東アジア杯連覇を目指す日本代表は8月2日、中国・武漢の武漢スポーツセンターで北朝鮮代表と対戦、前半3分、MF武藤雄樹のデビュー戦ゴールで先制したが、その後、決めるべき時に決めきれず、後半33分に追いつかれると43分にもゴールを許して痛恨の逆転負け。ハリルジャパンとしては4戦目で初黒星となった。
ハリルホジッチ監督が切り札をピッチに投入したのは後半33分、同点に追いつかれてから5分後だった。
両手を二度ほど合わせて、何ごとかつぶやき流れ出す汗を拭おうともせず、後半38分、浅野拓磨が右サイドへ入って行った。
すぐにボールを触るチャンスが巡ってきた。迷わずドリブルで駆け上がった。
その2分後にも縦への突破で相手ゴールを目指した。同じく途中出場の興梠慎三が前を走っていた。相手のプレッシャーがかかりきる前にうまく縦パスを送り出したがシュートには至らなかった。
その1分後には自陣ペナルティエリア内まで戻り、危うく失点しそうになったあとのルーズボールを素早くドリブルで前方へと掻き出した。
ところがその直後、ゴール前に放り込まれた柔らかいパスに途中出場の長身FW、パク ヒョンイルが反応、高い打点から頭で押し込んできた。勝ち越すために代表デビューしたはずなのに、目撃したのはチームの敗戦を決定づける衝撃シーン…。
残り時間は2分+アディショナルタイム4分。そのあと、もう一度、右サイドを駆け上がり、最後までずっと走り続けたが、背番号19の代表初シュートや初ゴールは、次回韓国戦以降に持ち越しとなった。
7月23日、東アジア杯の代表メンバー23人の中に自分の名前があると聞いた時、次代を担うスピードスターは「代表でピッチに立つことがあれば普段やっているプレーをしっかり出して広島のサポーターの方にもいい姿を見せられるように頑張りたいと思います」とコメントした。
湖北省東部に位置する武漢は中国3大かまどの中のひとつとされ、立っているだけでも汗の吹き出す気候はボディブローのように体に堪え、そして選手たちの体力を奪っていく。
「選手が疲れてしまい、粘り強さがなくなった」と試合後のハリルホジッチ監督。
10分と少しの限られた出場時間の中でも、サムライブルーに新たな風を送り込む、記念すべき第1歩。チーム最年少のスピードスターは真夏のアジア大陸を舞台にきっと、必ず、何かを掴んで帰ってくる。