2月、松井市長に「旧広島市民球場跡地利用に関する要望書」を手渡す広島市文化協会の山本一隆会長。山本会長は元中国新聞社代表取締役副社長。「要望書」にはイベント開催を円滑にするための上下水道、電源などの整備の必要性が盛り込まれている。
ひろスポ!関連記事
広島市文化協会が松井市長に「旧広島市民球場跡地利用に関する要望書」提出、その内容は「イベント広場」、サンフレッチェ広島のスタジアム案に「合築」でOKでは
hirospo.com/pickup/26881.html
中国新聞が5月17、18、19日の3日間、紙面上で「どうなる新サッカー場」を連載した。
17日の見出しは「議論の入り口で平行線」。サッカースタジアム検討協議会での話し合いを受け「広島みなと公園優位」の判断に至った湯崎知事、松井市長らの考えに対し、サンフレッチェ広島の久保允誉会長は同協議会ではその主張が受け入れてもらえていないとしており、両者は「平行線」のまま今に至っているという内容だ。
スタジアム問題を語る時、カギを握るのはまさにそこである。
18日の見出しは「一等地、暫定活用策続く」。旧広島市民球場跡地を巡る最近の動きを紹介して、最後に「都市公園法上、置けるのは運動施設、野外劇場、動植物園など大きく9項目。プロが主に使うサッカー場は市民に開放すれば可能だ。商業施設は建てられず興業目的での使用は原則できない」と久保案に牽制球を投げることも忘れていない。
確かにそうだがそれは「原則」だ。それにカープが長らくそこで普通に興業していた。
こんな記事のまとめ方はどうか?
我々、中国新聞グループも現在、チチヤスなどで開催しているちゅーピークラブのイベントを恒常的に、いろいろな場所でと…。たとえば旧広島市民球場跡地は現在「民間に無料で貸し出す」。この先もそうなるならば、跡地イベントは出店者がブース設置などの費用を負担するので主催する側は人が集まれば丸儲けである。すでに松井市長には水道、電源などインフラの早期整備の要望も出されている。新聞業界は部数減による販売、広告収入減のダブルパンチ。しかし媒体力、動員力では地域の一番星であり、今後は大規模イベントに活路を見い出したい。
19日の見出しは「物流に影響、業者反発」。そんなことはひろスポ!ではもう、昨年の3月からずっと言い続けている。
ひろスポ!関連記事
あす広島市長選告示、だが宇品・出島地区の港湾関係者から広島みなと公園へのサッカースタジアム建設にブーイングの嵐
hirospo.com/pickup/16588.html
ところでこの19日の記事には…
「3者は業者側に歩み寄る姿勢を見せている」(ひろスポ!解説、松井市長らが港湾関係者の声を考慮した、という意味)とあり、「併設施設に大規模な国際会議場などを設けるMICE(マイス)施設を例示していたが、後退させた。整備費に公金投入が見込まれるのに加え…(中略)理解を得られないと判断した」とある。
ひろスポ!で作業部会に以前、「なぜMICEを執拗に広島みなと公園スタジアムプランに入れるのか?」と尋ねたら「それはサッカースタジアム検討協議会で決まったことだからです」と返された。
ならば久保会長が強く主張するように、スタジアムの規模も2・5万人クラスで作業部会側が歩み寄ったらどうか?
ずっとこの問題を追いかけてきて感じるのは「3万人」の数字自体の不自然さである。この数字は旧広島市民球場跡地におけるスタジアム建設が困難になるよう持ち込むためのダミーではないのか?サッカースタジアム検討協議会の中である時期からそれがまるで決定事項のように語れるようになったのは誰かが意図的にそうした、と考えた方が合点がいく。当時の委員のひとり、サンフレッチェ広島社長の小谷野薫氏らが強く意を唱えていたのは紛れもない事実である。
また今回の中国新聞、連載記事の初回では、「湯崎知事、松井市長とも疑問を呈す」の前フリのあと金科玉条のごとく「多くの意見を取り込み時間をかけた手続きが有効じゃなく、4者会談じゃないと物事が決まらないというのは合点がいかない」(松井市長)…との見方が紹介されている。
ところが、その「時間をかけた手続き」の主たる部分であるサッカースタジアム検討協議会とその議事録について「あれは議事録ではない」「我々、委員は署名捺印を拒否した」「サッカースタジアム検討協議会が終了したとも聞いてない、またやるならぜひ呼んでもらいたい、あんな中途半端なまま終わってはダメでしょう」などの声が複数の委員から上がっていることは、今回の連載にはまったく触れられていない。
一方で、協議会で検討したことが「絶対」なのかと言えばそうでもない。先に紹介したように作業部会のさじ加減ひとつで「歩み寄り」も可能なのである。
作業部会はなぜ港湾関係者にだけは「歩み寄り」、スタジアム問題の主役のひとりであるサンフレッチェ広島には歩み寄ろうとしないのか?
今回の中国新聞の連載には不思議なことはまだある。市民、県民、サポーター、本通りなど旧広島市民球場跡地周辺の商店街関係者や町内会などの声がいっさい拾われていない。
今回の連載記事は5人もの記者による署名記事である。5人いてもやれないなら、少数精鋭!?のひろスポ!でやるしかない。
近いうちに広島のサッカースタジアム問題に関する街の、さらには”国内外の声”を特集する。
広島新サッカースタジアム取材班