マツダ専用埠頭に錨泊中の自動車運搬船、広島みなと公園は画像左手側、右手側には出島地区と一体的に運用している海田コンテナターミナル
ひろスポ!新サッカースタジアム取材班は2月18日、広島御三家のマツダ株式会社がサンフレッチェ広島の「旧広島市民球場跡地」へのHiroshima Peace Memorial Stadium(仮称)をバックアップしていく可能性が高い、という情報をキャッチした。
クラブワールドカップ3位、世界的なステージで戦うサンフレッチェ広島にとって世界企業の後方支援はこれ以上ない”アシスト”になる。
ひろスポ!ではすでに広島みなと公園へのサッカースタジアム建設が港湾物流に多大な悪影響を及ぼす可能性について報告してきた。
その最たる例がまさにマツダ。マツダの倉庫群などは広島みなと公園が「栓をする形になっている」、その先の出島地区広島国際ターミナル付近に点在。部品などを保管している総面積は12,000平方メートルにも及ぶと言われている。
そして出島地区から広島みなと公園そばのルートを使い、宇品工場、本社工場(向洋)などとの間を大型車両が行き来する。もし広島みなと公園周辺で渋滞、事故、現場検証…となれば「脳梗塞と一緒、死活問題」(関係者)ということになる。要するに港が死んでしまうのである。
そうなっては大変、とすでにマツダ側では3者会談メンバーに水面下で「宇品NO」を打診していたが一向に風向きが変わる気配なし。
…ということでとうとう15日、月曜日にマツダの小飼雅道代表取締役社長が”3者会談”に向け”直接フリーキック”…。その内容は強烈で宇品にスタジアムを作る場合は資金協力など様々な面で積極的に…とはいかない旨のものだったようだ。
カープの本拠地が「マツダスタジアム」であることからもわかるように、マツダは地域貢献の側面でも積極的な展開を見せている。しかし、自らの手で自らの首を絞める形になるのであれば、そうも言ってはいられないはずだ。
県民らから「おかしい広島県」の声があがっている湯崎知事の会見があったのは16日、火曜日。要するに湯崎知事はマツダ側の”直接フリーキック”の直後に「若干、理解に苦しむというか、そういうところもなるかな…と…」とコメントしていることになる。
マツダ側の放ったボールがどんな軌道を描き3者会談のゴールネットを揺らしたかどうか?までは知る由もない。
だが「理解に苦しむ」ことはないはずだ。世界企業のマツダが「NO!」と言い切っているのだから、そのことは十分に考慮に入れるべきだろう。
湯崎知事は「イノベーション」を掲げて県内に新たな産業が芽吹き、「新たな経済成長」が見込まれるようになる産業のありようを目指している。当然の話だがマツダはその旗艦的な役目を担っている。自動車産業の裾野は広い。
そのマツダの「生命線となる血液循環」(関係者)を県の旗振りで詰まらせてどうなるのか?サッカー好きの湯崎知事が「オウンゴール」の怖さを知らないハズはない。
「ファン トゥ ドライブ」のマツダ車の生産が、スタジアムによる渋滞で「不安トゥ ドライブ」となるようなことがあってはシャレにもならない。
加えてこれも重要なことだがマツダスタジアムでも実績のあるマツダが「旧広島市民球場跡地」を推すのはそれなりの理由があるからだろう。
世界のマツダの目は世界に向いている。「広島みなと公園」と「旧広島市民球場跡地」では、世界との直接の繋がりがまったく違っていることは、すでにサンフレッチェ広島の森保監督が、ひろスポ!読者の市民、県民、サポーターが繰り返し訴えている。
そのことにまったく触れないのだからやはり「おかしい広島県」と言われても仕方がない…という残念なオチになる。
広島県のホームページに掲載された「広島県の港湾」
www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hiroshimakennkouwann/1171009123487.html
広島新サッカースタジアム取材班