画像は広島サンプラザホール開幕戦でデビューする4面大型スクリーン
特別連載「広島スポーツ100年~Bリーグ2020-21広島ドラゴンフライズの挑戦」#3 コロナ禍を逆手に取る浦 伸嘉社長の”秘策”、合言葉は”持続可能なフルハウス(満員御礼)
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広島ドラゴンフライズがB1のコートに舞い降りた。
クラブ発足以来、多くの人たちによって支えられ、広島県民の声援に後押しされ、そして日本バスケの「頂き」に向けての第1歩となる2020−21シーズン幕開け…アウェーでの大阪エヴェッサ戦で見事、B1発勝利を手にした。そしてホーム開幕戦へ。
それは1950年誕生のカープ、1993年スタートと同時にJリーグに参入したサンフレッチェ広島に続く広島プロスポーツ第3の波…
広島の過去100年では、陸の上で水の中で、あるいは空間で、日本最強を誇るアスリートたちが世界の頂にも挑んだ。
そんな「スポーツ王国広島」の歴史は、軍都廣島とともにその歩みを進め、やがて平和の象徴となった広島アスリートたちの物語でもあった。
次の100年に広島スポーツは何を遺すか?
「2020広島ドラゴンフライズの挑戦」は、間違いなく広島スポーツに新風を吹き込むことになるだろう。
広島スポーツの何がどう変わるのか?変えようとしているのか?
広島スポーツ100年取材班では、クラブ発足当時から取材を続けてきた広島ドラゴンフライズの過去と今と未来について探っていく。
第3回は、浦 伸嘉社長を直撃した。
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広島ドラゴンフライズのB1地元開幕戦。その準備が進む広島市西区の広島サンプラザホールで天井付近を見上げながら広島ドラゴンフライズの浦 伸嘉社長が言った。
「見てください、あそこにNOVAのロゴがあるでしょう?新たなスポンサーさんが決まればそこに入っていただきます。満員のお客さんは何度でも大型ビジョンに目をやります。スポンサーさんにも喜んでいただけると思います」
コート中央の天井から吊るされた縦3メートル、横4メートルのスクリーンが4つ。リプレー映像やスポンサー用の映像が自在に流される。この”新兵器”の登場に合わせて音響などの設備面もより魅力的なものに更新された。当然出ていくモノも増える。その分、新たなスポンサーを獲得する。B1効果の追い風の中、攻めの姿勢は崩さない。
B1昇格は当然ながらチームを強くするための第2段階。オンザコートの選手たちが約束の地までクラブを連れて行ってくれた。今度は運営する側の出番、ということになる。
Bリーグ誕生の時、様々な状況をチェックされて「広島はB2から」という試練を言い渡された。当時の選手やスタッフのショックは言葉では言い表せないほどだった。2017年5月にはB1行きの切符を巡り、敵地で島根スサノオマジックと死闘を演じ、そして敗れた。
「でもね、3年前、私たちはB1に上がれなかったんですけど、逆に良かったとまでは言いませんが確かに足腰は鍛えられました。あの時、B1に上がっていてもしんどかったと思います。野球で言えば素振りがまだたりていませんでした。成長の観点から言えば、まさにここから。だから今、フロントを鍛えています。今までとはフェースを変えて求めるレベルも上げています」
さらに浦 伸嘉社長は続けた。
「コロナ禍でということはあってもクラブの”価値づくり”は順調に来ています。しかも大阪に勝ってくれたのも大きい。広島やれるぞ、という雰囲気も作ってくれました。だから今こそよくやってくれているチームにまた投資できるような好循環を作っていかないといけません。B1に上がったことで我々もようやく勝負できるという感覚を持っています。戦略的にもいろいろと…。例えば中期的には”育成”を進めたい。B2で育成と言ってもピンと来ません。長期的にはアリーナ。そこにたどり着くまでにまず短期的にはフルハウスの継続です。あす、あさって、おそらく満員御礼になって我々の目指しているフルハウスは達成できると思います。(新型コロナウイルス感染防止のための)入場制限あり、という中ではあってもそういう状況があるわけですから、大きなチャンスだと感じています」
※この項つづく。