トップ画像はドリブルで振り切りにかかる熊本・古野拓巳を追いかける#2村上駿斗、左端#0 ジャマリ・トレイラーはこれが地元デビュー戦、その右に熊本#8ジョッシュ・ドゥインカー、熊本#30はテレンス・ウッドベリー
熊本ヴォルターズ相手に、声が枯れるほどの気迫を見せた北川弘がマンオブザマッチ
B2レギュラーシーズンは前節終了時点で残り3分の1、20試合となった。
西地区所属の広島ドラゴンフライズは20勝20敗、勝率5割で4位。
首位を行くライジングゼファー福岡は33勝7敗、勝率8割2分5厘。3ゲーム差で2位につける熊本ヴォルターズは29勝11敗で勝率7割2分5厘。3位は愛媛オレンジバイキングスで23勝17敗、勝率5割7分5厘。
東地区、中地区と合わせて3地区でレギュラーシーズン首位フィニッシュならB1昇格への登竜門、プレーオフに参戦できる。
さらにもう1チーム、各地区2位で最高勝率のチームがワイルドカードでプレーオフ4枠目に滑り込む。
ワイルドカード1位もやはり熊本ヴォルターズ。
広島ドラゴンフライズはここでも5位集団に甘んじている。
広島ドラゴンフライズはしかも年明け、リーグ戦再開の最初の2連戦、1月20日、21日の熊本総合体育館で熊本ヴォルターズに86-97、76-88のスコアで連敗を喫した。さらにそのあとの香川ファイブアローズ戦でも連敗…
けっきょく1月は4戦全敗。2月に入っても〇●〇●〇●と連勝なしで月間3勝3敗。ワイルドカード争いでも後手に回る結果となったが、すべては熊本から始まった、と言っていい。
熊本ヴォルターズの保田尭之ヘッドコーチは「広島さんは最大のライバル」と言い続けている。2014年、同チームのアシスタントコーチに就任。震災の苦難も乗り越えB1昇格へ燃える中、昨季は広島ドラゴンフライズにワイルドカードをさらわれたのだからそれも当然だ。
熊本ヴォルターズ・保田尭之ヘッドコーチ
後列に熊本ヴォルターズのブースター
「プレーオフが本当に手のとどくところまで来た」のに届かなかった。その悔しさが今季の熊本ヴォルターズの躍進に繋がっている。
残り20試合での1敗はこれまでの何倍ものダメージになる。広島ドラゴンフライズは覚悟を決めてB2での2シーズン目を完走することになる。
ファンの期待は大きい。土曜日午後6時半TIP-OFFのゲームに1862人もが集まり両チームに大声援を送った。
勝ったのは広島ドラゴンフライズ。第1クォーター、開始2分ちょっとで0-9と後手に回ったが北川弘の9得点で盛り返し17-19で第2クォーターへ繋いだ。
第2クォーター、今度は朝山正悟兼任ヘッドとテレンス・ドリスドムが9得点。スタンドが沸き返る中、40-31と逆に9点リードで後半へ。
第3クォーターは18-23で4点差に詰め寄られたが、最終クォーターで27-20と理想的なゲーム運び。10分間フルタイム出場した村上駿斗が8得点、高い身体能力を発揮し続けたテレンス・ドリスドムが11得点。逆転へ執念を見せる熊本ヴォルターズも執拗に食い下がってきたが、この試合で大事なものを取り戻しに行った広島ドラゴンフライズの方がそれを上回った。
第2クォーター、フルタイム出場して試合を流れをコントロールした朝山正悟兼任ヘッド(第4クォーターもフル出場)
第3クォーター、相手の猛反撃に耐える広島ドラゴンフライズ
試合後の朝山正悟兼任ヘッドの話
「先週1試合目(愛媛オレンジバイキングス戦)を落としてしまったんですけど、この3試合を通してようやく自分たちのやりたいバスケットができてきたんじゃないかな、と僕自身思っています。今日に関して言えば、相手のキーマン(ポイントガード、司令塔の)古野選手のところをポイントガード陣がしっかりとした気持ちの中で戦ってくれた。それと最近、調子のいい8番のジョッシュ(ドゥインカー)選手(身長211センチは広島ドラゴンフライズ最長のジャマリ・トレイラーの203センチより上)に関してもアジャストしてくれました」
「前回、アウェーで年明け一発目、非常に大事な試合でやられてしまった。レギュラーシーズンでの熊本さんとの試合は今回が最後になりますので、ここでやり返すしかないと。そういったことをモチベ―ションにここ一週間準備してきました。ただ、2日間を通してやりきることが重要。向こうも連敗はできない状況だと思います。それを受けることなくまた40分間、自分たちのバスケットをやりたい」
「(連勝に向けては)やはり古野選手がキーになり、彼から7割、8割は攻撃が生まれる。きょうこの結果で彼は必ず次の日に必ず修正してやってきます。それをしっかり持っている選手です。それに8番と30番の(テレンス)ウッドベリー選手が乗ってきてしまうと熊本の90点ゲーム、100点ゲームになってしまいます。まずはそれをやらせないこと。きょうはポイントガード陣、北川と村上がやってくれましたので、今日以上の気持ちを持ってチャレンジャーのつもりで戦ってもらえればいい」
#ジョッシュ・ドゥインカーをマークするジャマリ・トレイラー
北川弘の話
「(第1クォーターの反撃は)きょうはたまたまシュートを打ったのが僕だっただけ。チーム全体で戦って勝てた。ライバルの 熊本さんに勝てたという部分では、ここ何試合かチームとしてよくなっている部分は多かったのでそれを出せたと思う。古野選手は僕がプロになって、ひとつ下ですがB2でもすごくいいガードだとずっと思っています。どうしたら古野君を止められるかずっと考えて、彼の映像も見て、僕がやられて嫌なことをやって彼のリズムを少しでも崩すことができればチームの歯車も狂うんじゃないかと思いました。彼の個性を僕の個性で消したいなと。ライバルと思っていますし、今日は3点に抑えて、まあ9アシストはさすがだなと…」
スターターの北川弘は第1クォーターを終えてテーピング、村上駿斗が第2クォーターのコートへ…
村上駿斗の話
「まずディフェンスから相手のガード陣にプレッシャーを与えて、流れを作ることを意識して試合に入りました。今シーズン、北川選手がスタメンで出て、僕が控えから出ていく中でさらにいいディフェンスでハッスルできるようにとそう心がけてやっています。それがコートの上で表現できたことは良かったですね。ミドルのシュートに関しては自信を持ってやってきました。きょうはディフェンスで流れを作って、シュートまで持っていくことができて良かったです。古野選手、並里選手には前回、熊本で僕自身、ドライブでやられていたし、ふたりを中心に何回もオフェンスを成功させてしまったので今日は絶対抑える気持ちで試合に臨みました」
第4クォーター、ミドルを放つ#1村上駿斗(左端)、その右奥に朝山正悟兼任ヘッド、その後方で腕組みするのは山田大治兼任AC、中央奥の#2は熊本司令塔の古野拓巳、右端で#8ジョッシュ・ドゥインカーとリバウンドを競ろうとするのは#42ケビン・コッツァー
#47並里祐
会見に臨む村上駿斗
B2第22節 GAME1 熊本ヴォルターズ戦(3月10日)
広島ドラゴンフライズ85-74熊本ヴォルターズ
1Q:17-19
2Q:23-12
3Q:18-23
4Q:27-20
会場:広島サンプラザホール
入場者数:1862人
マンオブザマッチ:#11北川弘
シーズン成績:21勝20敗(B2西地区4位)
【スターター】
広島:#0ジャマリ・トレイラー、#5山田大治、#7坂田央、#11北川弘、#24田中成也
熊本:#1中西良太、#2古野拓巳、#7小林慎太郎、#8ジョッシュ・ドゥインカー、#11福田真生
【主なスタッツ】
広島ドラゴンフライズ
◆得点
#3テレンス・ドリスドム20点
#11北川弘15点
#2朝山正悟 14点
#24田中成也12点
#1村上駿斗11点
◆リバウンド
#42ケビン・コッツァー9リバウンド
#0ジャマリ・トレイラー6リバウンド
◆アシスト
#3テレンス・ドリスドム6アシスト
熊本ヴォルターズ
◆得点
#8ジョッシュ・ドゥインカー21点
#30テレンス・ウッドベリー 9点
◆リバウンド
#8ジョッシュ・ドゥインカー10リバウンド
#2古野拓巳6リバウンド
#30テレンス・ウッドベリー 5リバウンド
◆アシスト
#2古野拓巳 10アシスト
#8ジョッシュ・ドゥインカー6アシスト
熊本ヴォルターズ・保田 尭之ヘッドコーチの話
「ライバル広島に今日は出だしから、かなり集中して入れた。特に小林選手はウォーミングアップから集中していて、最初の3Pに繋がったと思う。ディフェンスではスタメンの選手がボールマンに対して良いプレッシャをかけていて、オフェンスに流れを持ってくることができていた。しかしベンチメンバーがからんだ場面でターンオーバーが出たり、ディフェンスの質も下がってしまった。明日の広島のゲームも含め、これから対戦する強いチームには勝ちにいく姿勢を出して挑んでいきたい。まずは明日のゲームに全てをかけたい」