2019年9月27日、マツダスタジアムで最終戦のあとあいさつする緒方監督
矢野阪神が9月29日、怒涛の5連勝でとうとうCS出場に王手をかけた。マツダスタジアムで全体練習を再開した広島ナインは黙ってことの顛末を見守るだけ、だ。
ところで、ひろスタ!特命取材班には広島が中日に敗れて自力でのCS切符獲得を逃した9月27日、カープファンから多数のメールが届いた。その中のひとつ。そこには次のように記されていた。(原文のまま)
久しぶりに一軍のグランドに立つ赤松を見ましたが、やっぱり痩せたなって印象で、お疲れ様とありがとうと彼には言ってあげたいです。
さて、試合の方ですがまるで2015年の最終戦を見ているようでしたね。
結局、この緒方って人はここまでの事が何もわかっていなく、反省や問題点に関しての対策などとは無縁の人間なんだと確信しました。
こーゆー人は同じ過ちを何度でも繰り返します。
唯一勝機のあった5回、ジョンソンをそのまま打席に立たせる愚行。(そこは代打でしょうに)
何の為に先発陣を待機させてるのか?
そして6回、明らかに木下にタイムリーを打たれ、気落ちしているジョンソンを続投させるさらなる愚行。
緒方の言う総力戦って何なんですかね?
彼の言うそれは単にファンのガス抜きに使ってるんじゃないんですかね。
2015年の最終戦、2016,18年の日シリ、2017年のCS、そして昨日の最終戦とここぞの短期決戦を負け続ける「指導者」緒方って何者なんですかね?
昨日の最終戦を見て、私的には「2015年の最終戦、こんにちは。またここに帰って来ました。」って感じでした。
本当の本当に監督がまともな采配をしていれば少なくともマツダでCSは出来ていたんではないかと思うと悔しくてたまらんです。
この期に及んで負の原点に帰るなよ!監督さん!
メールは以上
この中の一文「2015年の最終戦、2016,18年の日シリ、2017年のCS、そして昨日の最終戦とここぞの短期決戦を負け続ける「指導者」緒方って何者なんですかね?」に頷くファンも多いかもしれない。
今回は「2015年の最終戦」のみ、補足する。
2015年は緒方監督の1年目のシーズン。野村前監督が2年連続3位と奮闘したあとを受けたが4位に終わった。黒田博樹、新井貴浩の復帰で球団史上初の主催試合シーズン200万人突破を果たした記念すべき年だったため、緒方監督には厳しい声が飛んだ。
実はこの時も広島は最終戦までどう転ぶか分からなかった。(今季は最終戦が終わっても?ではあるが…)
広島は残り12試合から4連敗、そこから5連勝で68勝69敗3分け。残り3試合。●○で69勝70敗となり143戦目、やはりマツダスタジアムであった中日戦に前田健太を立てながら0対3で敗れて勝率5割を逃すと同時に3位を逃した。先に143戦を終えていた3位の阪神は70勝71敗2分けだった。
ちなみに敗れた最終戦、七回まで125球の前田健太はゼロ封。八回の大瀬良と中崎が中日打線につかまり3失点。今回、大瀬良を待機させながらジョンソンを引っ張ったのはまさかそのせい…???
ひろスポ!とコンテンツを共有する携帯サイト「田辺一球広島魂」のコラム「赤の魂」では2015年10月7日の中日戦のことを次のように「記録」している。
「赤い心の行方」
最も期待の膨らんだシーズンは、143戦目、マツダスタジアムのラストゲームで全てがゼロにリセットされた。
優勝を逃してからは「勝てばクライマックスシリーズ…」と言い続け、実際には3位阪神の背中に手をかけた状態までは来たが、結果的には1勝差でBクラスに舞い戻った。
シーズン211万266人の球団新記録。「ファンもスタジアムも日本一」だが肝心のチームは勝率5割さえ届かず。試合後のセレモニーもなく、緒方監督の謝罪会見もなし、ではファンは納得しない。ベンチにはファンから水がかけられ、「試合中にモノが飛んでくるためベンチの後方に警備員を配置した」野村前監督時代の空気に完全に逆戻りした。
「2年間クライマックスシリーズに行って4位になったがチームが後退しているとは思わない。中崎もそう、若い選手も少しずつ成長しているし、最後は力を出しきれず悔しさもあるだろうけど…」
試合後の指揮官のコメントに同調するファンは果たして何割程度いるだろうか?
「チームが後退しているとは思わない」と言うならチームにごく近い関係者の「自分たちは弱いという認識から始めることが肝要」との見方の真逆を行く。
「後退していない」チームがDeNAやこの日の中日に手を焼き、しかも最終戦は初回の新井貴浩が放った1安打だけ。これで「成長している」と言えるのか。クライマックスシリーズ、ファーストステージで21イニングゼロ行進の末、幕引きした1年前と何も変わっていない。
「誰がどう、というわけでなく、自分も含めてこの悔しさを来季へ向けてこれから立ち向かっていくだけ」
そんな話も出ていたが、このような抽象的な言葉でシーズンを締め括ることを本気でよし、とするならば1年後の今日も必ずまた同じことを繰り返しているだろう。
「悔しさ」なら中日・谷繁監督だって十分に持ち合せている。それゆえに、この最終戦に山本昌の50歳代プロ初マウンドを「打者一人目限定」で用意し、二番手に広島打線の天敵・大野を持ってきて、七回からは10月2日のマツダスタジアムで初の二けた勝利を逃した若松を持ってきた。
その「術中」にいとも簡単にハメられておきながら「悔しさ」をぶつけるぐらいで来季が大きく変わるとはとても思えない。
ラスト登板で7回無失点の満点投球を披露したマエケンはメジャーへと海を渡り、新井貴浩は来季こそ、と“新天地”にそのすべてを賭けるだろう。
黒田はいくら報道陣が尋ねても「続けるにしても覚悟が必要」と明快な答えを返してこない。
そして8月半ばから100パーセントに近い形で「3点取られたら終わり」をただ繰り返し、ラストの大一番でも見事にそうなった緒方監督は無条件で続投する流れとなっている。
水浸しのベンチはファンの怒りとその涙。八回、中日打線に決勝打を浴びた大瀬良の涙もファンの悔し涙。
戦後70年の広島に何も残せなかった、24年も優勝から遠ざかるような集団は郷土の誇り、とはとても思えない。(田辺一球)