アディショナルタイム、残り1分を切ったところでピッチに向け声をあげる森保監督
2016年明治安田生命J1リーグ、ファーストステージ第3節第2日
サンフレッチェ広島対湘南ベルマーレ(エディオンスタジアム広島)
互いに開幕から1分1敗と勝利なしで迎えた第2節。サンフレッチェ広島がアディショナルタイム、残り10数秒でオウンゴールを”引っ張り出し”、2-2ドローのエンディングに持ち込んだ。
(撮影・春木 睦子)
バースデーゴールを狙う佐藤寿人のワントップで相手ゴールに迫るサンフレッチェ広島は前半だけでシュート11本、対する湘南ベルマーレはシュートゼロ!
(撮影・春木 睦子)
しかし0-0のまま前半を折り返すと後半1分、パウリーニョに強烈ミドルを決められ苦しい展開に。
後半22分、CKから塩谷が倒されPKを獲得。
(撮影・春木 睦子)
これをピーター・ウタカが落ち着いて入れて同点にしたのも束の間。その4分後には中盤で相手にボールを奪われ、マークすべき相手、藤田祥史への縦パスからまたしても勝ち越しゴールを許す形に持ち込まれた。
およそJ1王者らしからぬ展開が同じエディオンスタジアム広島で開幕したACL初戦からずっと続く。
周りに声をかけ、懸命にゲームコントロールする青山(撮影・春木 睦子)
勝ち点ゼロなら非常事態。だが、アディショナルタイムになっても攻め続けるサンフレッチェ広島。藤田祥史に代えてFW大槻を残り数分で投入して懸命に耐える湘南ベルマーレ。
浅野、時間との戦いの中、最後まで前を向く…(撮影・春木 睦子)
残り30秒を切り、湘南ベルマーレゴール前でウタカが潰される、あと20秒、途中出場の浅野がドリブルでペナルティエリアに持ち込みシュート…
これがゴール前へ詰める相手に当たりそのままゴールへ…。
勝ち点1の結果にこの表情…(撮影・春木 睦子)
なお、佐藤寿人は左足小指を相手に踏まれて前半で茶島と交代、その茶島も相手のとの接触プレーで後半37分、浅野と交代した。
試合後の湘南ベルマーレ、曺貴裁監督の談話
クラブの理解があり前々日移動で広島に入り前日調整もして勝ち点1しか取れなかったがクラブや遠方まで来てくれたサポーターに感謝したい。
広島さんの土俵でサッカーをするわけにはいかない。リーグ戦で(監督就任後、2013年から4度対戦して勝ち点すら満足に取れていない。
1、2点目は我々が取りたい形で取れた。我々らしい見ている人たちの心を打つようなプレーがたくさんあった。そういうプレーをした選手を誇りに思う。
唯一ないとしたら僕の力不足だけ、不足しているのは当然だが、その中でも勝ち点を取る姿勢を示さないといけない。最後にトップの選手を入れたのは我々の形であってそれがどうこうではないが、自分自身が甘いことを痛感させられる。
森保さんの作ったチームは隙がない。チャンピオンチームの監督が同級生なのでこれからもともにJリーグを盛り上げたい。
(2試合連続で試合終了間際に同点にされたことについて聞かれ)終わりをうまくまとめるために試合をしているわけじゃない。最初から最後まで同じようにプレーして勝ち点1が取れた、と考える。あの時間に守り切れず、すごく悔しいとは思っていない。川崎さん、広島さん、強豪相手にいいゲームができた。(前節、川崎フロンターレ戦は4-4)。十分、勝つチャンスのある試合だった。細かい部分を修正したい。
試合後の森保監督の談話
サンフレッチェの勝利を見るためにエディオンスタジアムに来たサポーターに勝点3をお届けることができなかった。勝利の余韻に浸って帰ってもらいたかったが、それができず申し訳なく思う。
しかし2回、ビハインドになる中、選手は最後まで走り続けて追いつくことができた。走り抜く、諦めず戦い抜く姿勢は見てもらえたと思う。次の試合では何としても勝利を届けられるようにしたい。サポーターの応援には感謝している。
内容的に今日も勝って終わらなければいけない試合だった。もっとチーム力をつけていかなければいけない。
前半から多くのチャンスを作りながらも決め切れず、相手にミドルシュートを決められ追いつきはしたが、逆転できそうなところからのビルドアップでボールを奪われて失点。いい流れのとき、決めるべきところでしっかりと決めなければいけない。
アタッキングサードで決めるところは課題。ただ2-2に追いつくことができた。2回、相手のスーパーシュートと自分たちのミスから失点。ギアを上げていかなければいけないところの失点で、気持ちが切れてもおかしくはない。しかしそこで気持ちを切らさずに追いつくことができた。これまで続けてきた粘り強く戦うことはできていたと思う。
3試合で勝ち点3が取れず、物足りないものがある。今年もまだチームが成長する過程。苦しい中でやろうとしているところで、さらに強くなるためにトライしている。それが必ず結果につながると思っている。
勝点0と1ではぜんぜん違う。ポジティブに考えて次につなげていきたい。
流れの中から点が入っていない。アタッキングサードのところで、中央からでもサイドからでもの攻撃でも、精度を高めていかなければいけない。サイドの攻撃はうまくいっていたと思う。今年の課題は、中央から崩してフィニッシュまで持っていく部分だと思う。
ミスは起こる、それをどうカバーするか。
最後は粘り強くこじ開けた。
曺貴裁監督は素晴らしい監督だ。湘南スタイルを作り上げた。同級生としていい刺激をお互いに与えあいながらやっていきたい。
我々と対戦するチームは前節とシステムを変えてくる。我々に対するサプライズ、さすがだなと思う。
スカウティングどおりに相手がやってこなかった時、しっかり相手の形を見て相手の攻撃を止める!それがきょう、うちの方で良かったところだ。本当に勝っていこうと思えば、選手ひとりひとりが自律して、想定外の事態に対処する力が求められる。
キックオフ前に披露された「寿」コレオ(撮影・春木 睦子)