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2016年06月13日
編集部

広島みなと公園案予想どおり手詰まり…の中、広島市議会答弁は旧広島市民球場跡地をサンフレから完全ブロック、戦局は宇品から跡地攻防戦、オチは広島広域公園復活案

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広島市議会で今田議員は次のように発言。ちょっと論理が飛躍し過ぎていないか?画像は5月27日、オバマ大統領を出迎える安倍首相がヘリで着陸する約3時間前の旧広島市民球場跡地周辺。

4月10日、11日、G7外相会議が開催され、旧広島市民球場跡地のそばを通る機会があった。警備関係車両が多く並ぶ光景を見て旧広島市民球場跡地の有り方についてこれだと確信めいたものが浮かんだ。迎える平和を担保する平和記念都市には旧広島市民球場跡地のような空間が必要。サッカースタジアムのように365日、空間を占拠する箱ものはこの地に相応しくないという確信にも繋がるほど。

 

広島みなと公園案予想どおり手詰まり…の中、広島市議会答弁は旧広島市民球場跡地をサンフレから完全ブロック、戦局は宇品から跡地攻防戦、オチは広島広域公園復活案

広島市市議会の一般質問で6月13日、松井市長を支持する自由民主党会派所属の今田良治議員(安佐北区)が原爆ドームの周辺景観やサッカースタジアム問題について市側の考えを質した。

今田議員は広島市民にとってサッカースタジアム問題とともに大きな問題になっている安佐市民病院移転問題についても質問。安佐市民病院移転問題は、そのリーダー役である松井市長の姿勢を巡り、市議会会派の再編をも引き起こした。

今田議員は松井与党の自由民主党会派所属。安佐市民病院移問題では地場である安佐北区住民から「大反対」の声があがったにもかかわらず、移転を推進する松井市長の姿勢を当初から支持していた。

なお、今田議員の発言は、広島みなと公園案、旧広島市民球場跡地案の双方がNGとなった場合の第3候補地として、広島広域公園内の第1球技場、もしくはエディオンスタジアム広島”復活”の「検討要望」を投げかける形で終了した。

この”オプション”が市議会に唐突感を持って再浮上してきた背景には「広島みなと公園優位」としてきた3者会談側の、ある種の戸惑いが見てとれる。

インターネットなどによって広島サッカースタジアム問題は全国的な関心事へと急速な広がりを見せつつある。

そこでは「広島の常識は世間の非常識」(関係者)。その矛先は3者会談に向けられる。

要するに広島みなと公園と旧広島市民球場跡地での局地戦は、旧広島市民球場跡地を巡る攻防戦へと徐々に移行しつつある。ゆえに”子熊一頭たりとも”旧広島市民球場跡地に近づけたくない?広島市としては、今回の担当局長の答弁にあるように、サンフレッチェ広島サイドの声に耳を貸さない姿勢を貫くしかない。

安佐市民病院移転問題は、多くの火種を抱えたまま「移転」が決まり、今まさに旧広島市民球場跡地と同じように移転後の跡地の「活用策」が取り沙汰されている。きっとまたそこで新たな「跡地問題」が生まれるのだろう。

そもそも旧広島市民球場跡地ができてしまったのは、当時の秋葉市長がカープの本拠地を現在地(旧広島市民球場跡地)から貨物ヤード跡地に強引に移転させる際、「年間150万人集客施設」を市民球場解体後に造る、と市議会と市民に約束して、反対の声を押し切ったからだ。

そのあと、広島市が市民らに広く跡地活用策について聞いた際、「平和発信機能」を推す声はたったの3パーセントだった。当然、サッカースタジアムも含めた集客施設を望む声が多かった。

オバマ大統領の広島訪問の意義と広島市民のニーズと、サンフレッチェ広島の新スタジアム問題。サッカースタジアムのピッチの上で、ピースサッカーを開催すればすべてが解決、と考える方が自然のような気もするのだが…

広島新サッカースタジアム取材班

 

以下、その質問の要旨と、市担当局長の答弁

今田議員発言

・原爆ドームはオバマ大統領の目にどう映ったか?この一帯は平和にとって非常に重要な場所だとの大統領の発言があった 。原爆ドームが発進するメッセージの大切さをオバマ大統領も理解している。

・6月1日地元新聞投書欄に「平和公園環境整備を」との興味深い市民意見が掲載された。概要は、オバマ演説とともに平和記念公園の映像が世界に流された。慰霊碑から原爆ドームを望む映像に改めて大きな印象を与えたが残念ながら背景にある建造物(広島商工会議所ビル)がすっきりしない。原爆ドームは周辺を整理しくっきりと大空にそびえる印象にすべきだ、というもの。(※この件については後日、ひろスポ!でピックアップする)

・私も原爆ドームの背景に建物が見えることに違和感を覚えたひとり。広島商工会議所ビルがどうしても映像に映り込む。オバマ大統領の広島訪問を機に今後世界各国の旅行者が広島を訪れ国内外のマスコミがこれまで以上に原爆ドームに注目し、その映像を世界に発信する。

・旧広島市民球場跡地の活用策は決まっていないが、広島市には跡地に緑地広場、文化施設を整備する計画があり、その中で広島商工会議所ビルなどの民間施設の移転が活用策を実用性あるものとする上で重要。

・私は、旧広島市民球場跡地は原爆ドームに繋がる空間として、被爆の惨禍を世界に訴える上で非常に大切だと思っており、多くの市民、国内外の観光客が憩い集える場所とすることが望ましいと考えるひとり。

・私はこのたびのオバマ大統領、ケリー長官の原爆ドーム見学、それを伝えるマスコミの映像を見て、改めて旧広島市民球場跡地の活用と合わせて原爆ドームの背景をどう作りだしていくのか?市民の総意として考えなくてはいけないと強く認識。

・そこで市長にお伺いします。広島商工会議所は民間の所有物で行政として直接、かかわることは難しいが原爆ドーム周辺の景観を考えたとき、避けて通れない問題。オバマ大統領の広島訪問という歴史的な瞬間に立ち会った市長として原爆ドームの背景をどう思われ、どうしようとされているのか率直な思いを聴かせて欲しい。

・次にサッカースタジアムについて。4月10日、11日、G7外相会議が開催され、旧広島市民球場跡地のそばを通る機会があった。警備関係車両が多く並ぶ光景を見て旧広島市民球場跡地の有り方についてこれだと確信めいたものが浮かんだ。迎える平和を担保する平和記念都市には旧広島市民球場跡地のような空間が必要。サッカースタジアムのように365日、空間を占拠する箱ものはこの地に相応しくないという確信にも繋がるほど。都市公園は災害発生時の避難、緊急車両の駐車、イベント等に資するオープンスペースとしての価値を重要視。この地でしか創出できない付加価値を考慮して平成24年度末に策定された旧広島市民球場跡地の活用方策、文化・芸術緑地広場案が発表された。

・5月27日、オバマ大統領の訪問により旧広島市民球場跡地空間がより重要視され、文化・芸術緑地広場への理解が広がっていくのではないか?

・旧広島市民球場跡地にスタジアムを整備すれば、都市公園機能をベースにする、文化・芸術緑地広場案が持つ、潜在価値を消し去ることになる。サッカースタジアムがその価値を消し去るものとは、大多数の市民には思えないのでは?

・スタジアム候補地については、サンフレッチェ広島が使用しないと明言するがゆえに、広島みなと公園案が消え、街づくりの観点から旧広島市民球場跡地案が消えれば、久保会長の言う今のまま、に帰着する。私の周りにもサッカースタジアム整備の火は消さないにしても、今のままでいいのでは、という人はけっこういます。

・現在の状況では両候補地ともサンフレッチェ広島や港湾関係者の合意形成の観点から、市民に喜ばれる新たなスタジアムを建設することは非常にハードルが高いように感じる。今後、スタジアムの検討を具体的にどう進めていくのか?仮の話だが両候補地でのスタジアム建設が難しくなれば、第3の候補地も考慮していかなければならない。

・たとえばサンフレッチェ広島は広島広域公園にあるエディオンスタジアム広島を現在使っている。ここには収容人員1万人の第1球技場がある。エディオンスタジアム広島であれば、座席の改良、トイレの増設などより快適なスタジアムとなるよう、改修する方法がある。第1球技場ならサッカー専用スタジアムとして、Jリーグの試合が開催可能なスタジアムに改修するということも考えられる。JR西広島駅までアストラムラインが延伸されることで将来的に交通アクセスも改善され、広島広域公園の活用は理にかなっている。スタジアムの検討については2つの候補地について議論されているので質問はしないが第3の候補地について、今後の検討の行方によっては議論の遡上に乗せてもらうことを要望しておいく。

松井市長

・その他の質問については関係局長からお答えします。

都市整備局長

・原爆ドーム周辺の景観について2点のご質問。まず原爆ドーム周辺の高さの制限について、そういった経緯、主旨で要綱が作られたか?

・原爆ドーム周辺建築物等の高さ制限は景観誘導を充実することを目的に、平成26年7月に策定した景観法にもとづく広島市景観計画に位置付けることを念頭に置いていたが、地域住民の十分な合意形成に至らず現在は平成27年1月に施行した景観法にもとづく届け出等にかかる事前協議に関する取扱い要綱に規定。

・高さ制限の導入は、平成18年3月に策定した平和記念施設保存整備方針の中で平和記念公園や世界遺産、原爆ドームの周辺にふさわしい景観形成に努めるとされたことなどを踏まえたもの。平成7年に制定した原爆ドームおよび平和記念公園周辺建築物等美観形成要綱を平成18年11月に改正し、広島市として初めて高さ制限を設けた。この要綱が現在も、景観法にもとづく届け出等にかかる事前協議に関する取扱い要綱のもととなっている。

・オバマ大統領の広島訪問を受け、慰霊碑、その先の原爆ドーおいムを望みながら献花する歴史的瞬間に立ち会った市長として、原爆ドームの背景をどう思ったか?今後どうしようとしているか、について。原爆ドームの背景となる区域は、平和記念資料館本館、原爆死没者慰霊碑、および原爆ドームを南北に貫く軸線の延長線上にあり、平和都市広島を象徴する景観を形成。次世代に引き継ぐべき大切な空間。また平成27年1月に作成した旧広島市民球場跡地の空間づくりのイメージにおいては、旧広島市民球場跡地を平和記念公園と一体となった空間にすることをイメージ。そういう中、現職の米国大統領が原爆ドームを望みながら、原爆死没者慰霊碑に献花するという歴史的瞬間に立ち会えたことで、原爆ドームを貫く南北の軸線を活かした景観は恒久平和を祈念する広島市民の思いとともに未来永劫、大切にする必要があると改めて認識。このようなことから原爆ドームの背景となる区域にはその象徴的な空間を将来的にも確保するため、例えば高さ制限を広島市景観計画、あるいは上程に規定するなどさらなる景観誘導の充実を図るための方策について検討を進めたい。(注・主語は松井市長)

市民局長

・サッカースタジアムにつて、旧広島市民球場跡地、広島みなと公園ともに合意形成のハードルは高いと感じるが今後、サッカースタジアムの検討をどのように進めるか?について、スタジアム建設候補地について、昨年7月の県・市・商工会議所の3者会談において、旧広島市民球場跡地は多機能化が制限されることやスタジアムの規模等に課題があり、広島みなと公園は交通対策に課題があるものの、複合施設等の併設が可能で街作りの観点からも優位という意見で一致。その後、3月3日にサンフレッチェ広島から旧広島市民球場跡地を候補地とするスタジアム建設案が提案され、5月13日と6月3日にも追加の資料が公表されたことから、現在この内容を検証中。

・サンフレッチェ広島建設案では施設規模について、2万6000人の収容人数では国際大会誘致の可能性が低くサンフレッチェ広島のホームゲームで入場できない観客が多く出ること、施設の内容について観客の滞留場所や動線確保が困難になることや現在の旧広島市民球場(現在の旧?と答えている)よりもイベントスペースが狭いコンコースの使用で、使用料を徴収するにもかかわらず、現在の年間75万人を大きく上回る100から150万人の集客を見込んでいること、概算事業費について積算内訳が示されていないことや建設コストが約30パーセント高騰しているにもかかわらずこれが反映されていないこと、屋根の形状等の特殊工法にかかる経費や地下埋設物の移設経費も反映されていないなどの問題がある。

・このほか、借入金がある状態で県または市へ寄付することや運営する特定目的会社が本来、県または市に納付すべき収益を借り入れ金返済に充当するスキームとなっていることなどいぜんとして実現可能性に疑問があることから引き続き検証が必要であると考えている。

・サンフレッチェ広島は広島みなと公園では収支が赤字になるので使用しないと主張、これはサンフレッチェ広島の旧広島市民球場跡地案よりも広島みなと公園の方が建設費及び毎年の借入金償還額が高くなるとした上で、サンフレッチェ広島がスタジアムの管理運営者となり償還額の全額を負担する前提で年間収支を計算していることによる。一方で県・市・商工会議所の作業部会では、県・市等のスタジアム管理運営者がスタジアムの使用者であるサンフレッチェ広島に償還額の全額ではなくサンフレッチェ広島の年間収支に支障ない範囲で負担額を設定することを想定。このように作業部会とまったく異なる前提となっていると認識している。サンフレッチェ広島とはこうした隔たりがあることから建設候補地を早期に決定するたけにはお互いの疑問解消のための事務レベルでの協議を行い、双方の案に共通認識を持った上で建設的な議論のできる4者会談の場を設けたいと思っている。

・こうした中、6月3日に久保会長付からの書簡において、3者に対して26項目の質問が出された。この書簡の中で3者からの回答を踏まえ4者会談をより実りあるものにしたいとの提案を受けていることから早急に回答できるよう作業を進めたい。

 

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