トップ画像は広島出身、DF左山桃子。
サンフレッチェ広島女子チームが2月15日、広島市内で初めてとなる合同練習を行った。
サンフレッチェ広島女子…、そうまだチーム名が決まっていない。チーム名決定など、正式な会見などは3月に予定されている。そんな中、女子チームの正式な活動開始、がバレンタインデー翌日となった。
9月に始まる国内初の女子プロサッカーリーグ、WEリーグに参戦する11クラブの中でゼロからスタートするのはサンフレッチェ広島女子のみ。選手獲得も昨年12月25日のクリスマスに最初のメンバー5名が発表され、2月5日にセレクション合格者4名が発表された。
計25名のうちこの日は19名が参加して初日としては多めの運動量をおよそ1時間半こなした。すでに広島入り後、2週間程度の自主トレを続けていた選手もいるため、全体的な動きにはバラつきもあった。しかも初回とあって最初は緊張気味…?でも、途中からは声もよく出るようになり、最後は笑顔で記念撮影、となった。
この日集まったメンバー全員で初日の記念撮影
画像前列右端のDF左山桃子と後列左端のFW齋原みず稀はチームで2人だけの広島出身選手、前列中央はチームリーダー、国際Aマッチ100試合出場のDF・MF近賀ゆかり
ボールゲームの齋原みず稀(右)とMF中嶋淑乃
初日から雰囲気上々…
指示する中村伸監督
前列左端の近賀ゆかりを先頭にジョグ
広島スポーツにおいては被爆の惨禍から市民球団として産声を上げたカープ
が昭和、平成、そして令和とその歴史をこの街に刻んできた。
さらに’92Jリーグヤマザキナビスコカップ開催でサンフレッチェ広島が広島第2のプロスポーツ団体として名乗りを上げた。
そして2016年、バスケの男子プロリーグ、Bリーグの誕生でここに広島ドラゴンフライズが加わった。
今回は”第4の波”。そして初めての女子クラブ…
午前9時からグラウンドに姿を見せた選手たちはマスク着用でセンターサークル付近に集まり、サンフレッチェ広島の仙田信吾社長の言葉に耳を傾けた。
サンフレッチェ広島がなぜWEリーグに挑むか、その価値を選手たちに説明する仙田信吾社長、右奥は中村伸監督
仙田信吾社長の話の要旨
ついにこの日を迎えることができたという気持ちでいっぱいです。
日本を代表する選手、新進気鋭の選手に集まってもらいました。チームワーク、団結心、ひたむきな努力で強くして行ってもらいたい。
また地域に溶け込んで、社会貢献していただきたい。
広島はサッカー王国とよく言われます。実は日本初の国際親善試合は広島であったと言われています。広島の似島で第1次世界大戦のちに捕虜になっていたドイツ兵士と広島高等師範学校が試合をしたからです。
その伝統がのちに活きます。被爆から2年後、全国中等学校蹴球大会(現全国高校サッカー選手権大会)で広島高師付中が優勝するんです。校舎は(被爆で)倒壊、校庭も芋畑、ボールは一個、被爆の後遺症と戦いながらも勝てたのは、広島のサッカーだけがドイツサッカーの流れで両足でボールを操れたからです。
広島最強伝説。
1965年から始まった日本リーグでもサンフレッチェ広島の前身、東洋工業はいきなり4連覇。それが1968年のメキシコ五輪銅メダルに繋がります。代表18人中6人が広島関係者で被爆者でもある長沼健(のちの日本サッカー協会会長で日韓W杯開催の立役者)が監督でした。
日本のサッカー、サッカー王国広島を背負っているのがサンフレッチェ広島です。
…でも日本男子は世界一になっていない。
女子は世界一になれました。
だから女子サッカーに対する日本中の期待度は大きいのです。
そして中四国唯一のクラブとして我々は存在するのです。
どうか全力で日々、戦ってください。
一方で、今男子が57クラブ、そのうち4割は債務超過です。しかしフロントは懸命にみなさんを支えていきます。安心して練習に打ち込み、社会貢献に努めてください。
広島ではこのようにたくさんのメディアに集めってもらえます。できるだけメディアに登場していきましょう。
広島県民のみなさんが期待しています。その力を全国に示しましょう。女子サッカーの灯を大きくともしましょう。
練習後の中村伸監督の話
非常にいい表情でスタートできた印象です。(全体的なメンバー構成は)バランスがいい、特徴のある選手が集まっているのでわくわくしています。仲良しでやるつもりはないですけど、雰囲気を大事にやっていきたい。
経験のある選手たちにはチームをまとめていく上で力を貸してもらうよ、という話はしています。それとミーティングで先ほど全員には話をさせてもらいましたが、全員がチームの中で自分が先頭に立ってやっていくという自覚と責任感をもってやっていこうね、と。選手個々が成長する環境の中で切磋琢磨して、チームとして右肩上がりに、こつこつとひとつずつ積み上げて活動していきたいと思っています。開幕へ向けてでもそこがゴールではないのでチームの土台作りを進めていきたい。まず目の前の試合に対して準備して全力で挑むことからのスタート。
あとはWEリーグに対してもサンフレッチェ広島女子に対しても関心を持っていただいているという話をたくさん聞きますので、一体感と躍動感を持ってチームとして応援してもらえるようなプレー姿勢を持って、地域のみなさんと一緒に高みを目指してやっていきたいと思います。