広島市はサンフレッチェ広島の「価値」をもっと真剣に考える必要がある、真剣でないからいくらでもスタジアム建設決定時期を先送りできるのか?
鹿島アントラーズの石井正忠監督が勝利監督インタビューで言った。
「年間勝ち点じゃない、チャンピオンシップを取ったものがチャンピオン…」
途中からは涙声だった。2016年のJ1王者は浦和レッズではなく、鹿島アントラーズだった。
この事実は昨シーズン、2015年のサンフレッチェ広島の”完全優勝”の意義を余計に際立たせることになった。
新スタジアム建設をさっぱり進めようとしない広島市はもう一度、自分たちの街にそれだけ素晴らしいクラブがあるのだとおいうことをよーく噛みしめておいた方がいい。市議会はどんどんサンフレッチェ広島の存在価値と新スタジアム問題を咀嚼していかないといけない。
広島市は「自分たちの手の中に世界でも稀な宝があるのに、その価値を知らないまま壊しちゃったりしてる」とは広島が生んだ日本を代表するアスリート、為末大さんの言葉だが本当にそうだ。
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今季の浦和レッズは年間勝ち点74を積み上げた。奇しくも昨季のサンフレッチェ広島と同じだ。
ついでに言えば監督も浦和レッズは元サンフレッチェ広島のペトロヴィッチ監督。サンフレッチェ広島は優秀だ。J1の18チームで34試合を戦う現状ルールで2度の最多勝ち点をいずれもモノにした。
だが、昨季の森保監督はチャンピオンシップでも年間勝ち点3位のガンバ大阪を退けてJ1王者に輝いた。ガンバ大阪の年間勝ち点は63。負ければ年間勝ち点74の価値が半分以下になる言い知れぬ重圧をサンフレッチェ広島は森保監督の下で弾き飛ばした。
そしてペトロヴィッチ監督の浦和レッズは、この”罠”に見事にはまったのである。
敵地、カシマスタジアムでの第1戦を1-0で取り、第2戦は0-1でも2試合トータルでは浦和レッズの勝ち、ペトロヴィチ監督は圧倒的優位な立場にいた。
さらにこの日(12月3日)、ホーム埼玉スタジアム2002の赤いサポーターの前で迎えた第2戦では前半4分にFW興梠慎三のスーパーボレーで1-0とリード。チャンピオンシップはほぼ浦和レッズの手の中にあるかと思われた。
だが、この1点で逆にゴールが生まれやすい空気がピッチ上に漂い始めたのではないか?迎えた前半40分、鹿島アントラーズはFW金崎夢生のダイビングヘッドで追いついた。
この時、浦和レッズのGK西川周作は叩きつけた金崎のヘディングシュートにグラブの先で触りながら止めることはできなかった。1-1となり両者の立場が逆転した。鹿島アントラーズが2点目を取れば、浦和レッズは”またしたも”J1王者を逃すことになるという大ピンチに追い込まれた。
ハーフタイムには試合観戦に来ていたハリルホジッチ監督が「流れは鹿島」とNHK中継の中でコメントした。もう誰が見てもそのとおりだった。
焦る浦和レッズは後半に入るとあっという間に3人の交代枠を使い果たした。どんな狙いを持っての交代なのか、傍目にはよくわからないが、とにかく動くことでペトロヴィッチ監督は後手に回ることを嫌ったのだろう。あるいは何かしないと不安だったのか?
結果は凶。逆に鹿島アントラーズは後半31分、途中出場したばかりのFW鈴木優磨が浦和レッズの日本代表DF槙野智章に倒されPKを獲得。キッカーは金崎、ゴールマウスには西川。金崎のシュートは左に飛んだ西川の指先をあざ笑うかのようにゴール左角に吸い込まれた。
残り時間がどんどん少なくなる中、後半42分に放ったDF森脇良太のシュートは枠外、後半アディショナルタイムの柏木陽介のCKも鹿島DFに跳ね返され、残り1分で森脇、槙野と繋いで最後はフリーだったMF武藤雄樹、執念の一撃も枠の外だった。
けっきょく年間勝ち点74の浦和レッズは年間勝ち点59で3位の鹿島アントラーズにあってはならない大逆襲を許した。そして11シーズンぶりに復活した2シーズン制は2015、2016年の2シーズンだけでまた来年は1シーズン制に戻るという落ちになった。
サンフレッチェ広島の”頭脳と手足”移植”して、もうずいぶん時間の経つ浦和レッズと「いる者で戦う」(森保監督)サンフレッチェ広島。
両者の違いが鮮明になった。
究極の場面で勝ち切れるか否か?広島の子どもたちには、この差が何なのかを学ぶと同時に自分たちの将来への”糧”としてもらいたいものだ。
なお浦和レッズはアジア最大級、入場可能数62,000人を誇るサッカー専用スタジアムをホームとしている。クラブの2015年の営業収入は浦和レッズがJ1で第1位の60億8800万円、サンフレッチェ広島は第9位で36億1000万円に過ぎない。
だが真の王者はサンフレッチェ広島の方である。
何度でも繰り返すが、それほど素晴らしいクラブが広島市にあることを、市当局と松井市長はいったいどう考えているのか。まあACLとJリーグの区別もつかないようなので、こうしてこと細かに記していく作業を続けることも大事であるかもしれない。
「作業」と言えば、今年前半であれだけ世間を騒がせた「作業部会」はいったい今どうしているのか?まったく名前すら聞かなくなったが、それにしても極端過ぎる。この点については市議会でも”おかしいじゃないか”の声が上がっている。当然だ。次回はまた市議会から報告する。
広島新サッカースタジアム取材班
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