「やがて首位打者を狙うようになる…」
ひろスポ!で早くからほれ込んでいた菊池のバットが試合を決めた。
延長十回、一死満塁から中日・福谷の投じたベルトよりやや高いところに来た快速球…。乾いた打球音とともに前進守備のセンター遥か上空を通過した打球は、バウンドしてスタンドへ、絵に描いたようなサヨナラ勝ちで、優勝の行方を大きく左右する9連戦初戦を白星に換えた。
八回までゼロ8つのエース前田健太に代えて九回はミコライオ。しかし1対1の同点にされた。藤井の痛烈なライナーに菊池が横っ飛び。つかみかけた白球がグラブの先からこぼれて、逆に二塁走者・平田の本塁生還を許した。見るとグラブの紐が切れていた。
菊池には心に誓ったことがあった。
スタメンで起用され始めた昨シーズン、5月7日のマツダスタジアム、DeNA戦でエラー3連発…。前田の白星を帳消しにした。
「あの日のことは一生忘れない。あの日の出来事を糧にして、かならず前を向いて進んでいく…」
その思いで、特にエースが投げる試合では集中した。
他のナインも気持ちは一緒。八回にはショートの田中が好守を見せ、九回、中日先頭のルナの打球は丸のケガをも恐れぬランニングキャッチでアウトにすり替わった。
だから菊池も九回、一死一、二塁からのセンターに抜けるはずの打球に体ごととびついて行った。わずかに届かなかったが「それならバットで…」とすぐに切り替えた。
お立ち台で「優勝しましょう!」と菊池。
なお、余談ではあるがセカンド菊池の大好物は「ショート」ケーキ…、甘く危険な香りがカープ女子圧倒的支持、の要因であることは言うまでもない。