広島のエース黒田博樹の素顔」第10回
エースと呼ばれることで黒田博樹が一番大切にしたこととは?
一度は広島に踏み止まることを選択した2006年のオフ、そして広島復帰を決意した昨年の12月。ともに黒田はファンの存在の大きさを口にした。そして今回の一件は広島ファンのみならず全国のプロ野球ファン、さらにはメディア関係者から高い支持を得るまでになった。
新聞で、ネットニュースで、こぞって黒田の「決断」やその「人となり」が大きく取り上げられている。”メディアを巻き込む”とはよく言われることだが、今の黒田を取り巻く状況はまさにそう。取材する側、書き手やVTRを繋ぐディレクターもみな人の子、取材対象を好きになればついその手にも力が入る。
そして広島のかつてのチームメートも、黒田と初めて出会うことになる若手らも一緒にプレーする日を心待ちにしている。
広島のエースと呼ばれるようになった黒田に「エースとは?」と尋ねたことがある。答えは次のようなものだった。
「チームの顔でもあるし、それだけの責任もあると思う。それと選手、チームメートからだけじゃなくファンの人から信頼される存在じゃないといけないとは思いますけどね…」
そして、その当時に黒田とのバッテリーで一時代を築いたベテラン捕手の倉は言う。
「自分にたりないものを黒田さんはずべて持たれている方。選手に対してもそうですし、ファンに対してもそうです」
さらに一呼吸置いて、倉はこう結んだ。
「僕らが見習うべきものがすべてそろっていると思います」