画像にある広島みなと公園にスタジアムを造っても、サンフレッチェ広島はここを使えない。多額の税金投入でなら可能性があるが、旧広島市民球場跡地ならまったく状況が違ってくる、とサンフレッチェ広島、久保允誉会長は訴え、市民・サポーターらもその状況の差を把握し始めた。
サンフレッチェ広島は2月23日午後、以下のリリースを出した。
広島みなと公園サッカースタジアム(案)における使用料の考察
年3月3日に株式会社サンフレッチェ広島(以下「当社」)が発表した、広島市中区の旧広島市民球場跡地を建設候補地とし、行政からの補助金に頼らずtoto助成金と民間資金で建設費用を賄う
「Hiroshima Peace Memorial Stadium」(仮)建設プラン(以下「本プラン」)に対して、
広島県知事および広島市長は本日までに「広島みなと公園を使用することで、なぜサンフレッチェ広島が赤字になるのか分からない」「広島県・広島市・広島商工会議所で進めるサッカースタジアム建設に関する検証作業に関して(当社の)誤解がある」あるいは「サッカースタジアム検討協議会報告書(以下、「報告書」)に対する当社の理解不足」といった発言をなされています。
つきましては以下の通り、当社が広島みなと公園に建設されるサッカースタジアムをホームグランドとして使用できないと考える理由のうち、当社の収支に与える影響について試算した内容をご説明申し上げます。
■経緯
昨年1月に報告書が広島県・広島市・広島商工会議所・広島県サッカー協会に提出された後、広島県・広島市・広島商工会議所はサッカースタジアム建設の協議を開始されました。当社は3月3日の本プラン発表以前の本年1月12日に、松井広島市長より「マツダスタジアム建設時の事業スキーム」「旧市民球場跡地の所有状況」と題した資料を受領し、スタジアム建設にあたっての借入金返済に関するご説明を受けました。
また、本年2月19日に広島県・広島市・広島商工会議所から構成されるサッカースタジアム実務者検証作業部会(以下、「作業部会」)より「サッカースタジアムの実現可能性調査の実施状況について」が発表されました。
そこで、当社は作業部会の試算結果である広島みなと公園サッカースタジアム建設費180億円のもとで、借入金の返済を可能とするスタジアム使用料について、外部専門家を交えて試算を行いました。
■モデル試算結果
数値例を用いた試算結果は以下のようになります。ここでの事業想定(1)は、主にマツダスタジアム建設時の想定を用いたものであり、事業想定(2)は、本プラン発表時の当社想定です。
なお、ここでは付随する歩道橋整備費や周辺整備費および土壌汚染があった場合の対策費などは考慮しておりません。
事業想定(1) 事業想定(2)
広島市 23.0 億円(マツダスタジアム実績) 広島市23.0 億円(マツダスタジアム実績)
広島県 11.5億円(同上) 広島県 11.5億円(同上)
toto 30.0億円(作業部会資料) toto 30.0億円(作業部会資料)
経済界 11.5億円(マツダスタジアム実績) 経済界 0.0億円(当社3/3発表)
寄付他 8.4億円(当社推定) 寄付他 10.0億円(同上)
借入金 95.6億円 借入金 85.5億円
返済 3.9億円(返済条件 金利1.5%、30年) 返済3.4億円(返済条件金利1.5%、30年)
維持管理費 1.7億円 維持管理費 1.7億円
スタジアム使用料 5.6億円 スタジアム使用料 5.1億円
このように、事業想定(1)においては、借入金95.6億円を上記の返済条件のもとで元利均等返済しようとすれば、年間の返済額は3.9億円になります。
当社が年間の維持管理費(1.7憶円)を払った上で、この返済を行うとすれば、年間のスタジアム使用料は5.6億円になります。
同様に、事業想定(2)における借入金85.5億円を返済した場合のスタジアム使用料は5.1億円となります。なお、上記の試算には大規模修繕積立金の不足は含まれていません。また、警備費、シャトル便(バス・船舶)などの費用も含まれておりません。
当社の平成27年1月期の実績を基にした広島みなと公園に建設されたスタジアムの損益推計は以下のようになります。
入場料収入の増加に比べて、大幅なスタジアム使用料増加による営業費用増加が予想されます。
項 目 実 績 事業想定(1) 事業想定(2)
営業収入 31.5億円 32.1億円 32.1億円
入場料収入 5.0億円 5.7億円 5.7億円
営業費用 30.2億円 34.8億円 34.3億円
スタジアム使用料 1.0億円 5.6億円 5.1億円
営業利益 1.3億円 △2.7億円 △2.2億円
■結論
マツダスタジアムの実績を用いた事業想定(1)では営業利益において2.7億円の赤字、3月3日に発表した本プランの数値を用いた事業想定(2)では同2.2億円の赤字となります。
また、返済期間を20年に短くしたり、金利想定(現在は1.5%で算出)を引き上げたりすると、本プラン発表時にお示したように、スタジアム使用料はさらに大きくなります。
したがって、広島みなと公園に建設されたスタジアムを当社がフランチャイズとして使用することは難しいと考えざるを得ません。
また、広島みなと公園に建設されるサッカースタジアム使用料を引き下げるには、多額の広島県や広島市の予算を使用することになります。
また、周辺の交通や港などにスタジアム建設費以上の整備費が必要になると思われます。
なお、協議会の報告書におきましては、当社は駐車場整備をはじめ、スタジアム周辺の整備がなされ、現在使用しているエディオンスタジアムよりも運営費が0.5~0.6億円ほどコスト削減ができる前提でスタジアム使用料1.4億円を想定していました。
スタジアム周辺の整備状況によりましては、当社の支払い可能額が大幅に減る可能性もあり、借入金の返済が全く不可能となり、さらに維持管理費すら充足できない可能性があります。
当社は、今月末に予定されている湯崎広島県知事・松井広島市長・深山広島商工会議所会頭による候補地決定までに、湯崎広島県知事・松井広島市長・深山広島商工会議所会頭と当社代表取締役会長・久保允誉との四者会談の開催を要請しております。
以上
広島みなと公園サッカースタジアム(案)における使用料の考察