画像はキャンプで意欲的に投げ込む遠藤
4月6日 〇3-0 阪神 マツダスタジアム
通算5試合1勝4敗
18時開始・1時間53分(中断21分)、20,935人
相手先発 ●西純5回6安打3失点
広島本塁打 デビッドソン2号②
出場登録 遠藤(5日)
一番セカンド菊池
二番ライト野間
三番センター秋山
四番ファーストマクブルーム
五番レフト西川
六番サードデビッドソン
七番ショート田中広
八番キャッチャー曾澤
九番ピッチャー遠藤〇(1試合1勝)5回3分の0、88球3安打無失点
新井カープ、5戦目にして初勝利!となった。
ここまでの道のりは険しかった。
開幕3連戦で高津ヤクルトにねじ伏せられ、マツダスタジアム帰還後の阪神1回戦も頼みの栗林が打たれ、3試合連続の1点差負け。
前日は降水確率午後6時以降90%なのに球団サイドが予定時刻の午後3時には開門して、中止決定の午後5時30分まで余計な体力と気を使った。
迎えたこの日の降水確率が午後になって60%から80%に上昇…このパターンは情報の限られる相手先発にとっては厳しいものになる。「試合、ないだろう?」と思いながらマウンドに上がってKOされる例は枚挙にいとまがない。
阪神の先発はカープ大野寮がある廿日市市阿品台中学出身の西純。高卒4年目で初の開幕ローテ入りを果たした。
1カ月前の3月6日、京セラドームであった日本代表の強化試合では山川穂高をフォークで、村上宗隆を151キロ高目のストレートで空振り三振に仕留めて成長した姿をプロ野球ファンに披露した。
だが、雨のマツダスタジアムでは少々、勝手が違ったようだ。初回、高目に浮いたまっすぐを野間に振り切られて、レフトフェンス直撃の二塁打。続く秋山にも初球ストレートを中前適時打された。
四回には先頭の西川に8球目を中前に落とされると、デビッドソンには高目に入ったスライダーを捉えられた。雨のカーテンを突いてぐんぐん伸びる打球はセンタースタンドに楽々届いた。
一方、高卒プロ6年目、スライド登板となった遠藤は今季初スタメンマスクの曾澤と組んでスコアボードにゼロを並べた。
オープン戦ではチーム最多の15回を投げる機会を与えてもらった。新井監督や首脳陣の期待の大きさを肌で感じ、また時には直接励ましの言葉ももらいながら「シーズン二桁勝利」を誓い、この日を迎えたのである。
広島の夜空は意地悪?で、不思議と遠藤が投げる時の方が雨脚が強まった。グラウンドの視界が悪くなるほどの雨が降る時間帯もあった。
そんな状況では自慢の回転数の多いスピン球が使えない。手にロジンをつけたぐらいではどうにもならない。
オープン戦ではわすか2四球。しかしいきなり初回に大山を歩かせて二死一、二塁と得点圏に走者を背負った。二回には先頭の森下にまともにぶつけて帽子を取った。三回と五回にも先頭の近本を歩かせた。
それでも5回完封できたのは、一度も雨を気にする素振りを見せず、足元に視線を落とすこともなかった集中力のおかげだろう。
2月のキャンプから準備を重ね、自身の変わり身をファンに、ベンチのみんなに見てみらいたい、新井監督に勝利をプレゼントして恩返ししたい、だから「絶対に勝つ」と自分に言い聞かせて投じた球数83。
六回、先頭の佐藤輝に6球投じたろころで野球ができる状況ではなくなり審判団が中断を決断した。広島のブルペン陣は開幕以降、次々に失点してすでに負けが3人についている。
最後は雨が味方してくれた。
試合後、一塁ベンチ前に整列した新井監督ら首脳陣とナインにスタンドから送られる拍手は雨音にかき消されるほどだった。
がむしゃらに現役時代を過ごしてきた新井監督のスタートにふさわしいエンディングが、広島の空から見下ろす、しかし我々の目には見えない存在によって用意されていたことになる。(ひろスポ!取材班&田辺一球)
※さらに詳しいカープ記事はnote 、田辺一球で検索!無料開放中!