第38回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会が10月22日に開幕した。
アンジュヴィオレ広島は10月23日、兵庫県洲本市の五色台運動公園・アスパ五色で東京国際大学と対戦。前半33分に失点して0-1で敗れた。
アンジュヴィオレ広島は現状ではベストの布陣で皇后杯1回戦に臨んだ。
GK 亀田恵
DF 石川詩織、武田裕季、三宅あゆみ、櫻林亜佐子
MF 渡辺和美、水野祐里、倉本あや、小松未奈
FW 赤嶺美月、中島麻衣
指揮を執ったのは今シーズン途中で加入した貞清健一ヘッドコーチ。2013年から2016年4月まで、なでしこジャパンテクニカルコーチを務めた経験豊富な指導者だ。
しかし、最下位に終わった2016プレナスなでしこリーグ2部の最終節、ASハリマアルビオン戦(10月16日)に続く完封負けで、今シーズンは幕引きとなった。
ASハリマアルビオン戦のあと、ゼネラルマネージャーを兼ねたままチームを指揮していた奥村優之監督は「最後までチーム一丸となっての戦いを目指したが、けっきょく思うようにまとまることができなかった」とコメントした。
この試合ではシーズン半ばの7月にASハリマアルビオンに移籍したアンジュヴィオレ広島生え抜き選手、葛馬史奈のCKからともに失点して0-2で完敗した。この結果、1部昇格を目指したはずの最初のなでしこ2部挑戦でチームは18戦1勝3分け14敗という厳しい成績に終わった。
今季、アンジュヴィオレ広島は奥村優之監督のもとでスタートした。しかし、4敗1分けと開幕から躓き、内藤就行監督へとバトンが渡された。
内藤就行監督はヘッドコーチとして新チーム体制に合わせて招聘された。確か、当初は1シーズン奥村体制のもとで女子サッカーを学ぶはずだったのではなかったか。現役時代には鹿島アントラーズなどで活躍し、指導者経験も豊富ながら女子の指導は初めてだった。
この監督途中交代は9月1日の「内藤就行監督解任」発表へと繋がった。その間、リーグ戦7試合を戦い1勝1分け5敗、さらにはカップ戦8試合を戦い5敗3分け。選手の間から「自分の考えを監督が変えようとしない」「話を聞いてくれない」の声がかなり早い時期から上がっていた。
この夏、岡山でも似たようなことが起こっていた。湯郷Belleの大黒柱、宮間あや、ら4選手が突然、退団を申し出た。宮間はクラブに残ったがけっきょく湯郷Belleはなでしこリーグ1部の10チーム中最下位に終わり、やはり2部降格が決まった。
Jリーグでわずか4年の間に3度も優勝したサンフレッチェ広島の森保監督でも「まずは残留圏内の勝ち点を目指し、そこから積み上げていく、一瞬でも気を抜けばあっという間に置いていかれる」と常々話している。
昇格もあれば降格もある、下位リーグならなおさらである。後手を踏んだ相手に容赦するクラブはいない。
アンジュヴィオレ広島は開幕前、万全の体制を敷き、選手も高い志を持ってなでしこ2部リーグに挑んだが、ピッチの内外でさまざまな要素がからまってシーズンラストマッチでは、関東代表のアマチュア3位、東京国際大学にさえ勝てないという落ちになった。
そして来季からはなでしこリーグ3部、チャレンジリーグからまた2部昇格を目指す戦いに挑むことになる。
広島の西の玄関口のひとつ、JR横川駅界隈をサンフレッチェ広島とともに紫に染めて、地域密着で大きな目標に向かって歩むその足取りが、もう一度力強いものとなるような諸策の充実が求められる。特に広島においては、すべてのスポーツが街の宝、地域の人々の誇りと生きがいに繋がっている。