川面に映る広島の”表情”、被爆70年。見事な復興を遂げた広島市だが都市間競争という”相対評価”では確実にその地位が低下し、札仙広福ではひとり負け…。経済的にも文化的にも市民が安全・安心・豊かに暮らせる街でなければ、この美しい風景の未来への継承も、世界平和を訴える声も長続きはしない…
広島市長選を見据えて、小谷野薫氏が動き出した。2月15日、広島市中区の会場におよそ130人の市民が集まり、ニコニコ動画を通じて所信表明が行われた。
1時間を超える話を”アドリブ”できっちりまとめた、こやの氏の当日の発言内容の一番肝の部分の要旨は次のとおり。
広島の現状を見てみると、被爆から力強く復興を果たした底力が全く活かされていないような停滞感を感じます。
また、広島市政に市民の声が反映されていないんじゃないでしょうか。
変わらない行政への失望感、絶望感をひしひしと感じています。
これは決してスタジアム建設に限ったことではありません。広島の都市力を活かすことなく、活気が失われていることは非常に残念です。
日本の中核都市は、比較的周辺から人口を吸引しやすく、人口が増えやすい状況にあるのですが、平成二十三年(2011年)三月末から今年初めまでの四年間の人口増加数・増加率を札仙広福(札幌・仙台・広島・福岡)で比較すると、福岡は五万三千人、3・6%増、仙台は三万二千人、3・1%増、札幌は二万九千人、1・5%増。これに対して広島は一万三千人、1・1%増にとどまっています。
参考までに岡山市は一万六千人、2・3%増。既に広島の広域都市圏全体では人口が減少に転じていますが、その全体を支えるためにも中核である広島市は魅力的な街づくりを行い、これまで以上に域外から人口を集め集積させる必要があります。全国規模の企業の地域会議は広島ではなく、福岡や岡山で開催されることが増えています。
現状のままでは、たとえば道州制が導入された場合、州都が岡山になる恐れも十分にあると危惧しています。
サッカーのシーズンオフには友人が広島に遊びに来て案内もしましたが、週末の中心部、繁華街の人の少なさには皆んな驚くんです。私も全国の中核都市を訪れていますが、中心部の閑散とした様子…。これは考えなおしていく必要があります。
札仙広福で家計調査の統計についても見てみましょう。
四年前と二年前に勤務先から得られた収入の増減を比較すると、札幌4・8%増、仙台は37・2%増(震災により激減があったため)、福岡市は3・1%増。これに対し広島は8・5%減で一人負けという状況です。
広島市の家計所得は札仙広福では高い方だったのですが、こうした状況が続けば都市としての魅力が無くなってしまいます。
新しい人を呼び込めないだけではなく、若年層の人口流出を招いてしまうのです。すでに中間層の流出率は高くなっています。広島は本当に地盤沈下してしまいます。
広島市はこの四年間、緊縮財政を取りながらも実は収支が悪化しています。
前市政からの継承事業を続けながら、都市づくりのビジョンがないままに無為に過ごした四年間ではないでしょうか。行政運営としては完全に詰んでいる、沈んでいくのを待つ行政になっているということです。
一方で事務事業の見直しでは、行政のツケを市民に回すような状態になっています。
これだけでも十分に酷い話ですが、行政が無策で支出減らしばかりしていると、さらに景気を悪化させ、縮小均衡に陥ることになります。
すぐにでも経済縮小、都市の魅力低下を避けなければいけません。
民間の力を活用し広島の持つ底力、潜在力を解き放てば、まちの雰囲気も市民の暮らしもガラリと変わる可能性があります。
広島は眠っている宝の山のように見えます。
目覚めよ広島!
危機感と希望を持って、
夢を語ることが憚られるようなムードではいけないのです。
こやの・かおる(小谷野薫)プロフィール
1963年1月27日生まれ(52歳)1981年私立開成学園高等学校 卒業
1985年東京大学教養学部教養学科 卒業
野村総合研究所 入社
1990年ニューヨーク大学経済経営大学院 卒業
MBA(金融専攻)及び経営工学MS(数理統計学専攻)両修士プログラム終了
野村企業情報(当時)への出向などを経て、 経営再建、事業提携、民営化の専門家となる
1998年野村証券金融研究所設立に参画
1999年日興ソロモンスミスバーニー証券会社(後の日興シティグループ証券)に移籍
2002年よりマネジング・ディレクター2005年クレディ・スイス証券会社に移籍
M&A本部長として入社、投資銀行本部長 など歴任後、独立
2012年サンフレッチェ広島 取締役 就任
2013年サンフレッチェ広島 社長 就任
2015年広島市長立候補予定のため社長退任
主要対外活動
- 株式会社ジェイリーグエンタープライズ取締役(2014-2015)
- JFA/Jリーグ戦略構想委員会委員(2014-2015)
- 株式会社エディオン顧問(2010-2015)
- 早稲田大学大学院商学研究科(ビジネススクール)国際ビジネス戦略論講師(2010)
- 慶応大学総合政策学部M&A特別講座講師(日興シティグループ証券同僚と共同)(2002)
- 企業会計審議会第一部会(企業結合会計)参考人 (1999)
- 日本公認会計士協会実務補修研修講師 (1997-1998)
- 国学院大学経済学部講師(企業財務論)(1996)
過去の主要な関与案件
- 東京三菱UFJグループによる米ユニオン・バンク・オブ・カリフォルニア(ユニオン・バンカル)の完全子会社化に関するユニオン・バンカル特別株主委員会へのアドバイス (2008)
- ローンスターへの東京スター銀行の売却(買収者はアドバンテッジ・パートナーズ)に関するアドバイス (2007)
- 北越製紙への王子製紙からの敵対TOBに関する買収防衛アドバイス (2006)
- みずほコーポレート・りそな両銀行へのウェスティン・ホテル(旧青木建設所有)売却(買収者はスターウッド・キャピタル)に関するアドバイス (2005)
- ブルドックソースへのイカリソース経営再建に関するアドバイス(2005)
- 産業再生機構へのミサワホームのトヨタホームへの売却に関するアドバイス(2005)
- アビーム・コンサルティングの売却(買収者はNEC)に関するアドバイス(2004)
- パワードコムへのフュージョン・コミュニケーションとの合併に関するアドバイス (2004)
- セイコーエプソンへの三洋エプソンイメージング・デバイス社設立(三洋電機とのTFT液晶事業統合)に関するアドバイス (2004)
- フジテレビジョンへの豪ニューズコープ社保有のスカイパーフェクTV持分取得に関するアドバイス(2003)
- 日興コーディアル証券と共同アドバイザーとして松下電工への松下電器産業との事業再編・子会社化に関するアドバイス(2003)
- 日立製作所への北米ブラウン管TV事業売却 (買収者は仏トムソン・マルチメディア社) に関するアドバイス(2002)
- 富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)への富士ゼロックス持分25%取得に関するアドバイス(2001)
- 米AOL社へのNTTドコモとの合弁会社(ドコモ・AOL)設立に関するアドバイス(2001)
- 米ヒューズ・エレクトロニクス社へのディレクTVジャパンとスカイパーフェクTV社統合に関するアドバイス(2000)
- 北九州コカコーラボトリングへの山陽コカコーラボトリングとの合併
および米コカ・コーラ社からの出資受け入れに関するアドバイス(1999~2000) - 郵政省電気通信事業局(当時)へのNTT持株会社設立
および東西地域会社分割に関するアドバイスと検討会議の事務局(1995) - ハンガリー政府、チェコ政府への国有企業民営化へのアドバイス(1994~95年)
- 証券取引所開設に関するヴェトナム財政当局への民営化アドバイス(1994~95年)
- 日本たばこ産業の株式上場に関する大蔵省理財局国有財産総括課(当時)へのアドバイス(1994)
主要論文(共著は全て主執筆者のもの)
- 「金融資本市場からみた企業結合会計」(『企業会計』2000年9月号、中央経済社)
- 「利用者の視点からみた企業結合会計」(『COFRIジャーナル』季刊1999年12月号、財団法人企業財務制度研究会)
- 「企業経営の変革と評価尺度(2)」(第5回SAAJセミナー論文集「変革が期待される企業経営と株式評価」所収、1999年7月、社団法人日本アナリスト協会)
- 「エコセミナー:グループ経営は日本企業をこう変える」『週刊エコノミスト』1999年7月6日号~10月12日号にわたって12回連載)
- 「変貌する日本企業のグループ経営」(『財界観測』1999年3月号、野村證券金融研究所)
- 「米国大企業の財務管理」(共著)(『財界観測』1999年1月号、野村證券金融研究所)
- 「市場型ガバナンス実践への視座-ROE, EVAを越えて-」(共著)(『財界観測』1998年6月号、野村證券金融研究所)
- 「イギリス経営者買収の我が国への示唆-大企業再生への「起業」戦略-」(共著)(『財界観測』1997年5月号、野村総合研究所)
- 「西欧先進国の民営化と株式市場」(共著)(『財界観測』1995年8月号、野村総合研究所)
- 「米国のコーポレート・ガバナンス」(『財界観測』1992年5月号、野村総合研究所)
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