森山佳郎監督が2013年に広島市内で開催した講演より
サッカーU-16日本代表は9月25日、インドで開催中のAFCU-16選手権で準々決勝(ゴア・GMCスタジアム)に臨みUAE代表を1-0で撃破、準決勝進出を果たすとともに2017年8月・9月にインドで開催されるU-17W杯の出場権を2大会ぶりに獲得した。
現地時間29日に行われる準決勝では、ウズベキスタン対イラク戦の勝者と対戦する。
U-16日本代表は4か国総当たりのグループステージB組でベトナムに7-0、キルギスに8-0、オーストラリアに6-0と大勝。8か国で争うノックアウト方式のトーナメント初戦では一転、ワンチャンスをモノにする際どい試合を勝ちきった。
チームを率いるのはサンフレッチェ広島初代優勝メンバーで、サンフレッチェ広島F.Cユースの監督として数々の偉業を成し遂げた森山佳郎監督。国内外での豊富な経験に裏打ちされた指導法は様々な分野の関係者からも注目されており、今回の2020年東京五輪世代の一翼を担う素材たちの能力もまた大きく開花させつつある。
森山佳郎監督のサンフレッチェ広島ユース監督時代の歩み
森山氏は2002年夏、サンフレッチェ広島のユースコーチから監に就任した。当初は半年の暫定的な監督就任だったが冬のユースカップ準優勝でそのまま留任。2012年シーズンまでサンフレユースを率いて黄金期を作った。
2003年夏のクラブユース選手権、冬のJユースカップで二冠達成。2004年には森脇良太、高萩洋次郎らを擁し、高校チームとクラブチームが一同に会する高円宮杯全日本選手権優勝した。
2003年に始まったプリンスリーグ中国では7大会中6度の優勝。2011年から始まったプレミアリーグウエスト(西日本トップリーグ)でも2連覇達成。同時に高円宮杯では3連覇した。
森山監督がサンフレッチェ広島ユースチームもたらした功績は、単に広島の1クラブという範囲にはとどまらない。その指導内容は、精神面を重視して「出し切らせる」ことを重視しているが、同様の指導方針を掲げる指導者がJの育成組織に増えている。
森山流のアプローチはしばしば「部活的」と称される。森山氏自身もも「”サンフレッチェ高校”と高体連の先生に言っていただけるのは一番の褒め言葉」と誇りにしている。
その指導法は「気持ちには引力がある」をキーワードに練習は厳しく、選手をとことん追い込んで行く。そして「誰ひとりとして見捨てない」。ちなみに1年生が3年生に話しかける時も「先輩」ではなく「君づけ」で呼ばせていた。
さらに「監督」ではなく監督を呼ぶ時も現役時代からの愛称である「ゴリさん」…。自身を「バカポジティブ」と称する森山氏だが昨今、某CMでは「バカまじめ」が連呼されており、その発想は常に時代の最先端を行っている!?
2014年、タイで開催されたAFC U-16選手権の準々決勝でU-16日本代表は韓国に敗れ、U-17W杯出場を逃した。森山監督に白羽の矢が立ち「気持ちは引力である」の法則に従った戦いの舞台は、今度は世界を制する最高度のステージへと引き上げられた。
広島新サッカースタジアム取材班