画像はエディオンピースウイング広島のスタンドに向け、右拳でハートを叩く森保一監督
FIFA World Cup 26™/AFC Asian Cup Saudi Arabia 2027™ Preliminary Joint Qualification-Round2(FAFAワールドカップ26アジア2次予選兼AFCアジアカップサウジアラビア2027予選)
2024年6月11(火)広島/エディオンピースウイング広島
SAMURAI BLUE(日本代表)vsシリア代表
午後7時10分キックオフ
素晴らしい時間と空間になりました。
2024年6月11日、午後7時10分キックオフ。前半、日本代表が3点を連取して、さらに相手陣内に波状攻撃をかけけるころ、スタンドレベルにも少し涼しい風が吹き始め、見上げる空には星が輝き、すぐそばの川面にもSAMURAI BLUEのエディオンピースウイング広島が揺れ始めたのです。そう、かつて屍の街を映し出した本川が、今は平和の翼に寄りそうように流れています。
この日から数えてちょうど2年後に開幕するW杯北中米大会での「優勝」までの道を見据える森保一監督は、ベンチ前で戦況を見つめ、後半に入ると古巣のサンフレッチェ広島から招集した川村拓夢をスタメンの大迫敬介に続いてピッチに送り出しました。
超満員のゴール裏から、聞き慣れたチャントが流れてきます。でも…
さあ行こうぜ! どこまでも
走りだせ! 走りだせ!
輝け 俺達の誇り 森保 ニッポン
オオオーッオー オ・オ・オーッ・オー
そしてW杯2次予選最終戦を5-0のスコアで飾り、全6戦全勝の24得点という快記録を成し遂げたあと、勝利監督インタビューで森保一監督はこう話しました。
ありがとうございます。
ここエディオンピースウイングスタジアムに、たくさんのサポーターのみなさんが来て下さったおかげで、選手は走りました。そしてテレビの前で応援してくださっている方々を含めて多くの日本の方々が応援してくださったおかげで、選手たちもがんばってくれました。
-ワールドカップアジア2次予選、これで全勝、無失点です。この勝利どう振り返りますか?
そうですね、勝たなければいけない相手に、選手たちが準備の時から、当り前のことを当り前にやる、ハードワークして試合でしっかりとチャレンジをする、ということをやってくれた結果だと思います。
ただ2次予選とこっから始まる最終予選はまったく別次元の戦いになると思いますので、これまでやってきたことを積み重ねて、最終予選ではさらに気を引き締めて戦っていきたいと思います。
そのあと、選手たちは「がんばろう能登」の横断幕を持ち、2万6650人のサポーターで埋め尽くされたスタンドに向け、場内を一周しました。
最後に、単独でピッチに戻ってきた森保一監督は何度も頭を下げ、何事かをサポーターに向かって叫ぶと、最後は自分のハートを右拳で叩き、さらに拳を突き上げて”日本人の心の大切さ、夢を持って挑むことの大切さ”を広島の、そして全ての人たちに伝えようとしたのです。
その後の公式会見ではメディアから、3バックを試した意図を聞かれるととともに「試合前の国家斉唱の時、感極まったところがあったと思うのですが」と振られて次のように答えました。
もうひとつの質問ですが、広島だからということだけではなくて、国歌を歌って試合に臨めることに幸せを感じています。国歌を歌ってる時に、日本人である誇りと喜びが両方あふれ出してきて、幸せな気持ちになれる…というのは毎回、試合前にあります。
だた、ここ広島で現役時代など長く過ごした者として、指導者としてもいろいろな経験をさせていただいた中で、広島にサッカー専用スタジアムができるということは、大きな夢のひとつでありましたので、おっしゃられる通り、ピッチとスタンドが一体になって盛り上がれる素晴らしいスタジアムで、その喜びというようなものはありました。
国歌を歌っている時はほんと、日本人である誇りと喜び、幸せがあふれ出てきますし、それはきょう広島で代表戦をできたという、二重の喜びになりました。ありがとうございました。
…そう、スポーツでもっと幸せな広島へ、
もしも、この日の出来事を世界の指導者、独裁者たちが同じ空間で見届けたなら、この国は、そして世界はどんな風に変わっていくでしょうか…
※「川風の街、七色の光」は、戦前戦後を通じて広島の人々の生活に深く関わってきたスポーツのある風景を、この街の未来に繋げていくために”そのまま切り取って”残しておく、ひろスポ!連載コーナーです。(田辺一球)
※このコラムは広島県内での大学などの授業・講義教材として制作されています。