昨年7月の3者会談での松井市長。この時「広島みなと公園優位」と結論づけた3者会談、そこにサンフレッチェ広島の姿はまったくなかった。
広島の松井一実市長は3月17日、会見を開き新サッカースタジアム問題で、結論先延ばしの可能性を示唆した。
新サッカースタジアム建設を巡り2カ所が候補地となっているが、その実態は「広島みなと公園」ありきで、サンフレッチェ広島が以前から強く希望する「旧広島市民球場跡地」は”当て馬”に使われてきた。
しかし40万筆を超える署名と市民、サポーターの声をバックに、この事態を看過できない、としたサンフレッチェ広島の久保允誉会長が3月3日、スタジアム独自案、Hiroshima Peace Memorial Stadium(仮称)の旧広島市民球場跡地建設プランを公表。
この中で、サンフレッチェ広島は旧広島市民球場跡地に建設するよりほかに経営の安定化を図る道はなく、広島みなと公園の場合には使用しない使用しないと明言した。
この案と、松井市長、広島県の湯崎知事、広島商工会議所の深山英樹会頭で構成する3者会談の”既定路線”はまっこうから対決する形となっている。
この流れからも分かるように、サンフレッチェ広島の意向を組み入れないまま”規定路線”で突き進む3者会談側の問題がすべてと言っていい。
松井市長は会見の中で、サンフレッチェ広島側との協議しだいでは「3月24日」(関係者)とされている3者会談による「広島みなと公園に決定」表明時期を先延ばしする可能性もある、との考えを示した。
松井市長の話
事務的にいろいろ調整してます。確認作業もしている。それがぜんぜんうまくいかない、なかなかはかどらないというのならほんとに3月末までにやるという目標日程をどっかで調整しないといけなくなるかもわかりません。
また、松井市長は、久保会長が示した独自案について「収容人数が異なり、仕様の内容も明記されていない。その確認や比較が必要」としているが、そういう枝葉末節の部分は大きな問題ではない。広島みなと公園に建てる、とする3者会談側が10年先、20年先までどうサンフレッチェ広島の活動を担保するのか、その具体策が今なければ「宇品ありき」は何の説得力も持たない。
今回の松井市長の発言は、すでに3者会談の中で決定事項となている「広島みなと公園」案の正式発表を先延ばしするだけ、というもので、サンフレッチェ広島側との話合いはそのための段取りのひとつに過ぎない。
だが、それで終わることはないだろう。
同じく3月17日、久保会長はサンフレッチェ広島のホームページで、これまでの経緯について、3者会談側の主張に対し具体的な事例を挙げ問題点を指摘すると同時に、サンフレッチェ広島も交えた「4者会談」の早期開催を求めたことを明かしている。
広島新サッカースタジアム取材班