J1リーグ大詰めでの戦い方について「一番大事なのは自分たちのやってきたことを研ぎ澄ましていくことだと思います」と話す城福浩監督
明治安田生命J1リーグ第27節(9月22日、エディオンスタジアム広島)
恐れていたことが起こった。負けなかったけど、勝てなかった。3位のFC東京相手にホームで1-1引き分け。先制すれば勝率87パーセントで逆転負けはFC東京戦の1度だけ、前半リードで折り返せば9戦9勝…
しかし今回は前半18分、セットプレーから最後はゴール前に倒れ込んだパトリックがFC東京・高萩洋次郎のクリアを右足に当てて先制しながら、後半4分、あっさり同点にされた。
その場面…
GK林卓人のゴールキックが、パトリックと競った相手に跳ね返される。
セカンドボールの奪い合いで相手に取られ、ハーフウェーラインをドリブルで越えられる。
パスを受けたディエゴ・オリヴェイラから、7月に期限付きで加入したリンスに渡り、そこで高萩洋次郎とのワンツー、
今度は縦にパスが入り、再びディエゴ・オリヴェオラ。
完全に裏を取られ、右サイドを深くえぐられたサンフレッチェ広島守備陣とディエゴ・オリヴェイラの距離8メートル以上。
エンドラインぎりぎりからのマイナスのパスにはフリーで走り込んできたリンス。
ペナルティマーク付近からの一撃が林卓人の左手を弾き、そのままゴールネットを揺らす結果となった。最初のゴールキックから失点までわずか23秒…
その最後の2プレー。
ディエゴ・オリヴェイラには青山敏弘が、リンスには和田拓也がスライディング。しかし、いずれも届かなかった。
リンス、ディエゴ・オリヴェイラ、高萩洋次郎。ゴール前で抱き合い喜びを爆発させる3人の姿に、19031人のスタンドの大半のサポーターはさぞ悔しい思いをしたことだろう。誰もがこの試合の持つ意味を、十分過ぎるほど理解しているのだから…
前日の練習のあと城福浩監督はこう話した。
「連敗という意味はふたつあって、同じチームに2回負けるわけにはいかない。あそこで大きな学びを我々はしましたし、前節鳥栖戦に負けてる、そういう連敗もシーズンの中でしてはいけない」
「我々の中では崩れてないけど、周りに広島が崩れたという印象だけは絶対に与えたくない。精神的に盤石なところを結果として示したいなと思います」
「一番大事なのは自分たちのやってきたことを研ぎ澄ましていくことだと思いますし、新しいことをどんどん追加していければいいですけど、今までやってきたことを高いレベルで示すことが大事だと思うので、選手もそういう意識を持ってくれていると思います」
前節、サガン鳥栖戦に0-1で敗れたサンフレッチェ広島は連敗は許されない状況。第10節(4月25日)のFC東京戦に1-3で敗れ、やはり連敗は許されない状況。
しかもせっかく得意のセットプレーからFC東京相手に主導権を握りかけたのに、生命線の守りを崩された。
試合後、FC東京・長谷川健太監督は「本来なら逆転して帰りたかった。残りの試合数、優勝には”1”では足りない」とコメントしたが、逆転などされたらサンフレッチェ広島にとってはまさに取り返しのつかないことになるところだった。
午後7時同時キックオフの等々力陸上競技場では2位の川崎フロンターレが名古屋グランパスを3-1で撃破、とうとう勝ち点4差に詰め寄られ、得失点差では川崎フロンターレの方が「1」上回る状況になった。
川崎フロンターレは中2日で、台風で中止となった湘南ベルマーレ戦に臨む。仮にこの試合に勝てば1位、2位の差はわずかに勝ち点1…
エディオンスタジアム広島から車で30分のマツダスタジアムではこの日、カープが4-13のスコアで大敗を喫しながらも優勝マジックを2に減らした。しかし、J1に優勝へのマジックなどあるはずもなく、あるのは「どんなことが起きても想定内だと、それを踏まえた上でひとつひとつクリアしていく」(足立修強化部長)地道な積み重ねだけ。
試合後、城福浩監督は次のように語ったが、誰よりも危機感を深めているのもまた城福浩監督自身で、ここからいかに「自分たちのやってきたことを研ぎ澄ましていくこと」ができるか?
城福浩監督の話
後半の立ち上がりがほんとに…前後半の立ち上りに注意してたのでそこでやられたのはすごく悔しいですね。ゼロで抑えたかったんで、そっちの方が悔やまれますね。コンパクトを保って、サイドを崩そうとやろうとしたことはできたと思うんですけど、リードする時間をもっと長くしないといけないですし、そこの反省をしっかりしたいですね。
第27節第2日終了時点での上位8チームの順位と勝ち点
( )内は前節からの上乗せ。※は昨季の4強でACL出場組
川崎フロンターレ、鹿島アントラーズ、ヴィッセル神戸は1試合、コンサドーレ札幌は2試合未消化
1位 サンフレッチェ広島 56(+1)
2位 川崎フロンターレ※ 52(+3)
3位 FC東京 43(+1)
4位 セレッソ大阪※ 41(+1)
5位 コンサドーレ札幌 41(-)
6位 ベガルタ仙台 41(-)
7位 鹿島アントラーズ※ 39(-)
8位 ヴィッセル神戸 36(-)