日本代表合宿に初参加した浅野拓磨(撮影・春木 睦子)
ロシアW杯アジア最終予選B組(8月31日、日本2-0豪州、埼玉スタジアム2002)
日本は前半41分にFW浅野拓磨(22歳、シュツットガルト)が先制ゴール。後半37分にはMF井手口陽介(21歳、ガンバ大阪)が追加点。最後まで集中力を保った日本は、W杯予選で勝ったことがなかった豪州を完封、6大会連続6度目の本大会出場を決めた。
浅野拓磨は風になる。
2015年5月、日本代表合宿にサンフレッチェ広島から初参加。チーム最年少、二十歳。
「うまい選手はたくさんいましたし、うまいなと思うこともありましたけど、その中で自分もできるんだという気持ちもありますし、やらないといけない」
そう話す表情はまだ初々しいものでした。
「彼は自分を追い込み過ぎる傾向にある、時にメンタルが心配にもなる」サンフレッチェ広島、森保監督(当時)の言葉です。
2015年、サンフレッチェ広島J1制覇。浅野選手は文字通り、その突破力でチームを牽引しました。
「常に全力で、100パーセントで頑張ろう」
森保監督から言われた言葉をずっと大切にしてきました。そして、とうとう別れの時がやってきました。「ずっと寂しい」とそんな言葉が思わず口を突いて出ました。サンフレッチェ広島での練習最後の日のことでした。
でも、こうも言いました。「監督からそういうことを言われ、僕はそういう気持ちでやれてることですごく成長できていたと思う」
次の日にエディオンスタジアム広島であった横浜F・マリノス戦は1-2惜敗。
「悔しいまま広島を去らないといけない」
翌朝、浅野選手は自分を大きく育ててくれた広島に、みんなに別れを告げました。多くのサポーターやチームメートに見送られ、海外挑戦の成功と五輪代表での活躍を約束して…
2016年7月18日のことでした。
それからまた夏が来て、8月になりブンデスリーガ幕戦、さらに豪州戦代表メンバー発表、28日浅野選手帰国。
そしてきょう、浅野選手は日本代表合宿初参加の、あの日に誓った「自分でもできる」その思い。
身を削るようにして培ってきたその思いを、言い尽くせぬ重圧の中で、忘れられぬ瞬間のひとつとして鮮やかに表現したのです。
それは、応援してくれた全てのサポーターへ、自分を育ててくれた指導者、仲間たちへ、素晴らしい環境を提供してくれた人々へのメッセージ。
足踏みすることの許されない、SAMURAI BLUE
その行く手に新風を吹き込む、次なるステージへのプロローグ…
浅野拓磨は風になる
この次も、その先も「ゴール、その1本を狙って」また風になる。
ひろスポ!浅野拓磨取材班
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