画像は広陵の真鍋慧
第105回全国高校野球選手権記念広島大会第11日(7月26日)
準決勝2試合がぶんちゃんしまなみ球場であり広陵と広島商が29日の決勝に進んだ。
<ぶんちゃんしまなみ球場>
広 陵 110 100 304・10
呉 港 000 000 000・0
新 庄 032 002 001・8
広島商 003 020 15X・11
1911年に「球術部」として発足した広陵と、1928年創部で6年後の第20回大会で全国制覇を成し遂げた呉港。古豪同士の対戦は、序盤で着々と加点し、後半で呉港の継投策に対応して大量点を奪った広陵に軍配が上がった。
呉港は昨秋の県大会で広陵に0-9のスコアで敗れ、今春大会でも1-3で敗れ「打倒広陵」を掲げて臨んだが三度その壁に跳ね返された。
なお知られるところではあるが、広陵の中井哲之監督は1990年、27歳の時にチームを率いて現在61歳。呉港の片岡新之助監督は2019年末就任の75歳。西鉄・太平洋、阪神、阪急でプロ生活を送り広島でも17年間コーチを務めたのちに社会人野球指導者も経験した。
試合は今大会注目の右腕で1年時から広陵のエースナンバーを背負う高尾響(2年)vs呉港打線という構図になった。
しかし準々決勝の如水館戦で9回を投げて13奪三振だった本格右腕は簡単には打ち崩せない。序盤3回を終えて内野安打1本。打順二回り目の四、五、六回も散発のシングルヒット3本止まりで、七回には6点のビハインドとなって最後まで追いすがることができなかった。
100球前後が予定されていた高尾響は八回途中でマウンドを二番手の倉重聡(3年)に譲り、決勝への余力を残した。
また大会ナンバーワンスラッガーの真鍋慧(3年)は第1打席で1ストライクからの内角球を右中間方向へソロホームラン。これがチームにとっても今大会第1号になった。
真鍋慧の第2打席は左飛、第3、第4、第5打席は二ゴロ、第5打席は右犠飛。大会通算では18打数5安打、打率・278と乗り切れていないが一発出て決勝ではどうか?
……
新庄と広島商は野球スタイルが似通っていた。放った安打数は新庄15、広島商17で他の数字もほとんど一緒だった。
・選んだ四球数 新庄3 広島商4(申告敬遠1含む)
・三振した数 新庄6 広島商7
・決めた犠打数 ともに2
・放った犠飛数 ともに1
・決めた盗塁数 ともに1
差が出たのは失策数で広島商0に対して新庄は2。そのひとつが5点リードで迎えた三回に出た。一死二、三塁の場面で中前打されセンターが後逸。一挙3点を返された。
それでも昨秋から新庄のエースナンバーを背負った大会屈指の右腕、新田遥輝(3年)は粘り強く投げ続けた。五回に試合は振り出しに戻り、六回に2点勝ち越し。その裏、右打者への外角ストレート、左打者外角へのややシュート回転する速球が決まって残すは3イニング…
しかし広島商打線はどんな投手に対してでも適応する打撃術を備えている。
七回、広島商は三番からの攻撃となり、シングルヒット3本で1点差に迫られた。真っすぐも緩い変化球も打たれた。最後は七番・綾部晴慶(2年)に外角球を軽打された。七回を終えて球数126。
八回も球威や制球力が極端に落ちた訳ではなかったが5巡目の広島商打線を抑えることはもうできなかった。一死から一番以下に申告敬遠や犠飛を挟み5連打された。弾丸ライナーのようなヒットはなく、グラウンダーが内野手の間やライン際を抜けていったのである。
完投した新田遥輝の球数158。
広島商は21年ぶりの顔合せとなる広陵との決勝でも、”新田攻略打法”を見せつけるだろうか…
(ひろスポ!取材班&田辺一球)