画像は八回、2点適時打を放つ海田の田中大夢
春季広島県高等学校野球大会 兼 第142回春季中国地区高等学校野球大会広島県予選会(5月11日・ぶんちゃんしまなみ球場)
決勝
海田 000 000 020・2
広陵 001 232 00X ・8
3位決定戦
崇徳 000 300 000・3
尾道 020 000 05X ・7
決勝は3年連続で決勝に進んだ広陵に、1954年の創部以来、初の決勝進出を果たした海田が挑む構図になった。
海田スタメン(学年)
サード吉田淳之助(3年)
ライト藤原侑大(3年)
センター田中大夢(3年)
ショート光井健志郎(3年)
キャッチャー内谷治起(3年)主将
レフト堤一修(3年)
セカンド後藤亘(1年)
ピッチャー松本遼太(3年)
ファースト権現慎一(3年)
広陵スタメン(学年)
センター濱本遥大(3年)
ライト田村夏芽(3年)
ファースト土居湊大(3年)
キャッチャー只石貫太(3年)主将
レフト枡岡憲志(3年)
サード酒井綾希人(3年)
白髪零士(2年)
ショート澤田光(3年)
ピッチャー堀田昂佑(2年)
結果的には広陵が8-2のスコアで勝って、大会初の3連覇(19度目の優勝)を果たし、中国地方での連勝記録を41に伸ばした。
だが「文武両道」、毎年、複数の部員が国立大に進学する海田の、挑戦者としての姿勢にも見るべきものがあった。
広陵は今春のセンバツでスタメンに名を連ねた選手が多く、特に一番から四番は”超高校級”だった。先発左腕の堀田昂佑も”夏の頂点”を見据えた中井哲之監督が百戦錬磨の高尾響との”ダブルエース構想”を進める逸材で、今大会では全5試合でマウンドに上がったのである。
試合は初回、先攻めの海田が上々の入りを見せた。二番藤原侑大が変化球を捉えて中前打。二死一塁となって四番光井健志郎のバットも快音を発したがレフトライナーだった。
その裏、海田を決勝まで引っ張ってきた右腕エース、松本遼太は思い切ってゾーンに投げ込むピッチング!わずか9球で3人を抑えた。
だが、堀田昂佑の前に海田打線は二回以降、打球が外野に飛ばなくなった。慎重な立ち上がりを見せていた広陵バッテリーが力勝負に切り替えたから、だ。
二回も11球で片付けた松本遼太だったが、三回には下位打線につかまった。ヒット、送りバント、タッチアップで二死三塁とされると、広陵一番を任される濱本遥大に左前適時打されて先制点を奪われた。
打順二巡目の広陵打線は簡単にはアウトになってくれなかった。球数が増え、気が付けば四回に2点、打順3巡目の五回には3点、六回にも2点がスコアボードに点灯してワンサイドゲームになった。
ノックの数を増やすなど練習を工夫して固めてきた海田の守りに大事なところで2度、3度と解れが生まれ、十分過ぎるほど警戒していた広陵の足にもかき回された。
おそらく回を重ねるごとに”常勝広陵”の圧が強まって、海田ナインの”普段着”を奪い去ったのだろう。
海田エースの松本遼太、真っすぐと変化球のキレで広陵打線に向かっていった
八回の海田、代走の細工優真(2年)も生還して2点目…捕手は広陵主将の只石貫太
それでもスタンドに詰めかけた海田関係者らの声援は大きくなる一方で迎えた八回、ついに海田打線が着火した。
広陵のマウンドには七回から救援登板した同じく左腕の山口大樹(3年)。途中出場の山崎慎之甫(3年)が追い込まれながらも粘って右前打。同じく途中出場の福間太一(2年)も中前打して無死一、三塁。そのあと二死二、三塁となって三番・田中大夢が左前に2点適時打!”本気”の広陵から力で複数得点をもぎとった。
海田は昨秋の広島大会準々決勝で広陵に1-7のスコアで敗れた。それから半年で両者の力量はわずかではあっても縮まったのではないか?記録に表れないミスがなければ今回は6点差ゲームにはなっていない。
広陵は決勝戦の締め、として九回二死無走者、ボールカウント1-1の場面で高尾響をマウンドに送り、真っすぐ2球でゲームセットになった。海田ナインの闘争心はさらに搔き立てられただろう。第1、第2シードから甲子園切符を目指す両校はこの夏、どんなドラマを演じてくれるだろうか…
なお、3位決定戦に出場した尾道、崇徳、優勝した広陵、準優勝の海田は6月1日に開幕する第142回春季中国地区高等学校野球大会に出場する。同大会は鶴岡一人記念球場(呉市)と東広島アクアスタジアム(東広島市)で行われ、決勝は4日に鶴岡一人記念球場で開催される。(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)
春季中国地区高等学校野球大会組み合わせ
崇徳-倉敷商(岡山)6月1日午前10時から鶴岡一人記念球場
広陵-鳥取城北(鳥取)6月1日午後0時30分から鶴岡一人記念球場
海田-益田東(島根)6月1日午前10時から東広島アクアスタジアム
尾道-宇部鴻城(山口)6月1日午後0時30分から東広島アクアスタジアム