画像は広島東洋カープの一軍合宿所、クラスターが発生しないとも限らない
広島に緊急事態宣言が発出されたのは5月16日日曜日。マツダスタジアムでは入場者数の上限1万6500人は変わらず、アルコール販売中止など一部変更のみで広島-DeNA戦が行われた。
打率3割5分台をキープする菊池涼はこの試合、確かに5の0と急ブレーキだった。小園は3の2。そしてこのふたり、守っては4・6・3と6・4・3のゲッツーで投手陣を後押しした。
正隨は出番がなく、その分、ほとんど一塁側ベンチにいた。
それが翌17日の深夜労働の時間になって、突然の新型コロナウイルス検査陽性発表…唐突過ぎないか?
広島球団の危機管理体制に問題はないのか?同じことはもう何度も問われてきた。(既存のメディアはほとんど問わない、ひろスポ!で、という意味だ)
毎年、マツダスタジアム入場チケット発売時に発生するトラブルもそう。2月、ついに逮捕者を出したマツダスタジアム年間指定席ほかの高額転売問題もそう。
2019年、緒方監督最終年に相次いで発覚した緒方監督の暴力事件後のチーム急降下やずいぶん遅れての事後報告もそう、バティスタのドーピング検査陽性反応発覚後のけっきょく何がどうなったのかはっきりしなかった球団の対応もそうだ。
広島球団はとにかく売上にプラスになる情報(記念Tシャツの類)には積極的だが、情報を抑え込もうとするケースが多い。(今、最大の情報抑え込みは緊急事態宣言下におけるマツダスタジアムチケット払い戻し問題)
しかも広島球団がHPにコロナ感染の件をアップしたのは午後11時を回ってから。
そのあと…
午後11時23分…スポニチアネックス
午後11時19分…日刊スポーツ(ヤフーニュース)
午後11時20分…カープニュースbyデイリー
午後11時28分…中国放送(ヤフーニュース)
午後11時53分…共同通信(ヤフーニュース)
…などという流れになっている。
共同通信が一番遅い。通信社の役目を残念ながら果たせていないが、逆に広島球団側にとっては配信してもらわない方が…と考えることもできる。
すでに複数のメディアがこの日のカープナインの練習の様子などから感染情報をキャッチしており、ネットに「速報」を上げることならいつでもできた。
しかし広島球団の公式の発表が遅れたため、地元印刷の中国新聞など限られた新聞以外にはカープナインの感染の記事は載っていない。
例えば4月4日、巨人は主力選手3人のPCR検査での陽性が判明した。その後、陽性者との接触頻度の多かった10人の自主隔離などの対応を取った。
この時の動きは当日午後8時7分に時事通信がネットにアップしている。これが普通だろう。
また、広島球団のHPに公開された17日の内容では、陽性反応を示した3選手についての情報が少なすぎる。
以下、広島球団のHPより
5月17日(月)、当球団所属の菊池涼介選手が、新型コロナウイルス陽性と判定されました。
それに伴い、同日一軍監督・コーチ、選手、スタッフ全員(74名)にPCR検査を実施した結果、小園海斗選手、正隨優弥選手も陽性判定とされましたので、お知らせいたします。
① 陽性判定された選手
菊池涼介選手(30歳)、小園海斗選手(20歳)、正隨優弥選手(25歳)
② 陽性判定選手の行動履歴
【菊池涼介選手】
5月16日(日) 試合(フル出場)→自宅へ帰宅
5月17日(月) 発熱(39.8℃)同日、PCR検査を受診し、陽性判定
※現在熱の症状あり。管轄保健所の指示により自宅にて療養しております。
【小園海斗選手】
5月16日(日) 試合(フル出場)→自宅へ帰宅
5月17日(月) PCR検査を受診 陽性判定
※現在無症状で体調に異常なし。管轄保健所の指示により自宅にて待機しております。
【正隨優弥選手】
5月16日(日) 試合(出場なし)→自宅へ帰宅
5月17日(月) PCR検査を受診 陽性判定
※現在無症状で体調に異常なし。管轄保健所の指示により自宅にて待機しております。
………
例えばサンフレッチェ広島で1月にあった選手の検査陽性反応確定後、次のように発表している。
1月13日(水)チームオフ(体温:36.6℃)
1月14日(木)チームオフ(体温:36.3℃)
1月15日(金)自主トレーニングに参加(体温:36.6℃)
1月16日(土)PCR検査実施(体温:36.2℃)
1月17日(日)チームオフ(体温:36.2℃)
1月18日(月)午前:自主トレーニングに参加(体温:36.6℃)
夕方:同検査での陽性の可能性が高いという判定を受け、(19日、医師により陽性確定)自宅療養。体調不良などの症状はなし
1月19日(火)自宅療養(体温:36.4℃)
………
新型コロナウイルスに関してはわからないことが多いが潜伏期間は5、6日から2週間と言われている。広島球団のようにたった2日間だけでは情報公開とは言わない。
例えば、の話だが一軍にしばらく踏み止まっていた中村奨は5月11日から二軍の公式戦に出場し続けている。二軍はその間に山口・由宇練習場での中日戦を消化したあと、甲子園に乗り込み阪神と試合をしている。
そして、また中村奨は野間ら二軍戦に出ていた計8選手とともにきょう5月18日に東京ドームである巨人戦のベンチに入る。選手の動きをトレースしながらある程度の範囲に広げて総点検する必要がある。
コロナで大変な目に遭ってきた巨人サイドも身構えざるお得ないだろう。
また何より大事なのは、残念ながら感染した選手らの行動にその原因があったか否かの洗い直しだ。ここでまた広島球団の危機管理能力が問われることになる。
新型コロナウイルスの感染拡大が大きく取り上げられ始めた2020年1月、広島球団では早々に社員のPCR検査を実施。当初は朝起きて37度あれば職場に出ることを禁じ、さらにPCR検査の範囲を社員以外の関係者に広げた。
今年も広島県がPCR検査の集中開催を行うと発表したこと(現在は広島県の判断で中止)を受け、マツダスタジアムでアルバイトなども含めた2000人規模のPCR検査に協力するなどコロナ対策には腐心してきた。
それでも、結果的には主力選手の感染という最悪の事態になった。
グラウンドで懸命に戦う首脳陣やカープナインの今後の不透明さは、緊急事態宣言下でも1万6500人の上限を変更しないまま開催しようする広島球団の経営判断の不透明さと重なって、ますます先が見えない状況になりつつある。(ひろスタ特命取材班)