0-4の劣勢の中、激しく相手にあたる葛馬史奈選手(左)と三宅あけみ選手(中央)
アンジュヴィオレ広島は8月2日、ホームのコカ・コーラウエスト広島スタジアムにAC長野パルセイロ・レディースを迎えてプレナスなでしこリーグ2部第18節を戦い0-4で完敗した。
10チームで構成されるなでしこリーグ2部で首位を独走するAC長野パルセイロ・レディースに敗れたことでアンジュヴィオレ広島の勝ち点は27のまま。順位は前節の4位から5位に後退した。
首位のAC長野パルセイロ・レディースは勝ち点52、2位のノジマステラ神奈川相模原は同40、3位の日体大FIELDS横浜は同35、4位の愛媛FCレディースは同28。
1部昇格へは2位以上が条件となるため、残り9試合で2位に勝ち点13の差をつけられたことは大きな痛手になった。だが酷暑の90分間を戦い抜き、手にした財産も少なくはなかった。
狂った目算、最少失点で切り抜けるハズが…
アンジュヴィオレ広島は対戦2周り目となった第10節(5月24日)以来、6連勝をマークして上位進出に弾みをつけた。
だが第16節の愛媛FCレディース戦に1-1で引き分けると、前節ノジマステラ神奈川相模原戦に3-4で敗れて連勝がストップした。
こうして迎えたこの日のAC長野パルセイロ・レディース戦は第1節、アウェーで0-4の完敗を喫したこともあり、チームがひとつになって「必勝」を胸に臨んだ一戦になった。
試合前、奥村優之監督(画像左端)は失点を最小限に抑えて、斎原みず稀、葛馬史奈の好調FW陣で応戦、後半途中から17歳の神田若帆を投入して僅少差勝ちを狙う青写真を描いていた。
気合いの入った表情で入場する山口友里恵選手
しかし、頭ひとつ抜けた成績を残しここまで17戦16勝1分けの相手との5カ月ぶりの対戦を前にチームの中には知らず知らずのうちに硬さや必要以上の緊張が生じていた。
一方のAC長野パルセイロ・レディースは前節のアンジュヴィオレ広島の試合を分析して立ち上がりからの攻撃展開に自信を深めていた。
お互いの「入り」の”差”はすぐに形になって表れた。
前半7分、いきなり中央から攻め込まれてゴールネットを揺らされた。高い位置からブロックして相手に簡単にはシュートを撃たせない作戦だったが、当たりが弱くいともたやすく先制されたことで全体的にさらに浮足立つことになった。
立ち上がりから何度も最終ラインを突破された
その後は10分にFKから、17分にはCKから、さらに21分にもFKからとセットプレーからことごとく失点を重ねてあっという間に0-4になった。第1節、アウェーで完敗した時と同じスコアになってもまだ残りは60分以上もあった。
酷暑のゲームで序盤の連続失点は堪えた。
あっという間に4点を失ったあとの前半給水タイム
長い縦パスを頭で競り合う斎原みず稀選手
しかし前半は前線で孤立気味
右サイドから葛馬史奈選手がドリブルで攻め上がるが…
相手ゴール前では向こうの寄りが速く、前半はアンジュヴィオレ広島の攻撃の形になかなか持ち込めなかった
自分たちの形に持ち込めた後半戦を財産にして…
だが、その後はしだいに守りの連動が機能し始めて、ハーフタイムに奥村監督から”喝”が入れられた。前半で交代した山口友里恵は「硬くなっている自分がいたのが残念です、いいプレーができないまま交代になり、この悔しさは次節で晴らしたいです」とコメントした。
後半に入ると、どちらが大量リードしているのかわからないほどの展開になった。AC長野パルセイロ・レディースのシュート数は前半8本から後半1本に激減。アンジュヴィオレ広島は前半3本、後半5本だった。
それでも17試合でわずか7失点の相手ゴールを割ることはできず、けっきょく第1節と同じ0-4のままタイムアップのホイッスルを聞くことになった。ただ、内容的には大きな変化があった。試合後、インタビューに応じたキャプテンの武田裕季は次のようにコメントしてチーム全体の気持ちを代弁した。
会見で次節に向けての決意を語る武田裕季選手
「相手どうこうより、自分たちの入りが悪くてセカンドボールも拾えず失点に繋がりました。最初は圧倒されていた。その気持ちの部分だけ、そこを強くしていきたい。後半のようなゲームが最初からできていれば自分たちが勝っていたはず。しっかりみんなで反省して次の試合に生かしたいです」
555人が詰めかけたスタンドからは最後まで熱い声援が送られた