昨年12月、サンフレッチェ広島の関係者が集まった公式の場で、サンフレッチェ広島の久保会長がサッカースタジアム建設に向け広島政財界に協力要請をしたあと、祝辞でスタジアムの話題については「割愛」と発言した松井市長。
広島市の松井市長がサッカースタジアム建設候補地を広島みなと公園に1本化したことで今後、さまざまな波風が立つことが予想される。
まずは1月26日夕方、広島市中区でサポーターや関係者が参加して行われる「2015サンフレッチェ広島を励ます会」(主催はサンフレッチェ広島後援会・公益財団法人広島県サッカー協会)。立場上参加をとりやめている小谷野薫社長を除くサンフレッチェ広島所属選手およびスタッフが参加するが、来賓あいさつは広島県の湯崎知事に続き松井市長が行うことになっている。
しかし会場には「旧広島市民球場跡地へのサッカースタジアム建設早期実現」を目標としている広島県サッカー協会ほか、関係者が大勢いる。
小谷野氏は特定の団体などからの出馬要請を否定し、無所属で立候補する意向を貫いており、あくまでサポーター、市民らと草の根的な立場から選挙戦に臨む構えだが、そうは言ってもその”本拠地”に松井市長が仮に足を運ぶとなるとすべてが穏やかに…とはいきそうもない。
1月28日の午前には広島市議会の都市機能向上対策特別委員会も行われる。市議会と松井市長の関係についてはこのところさまざまなやりとりがニュース報道などを通じて市民の耳に届いているが、特に昨年8月20日に発生した大規模土砂災害問題については市議会側に松井市長の姿勢を厳しく追及する声が相次いでいる。
そこにこのサッカースタジアム建設問題が拍車をかける可能性は十分ある。都市機能向上対策特別委員会の中で広島市は旧広島市民球場跡地の活用法について議会に提示することになっているが、すでに松井市長はサッカースタジアム建設候補地の「広島みなと公園」への1本化を明言しており、これまで市議会側が認識していた事実とは大きく異なる事態を招いているからだ。
こうしたゴタゴタとは別次元で、「サンフレッチェ広島も小谷野社長でガラっと変わったんで、広島市も変えることができると思います」(サンフレ女子)の広島市民の思いに沿って小谷野氏がこれから訴えていくことになる選挙公約や街づくり、夢づくりを有権者がどう受け止めるか?
市内各所で”局地戦”勃発の気配が濃厚となる中、2月中旬にも臨時取締役での社長退任が予想される小谷野氏の”市長選ピッチの上での立ち姿”に注目が集まりそうだ。