画像は「運転見合わせ」を利用者に説明する改札口担当者、JR広島駅、7月8日午前10時前撮影
広島東洋カープがまた「強行カープ」になった。
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(2021年5月15日掲載)
7月8日午後6時マツダスタジアム開始の広島-DeNA戦は公式発表の入場者数が今季最少の1万1,452人に止まった。
当然だろう。8日未明から広島県内各所は記録的な雨量を計測。早朝から各地に大きな被害が出た。早々に山陽本線、呉線、芸備線、可部線は「終日運行取りやめ」が発表された。
例えば山陽本線。広島を中心に東は糸崎、西は岩国の区間が運行を取りやめた。
広島と県内各地、県外各地を結ぶ高速バスも同様に運行を取りやめた。さらには広島周辺の有料道路、山陽自動車道も通行止めとなる区間が出た。
また午前8時ごろ、マツダスタジアムそばを東西に走る大州通りは東行きの車列がほとんど動かなくなった。安芸郡海田の国道2号線アンダーパスが水没して正午を回っても封鎖が続き定期バスが動けなくなった。
公共交通機関が動かなければ当然、マツダスタジアムまで来ることができないファンが大勢出る。
すでに島根、鳥取両県で猛烈な雨による被害が出た7日のマツダスタジアムは同じくDeNA戦で入場者数1万4,414人、6日は1万5,598人だった。
1週間前の同じ火曜、水曜、木曜のナイトゲーム、ヤクルト戦はそれぞれ1万5,770人、1万6,251人、1万6,264人だった。雨の影響をモロに受けている。
この話をすると必ずネットには「NPB主管だからカープに責任転嫁するのはお門違い」という主旨の声があがる。しかし表向きの話と実態は必ずしも一致しない。
新型コロナウイルス対策では12球団共通の判断基準が必要だ。それが「全試合連盟管理節」。バラバラでは困るから「NPB」の看板が重しになる。だが、現場で試合開催の有無を決定するのは気象条件などで、それをいちいちNPBがコントロールするはずもないと考えた方が合点がいく。
けっきょく球審がリーグ統括を代行する。そしてその時の予報、日程などを考慮して基本的には当該球団と話し合って決める。
NPBが広島県内で大雨による氾濫や崩落が相次いでいるのに試合をやれ、と言っている訳ではない。広島東洋カープの意向が大いに働き、警戒レベル5の「緊急完全確保」が求められる中で試合を強行したまでの話だ。
しかもマツダスタジアムの目の前の段原地区でも朝から避難指示が出ていた。そんな中で通常通りゲームを開催…。ファンファーストの対極にあるその感覚はどこから来るのか?
約5000人、マツダスタジアムの今季の平均集客数は約1万5200人だから3分の1のファンは球場行きを諦めたことになる。
内野砂かぶりやカープパフォーマンスなど「年間指定」のエリアで特に空席が目立っていた。この席はすでに固定された金額を支払っている。
一方、7月8日のチケットを昨今流行りの「カープへのお布施」にしたファンがどれほどいるのか?
公共交通機関が動かないことは払い戻しの対象にはならない。もちろん、先の緊急事態宣言下での広島球団のその場しのぎ、あるいは個別のバラバラ対応を考えれば裏でどんなことが行われているかは調べようがない。
繰り返しになるが広島市、東広島市、など16市町に警戒レベル4の「避難指示」か同3の「高齢者避難」が出される中でのナイトゲーム開催など尋常な話ではない。
だが、雨天中止の具申をすれば「じゃあ、お前、2億円稼げるんか?」というような声が平気で聞こえてくるのが広島の球団体質だ。
同じことは何度でも繰り返されてきた。「NBP主管」とはまったく無関係だった2014年の話だが、8月20日、広島市は安佐南区、安佐北区などで未曽有の土砂災害が発生した。
にもかからずマツダスタジアムでは予定通り、公式戦が開催され続けた。試合前にはマツダスタジアムのレフト側にある備蓄倉庫から車でわずか30分の被災現場に物資が運ばれて行った。70人以上の命が亡くなっている場所に、だ。
スタンドには試合後半になってもあちこちに空席があった。連日3万人越えが当たり前の時代に、だ。被災された方やその関係者はカープ観戦どころではない。
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広島球団のこうした弱者に対する無関心さは徹底されている。
7月6日は2018年に甚大な被害を出した西日本豪雨から3年目。しかし、マツダスタジアムでは被災地や被災者に向けて何のメッセージも発っせられなかった。
過去に球団が主体になって被災地の子どもたちを招待したこともない。
あの黒田博樹はたったひとりで被災地に出向き、地元と人たちと廃材の山の片付けを行ったというのに、だ。
楽天では東日本震災から10年目に際し、球団HPに特設サイトを設け、被災地の子どもたちを招待してグラウンドでビッグフラッグをみんなで掲げた。
一方、コロナ禍に対してはバンテリンドームナゴヤや福岡PayPayドームがワクチン接種会場として提供されている。8月には東京ドームでも同様の動きがある。
ひろスタ特命取材班は、今の佐々岡カープの成績不振の原因の大半は、実はこの市民球団とはうわべだけの、ファンファーストと対極の球団体質にある、とのスタンスで取材を続けている。
忖度しない新型コロナウイルスにより、例えば緊急事態宣言下での払い戻し告知を徹底してしないという広島球団の負の部分が、次々に浮き彫りになっているだけの話ではないのか、と…
12球団最悪のマツダスタジアムクラスターもけっきょく球団管理の甘さが原因だろう。しかも未だに感染ルートも明らかにされていない。中には「死ぬところでした」と証言した者もいる。
それぞれの立場もあり、本当のことは話さないし話せない。でも、とんでもない状況だったのは間違いない。それを「あの選手は打たん」とか「また打たれた」とか責めるファンの方こそお門違い、ということにも気づいた方が良くないか?
広島球団の体質は、何があっても変わりそうにない。
8日のあってはならない試合開始に向けて、ネットには次のような声が上がっていた。
<ホントそうなんですよね、売り上げのことしか考えてないんですよ>
<ファンの安全は考えてないのかなあ?今日のような雨だったらお昼には中止にすべき>
<高速が大竹から先、通行止めになっていて、もう岩国から高速に乗って2時間半経ってます。やるんか???>
またひろスタ特命取材班の下にも次のようなメールが届いている。
<ひろスタ特命取材班御中 先ほど知り合いが球団に問い合わせたところ本日の試合は今のところ開催されるようです。JR全線及び高速等も不通なのに相変わらずの姿勢ですね。天気は夕方ごろから雨足遠のきそうなので試合は問題なさそうですが>
<実況席はノータッチだけどJRが止まってるからスタンドはガラガラ。JRが運休だから来れない人はたくさんいるのに試合を強行、今までだって散々苦情があったろうに改善する気配ゼロ、観客・ファン対応はハッキリ言って12球団サイテーだ、とカープの代表電話で苦情を言ったら、恐縮した雰囲気でも怒った雰囲気でもなく明るいとさえ思えるトーンで「私もそう思います。」だと。上から下までとことん腐ってる>
<試合していることにビックリ!私は天気予報の場所に広島南区も指定しているので朝から「広島地区豪雨予報」とかバンバン注意報が上がっていたのでてっきり中止だと>
<昼過ぎ、球団に電話。高速バスが止まって応援にいけないので払い戻しはどうすればいいですか?と聞いたら、そういうのは払い戻しできないのです、と言われてしまいました、初めてなので知りませんでした>
ひろスタ特命取材班