なら阪神ベンチが硬くなるべき試合だったがなぜか広島ベンチの方がバタついていた。
まだ野村監督の辞任が明らかになっていなかった6日も二軍再調整を終えたばかりの巨人先発・宮国を攻略しきれず1対0の六回、前田健太が痛恨の同点ボークを犯した。それでもこの試合、「二番・菊池」は二塁打2本、「三番・丸」は2つの四球を選んで塁に出た。
野村監督が辞任を発表した10月8日、主力野手は宮崎・日南市に乗り込みみやざきフェニックス・リーグのロッテ戦で調整を行った。
相手の先発は「仮想能見」の左腕・植松。野村監督は以下のオーダーを組み、3位からの日本一に向け準備を整えた。
一番ライト・鈴木誠也
二番セカンド菊池
三番センター・丸
四番ファースト・エルドレッド
五番レフト・ロサリオ
七番サード・小窪
八番キャッチャー・石原
ところがきょうのスタメンを見ると、一、二番に菊池と丸、三番にロサリオ、四番にエルドレッドはメッセンジャーの前に不発に終わった昨日と同じ並び。さらに五番梵、六番小窪、七番鈴木誠也、八番會澤、だった。ちなみに丸は今季、能見に対して10の0、菊池も9の1と抑え込まれていた。
今季のレギュラーシーズンで菊池と丸が一、二番を打った試合は一度しかない。
交流戦でいきなり3連敗を喫し、しかも2試合続けて1点しか奪えなかったため、交流戦4戦目で野村監督が動いたからだ。だが、それも空振りに終わり、その後この”並び”は封印された。その結果、菊池は最多安打一歩手前の活躍で144戦を終え、丸も最高出塁率に「毛差」の素晴らしい成績で144戦を駆け抜けた。
ところが、クライマックスシリーズを勝ち抜くための”秘策”として野村監督は一番・菊池、二番・丸の封印を自ら解き、そして結果的には21イニング連続無得点の不名誉な記録とともに赤いユニホームを脱ぐことになった。
就任1年目に「1点を大事に、守り勝つ野球」を標榜した野村監督。3年目あたりからは「超攻撃型野球」へのシフトも試みた。
その集大成となるはすの2度目のCSの大舞台。赤いスタンド風景は1年前と同じだったが、野村監督の目指した野球スタイルは最後までその”本質”がはっきりしまいまま、東京ドームに”殴り込み”をかけた昨年より一歩後退の幕引き…、となったのである。