画像は森下”マダックス完封”を映し出すマツダスタジアム大型映像装置
6月25日 〇3-0ヤクルト(マツダスタジアム)
ヤクルト 000 000 000・0
広 島 000 003 00X ・3
広島通算65試合34勝27敗4分け(首位キープ、2位阪神に3差)
18時1分開始・2時間32分、29,575人
相手先発 高橋奎6回9安打3失点
広 島本塁打 -
ヤクルト本塁打 -
広島登録抹消 △森下△コルニエル(感染症特例代替選手)
広島スタメン
一番センター秋山
二番ライト野間
三番レフト上本
四番ショート小園
五番ファースト堂林
六番セカンド菊池
七番サード二俣
八番キャッチャー曾澤
九番ピッチャー〇森下(10試合6勝3敗)9回91球2安打無失点
プレーボールから降り続く雨が九回のマウンドも濡らした。グラウンドキーパーが土を入れる間も森下の表情は変わらなかった。8回までわずか85球、許したヒットはサンタナ(二回)、松本直(六回)の2本だけ。背負った走者もこのふたりだけ…
そして九回、先頭の青木を1球で二ゴロに打ち取ると、西川は4球目で左飛、丸山和もまた初球二ゴロアウトでわずか2時間と32分での完封勝ちとなった。
「いいスタートが切れたらいいな、と思ってマウンドに上がったのでほっとしています」曾澤とともに上がったお立ち台で森下はそう切り出した。前回投げたベルーナドームでは五回1イニングで5点を失い、9戦目にして初めてクオリティスタートに失敗した。翌日には登録を抹消され、交流戦登板を1度飛ばして中12日で新たな”重責”に挑むことになった。開幕から11試合続けて床田が投げていた「火曜日登板」でローテの先頭を切ることになったのである。
「火曜日という週頭で、ほんとに素晴らしいピッチングでした。彼に期待するものはたくさんありますので、きょうも100%以上で応えてくれました」(新井監督)
「期待するもの」のひとつが修正力。悪かったところを反省して次回投球ではそれを生かす。完封への最大の関門となったのが六回、ヒットと送りバントで招いた一死一、二塁の場面だった。
ここで一番西川へ初球ストライクのあと曾澤と内野陣がマウンドに集まった。思いを共有したあとサードゴロでツーアウト。続く丸山和はしぶとく粘られながら10球目でショートゴロに仕留めた。
「期待するもの」は二刀流のバットも指す。ヤクルト先発高橋奎は「投げてみないと分からないピッチャー」(朝山打撃コーチ)。4月の対戦では1度目で打ちあぐみ、2度目はKOした。そしてこの日は前者になった。
毎回のように走者は出しても1点が奪えないまま、ピンチをしのいだ直後の六回の攻撃。二死一、二塁で”対高橋奎用”の七番二俣(4月25日の神宮球場でプロ1号ホームラン)が高々と打ち上げたフライをショート長岡がグラブに当てて落球…思わぬ形で先制したあと、曾澤が詰まりながらも左前に落として貴重な2点を追加した。
ヤクルトバッテリーがこの時空いていた一塁ベースを使わない選択をしたのは、2打席連続で森下に147、8キロの真っ直ぐを右前と中前打にされていたからだ。そして3点ビハインドとなった直後の3打席目でもやはり真っすぐを右前に弾き返されたのだった。
打った森下は今季2度目の猛打賞。規程投球回にも達し防御率・1・58で第5位にランクインすると同時に打率も・429(21の7)に跳ね上がった。
「今度は自分が(床田のあとを受け)先頭で頑張る」との思いを、文字通り投げて、打って形にすることができた。
お立ち台の曾澤はこの日の投球について聞かれると「完璧です!はい!」と太鼓判を押した。6回9安打1四球3失点、自責0の高橋奎は球数120球、対する森下は自身初のマダックス(二桁球数で完封)でわずかに91球だった。