画像は昨年、オープン戦時のもの
広島の鈴木清明球団本部長が3月17日、円陣で声出しの際に最大1万円の金銭授受が行われていたことを発表した。
広島ではNHKも夕方ニュースで報じた。
何とも間が悪い。3月17日付、地元紙の中国新聞一面「天風録」には、「声出し」について「だが、巨人を振り出しに”実はうちも”と後から後から名乗り出てきた球団を比べると似たような面があるような、ないような」と記されている。
中国新聞流に言えば広島も巨人と似ているような、そうでないような…、ということか?
だが、違う。
広島はメディアグループが支える巨人、電鉄の阪神や西武、そして巨大企業のソフトバンクとは存在理由自体が違う。戦後の復興の証、市民球団…。
それゆえに唯一、広島市民球場(マツダスタジアムのこと)を本拠地とし、市民球場の中に球団事務所まである。
マツダスタジアムでは旧広島市民球場時代とは様子が一転、カープの試合最優先のスタジアム運営に変わってしまったとはいえ、高校野球、少年野球でも使用する。
そのベンチ前や外野で円陣を組み声だしをしていた。あってはならない事態だ。
カープ球団は去年の今頃も公正取引委員会から「カープグッズ」などの関係業者を「買い叩いた」として「勧告」を受けるという通常では考えられない事態が起きた。全国的にすべての業種で見てもレアケース。それがプロ野球を興業とする組織で起きた。しかし球団としてホームページで詫びることもなく、まるで何もなかったかのように今に至っている。
あす、広島市役所では「市民球場運営委員会」がある。
昨年の同委員会ではただひとり、「勧告」について尋ねた委員がいたが、大きな話題にならなかった。
広島球団は市議会を経てマツダスタジアム指定管理者となっている。年間200万人以上を動員できるのも、こうした”恩恵”にあずかっていることが大きい。
広島市も市議会も、今回もまたスルーするのだろうか?
それにしても…
2004年の球界再編問題勃発の時、12チームが10チーム、8チーム、1リーグ統合の運命にあった時に、経営者側も選手会もプロ野球の再生を目指したのではなかったのか?
その当時、奮闘した各チーム選手会長ひとりに巨人の高橋由伸監督もいる。
2004年、1リーグ制への「破滅のシナリオ」の”主筆”であった巨人、渡辺恒雄球団最高顧問もこのたび、巨人の新たな野球賭博問題発覚を受け辞任した。
長年にわたりプロ野球界の中心にいた「ナベツネ」退場…、と報じた全国紙もあった。2004年にも再編騒動の中心にいたが、巨人の有力大学生投手を巡る裏金問題がすっぱ抜かれ、責任を取りオーナーを辞任。それから12年でまた同じことが起きた。
広島も2004年には近鉄同様、消滅する運命にあったとその「破滅のシナリオ」には記してあった。
原爆で壊滅した都市の復興の象徴、その存在は戦後70年以上を経ても変わるものではない。
マツダスタジアムは特別な意味を持つ。今、広島ではサンフレッチェ広島のサッカースタジアムが暗礁に乗り上げているが、マツダスタジアムも同様に長い年月をかけ難産の末に誕生したことを忘れてはいけない、市民の熱い思いによって…
広島新サッカースタジアム取材班