風の涼介#4、2012年2月6日
にわかに信じがた光景だった。早出の時間だというのに沖縄の強い陽射しが照り付ける中、ショートでノックを受けていた菊池がセカンドベースの後ろに回り込み、明らかに無理だと思われたコースを何なくさばいて一塁に送球して見せたのである。
驚いて周囲を見渡したが、何台もあるテレビカメラも、担当記者たちも別に気にも留めない様子でそれぞれの準備に追われていた。
この時、ショートを守っていたのはほかに木村、梵、そしてこの年からコーチ兼任となった石井琢朗。セカンドには東出と庄司。
ついでに言うとファーストは松山と栗原で、サードには堂林とブライアン・バーデン。
報道陣の興味はどちらかと言うと一軍スプリングキャンプに初参加の堂林へと傾き、菊池は人材豊富な二遊間の中で、黙々と体を動かしている、という状況だった。そして首脳陣の評価は「素材としてはいいものを持っているが、まだプロでやっていくには打つことに関してもだし、まだやってもらうことがたくさんある」というものだった。
第1クールを無事終えた菊池は次のようにコメントした。
ライバルがどうか、と言われてもただみんな、すごいという感じ。練習量が大学の時とぜんぜん違います。アップだけで1時間とか…。1日目が終わってあれっ、2日目終わってあれっ、という感じで4日目も走って、走って、それで階段を上がるもの痛い…。足の表と裏、両方ですよ。打つことに関しては久しぶりに打席に立ってピッチャーの球を見てぜんぜん打てない…。キレの違いを感じました。早く目が慣れてくれないかな?
守備ですか?今、特に不安はないですね。監督からも日に日にうまくなっている、と声をかけられました。今、コーチの方たちに教えてもらっている中で「低く入れ」と言われて、分でもそう思ってやっていたら(体調不良でキャンプを休んでいた)高さんにも3日ぶりに見てもらって「良くなっている」と言ってもらえました。