株主・スポンサーに向けての「感謝の夕べ」であいさつするサンフレッチェ広島の久保会長は、広島活性化のためにも各人の手でサッカースタジアム建設を…、と積極的に呼びかけた
サンフレッチェ広島の株主・スポンサーに向けての「感謝の夕べ」が12月8日、広島市中区のホテルであり400名以上の参加者で賑わった。
あいさつに立ったサンフレッチェ広島の久保允誉会長はチーム状況などについて触れたあと、遅々として進まない広島のサッカースタジアム問題についても言及した。
「18チームあるJ1の中で専用スタジアムがないのは4チームだけ(川崎フロンターレ、ヴァンフォーレ甲府、専用スタジアムを急ピッチで建設中のガンバ大阪、徳島ヴォルティス)。今度J1に上がる長野(松本山雅FC)でも専用スタジアムがあります。アウェーの17チームがやってくることで街ににぎわいも生まれるという話を聞いています。広島の地域の活性化に繋がるスタジアム。カープもスタジアムができて駅周辺が変わってきています。我々もサッカーを通じて地域の活性化を図り、広島はええとこ、とまた来てもらえるように、今日ご出席の各氏にスタジアム建設を後押ししていただきたいと思います」
久保会長の例年にない具体的な訴えかけは、裏を返せば危機感の表れと言える。サンフレッチェ広島の小谷野薫社長も委員に名を連ねるサッカースタジアム検討協議会は1年半も費やしながら建設主体も資金調達方法も、具体的なスタジアムの施設内容も管理方法も決めることができなかった。根本的な問題のはずの建設場所させ絞り込めていない。「早期完成」の市民、サポーターの願いも掛け声倒れになりつつある。
久保会長の話に耳を傾ける松井市長
このあと来賓あいさつのため登壇した広島県の湯崎知事は「2年前、優勝の時も申し上げましたが究極的には実現のためにはサポーターの力だと思います」と久保会長の話とはまるでかみ合わない返答に終始。それでもスタジアム問題に触れただけまだ会場の関係者も救われたが、続いてあいさつに立った広島市の松井市長は「私の方はメモを見ながら冷静に話ます」と切り出し「スタジアムについては知事が言いましたので割愛します」と結んで会場の失笑を買った。
来賓あいさつでメモを読み上げる松井市長
松井市長は昨年12月に公式の場で「サンフレッチェ広島は2位でいい」とコメントして広島市に苦情が殺到。その後陳謝したが市民、サポーターの間からはその後も疑問の声が相次いでいる。
かつてサッカー王国と呼ばれ、スポーツ文化を地域の大きな財産として、市民・県民の誇りとして育て上げてきたはずの広島が、このままではハード面において”J1のガラパゴス”になる可能性がある。
サンフレッチェ広島は「3本の矢」をもってこそ、ピッチの中でも外でも力を発揮する。
行政、財界、市民・県民・サポーターの3つを誰が、どう束ねていくのか?それができない限り、広島市内のサッカー専用スタジアムでホイッスルが響く日はまずやってこない、と考えた方がいい。
文責・新サッカースタジアム問題取材班
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