デイリー新潮が10月25日午前6時、ヤフーニュースに、巨人、日本シリーズ大惨敗……直近10年で「セ・リーグ弱体化」の救いがたい“重症度”の見出しで記事を配信した。
西尾典文(にしお・のりふみ)氏の執筆で、週刊新潮WEB取材班編集とある。
デイリー新潮は、広島の緒方監督と野間の問題でも鋭かったが、今回またバッサリ…週刊新潮WEB取材班の記事にはすでに”店じまい”の段階に入ったスポーツ各紙や一般紙とはその切り口が違う。読者の知りたいコンテンツを即座に提供する。
巨人はV9をやってのけた1960年代はセ・リーグ日本一が8回でそのうち巨人が7回。一方、2010年代はパ・リーグが9回でそのうちソフトバンクが6回。
そこから記事は始まる。あまり野球に関心のない人でも分かりやすい導入部だ。
記事の中ではセ・リーグ弱体化の原因を、バランス良く紹介している。
2004年の球界再編問題もきちんと取り上げられている。
往々にして忘れられがち?だが、この球界再編問題こそが、死に体だったパ・リーグの自尊心を蘇らせた。
同時にプロ野球が…
テレビ・新聞を主媒体としたテレビの向こうのエンターテイメントから
通信・インターネットを主媒体とした掌の中の個人レベルの密かな楽しみ!?へと移行することにもなった。
球界再編問題についてここでは詳しく触れないが、なぜ2004年に近鉄球団が消滅したのか?だけについて言うと、プロ野球12球団を10、あるいは8球団までサイズダウンするというファン置き去りのプランを、巨人の渡辺恒雄オーナー(当時)を中心とした経営者側が実行しようとしたからだ。
よって12球団は、存続する側と消滅する側に渡辺オーナーらの手で分類された。その一番手が近鉄で広島もそうだ。ロッテもそう。怪しげな空気を察知した日本ハムは2003年、札幌移転を発表して球界再編問題を札幌から見守った。
けっきょくこの日本中を揺るがした騒動は、2004年9月23日、球界再編問題における最後の労使交渉で経営者側が新規参入を認めたことで終結した。近鉄が消滅してオリックスと合併、楽天が新規加入したことで12球団は維持された。さらに、ほとんど問題にされるともなく逃げるようにダイエーがプロ野球から手を引き、ソフトバンクがそのあとを引き継いだ。
それから15年後、今年の9月30日に都内ホテルで開催された「2019読売巨人軍セ・リーグ優勝祝賀会兼クライマックスシリーズ激励会」で渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表取締役主筆(93)があいさつした。
その内容は、クライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズでも「4試合勝ち抜かなきゃならない」というものだった。
その結果が冒頭の「直近10年で「セ・リーグ弱体化」の救いがたい“重症度”」だったことになる。
そもそもなぜ10球団、8球団だったのか?
それは視聴率の取れる、あるいは新聞の拡販につながる「対戦カード」を増やすためだった。当時は巨人-広島戦など読売グループの理論からすれば邪魔な存在以外の何物でもなった。
巨人ファンが朝、喫茶店でコーヒーを飲みながら報知新聞や読売新聞を読む、地下鉄でもスポーツ紙が飛ぶように売れる。1960年代から長らく続いた紙媒体にとっての古き良き時代…
それが今ではソフトバンクのスマホでパ・リーグTVを見る時代になった。
その日本人の価値観の変化とメディアの多様性が、巨人を弱く、ソフトバンクを強くした。
パ・リーグTV以外にもプロ野球を見る通信手段は多数ある。
お父さんがビール片手にナイター中継をお茶の間(死語?)で観戦する、これもまた放送媒体にとっての古き良き時代の話となった。2004年に一部経営者側が抱いた危機感はきっちり10年先を見据えていたことになる。ただ、やり方がテレビ・新聞側に偏り過ぎていた。
1999年2月、NTTドコモがi-modeを世に送り出し、通信が放送を脅かし始めた。楽天にプロ野球参入の夢をさらわれた堀江貴文氏のライブドアがニッポン放送の株を取得したが2005年。2006年、ソフトバンクモバイル登場。2008年、ソフトバンクがiPhone端末の国内販売を開始…
一方で2000年代に入って国内の新聞販売部数は伸びなくなり、まさに2008年から減少の一途をたどっていく。
よって新聞社は地方も中央も変化を余儀なくされているが、読売新聞だけ?は未だに「紙で勝負」の姿勢を崩していない、という。
広島に続いてDeNAも年間集客数200万人時代に突入したが、TBSがベイスターズの親会社だった2002年から2011年は”暗黒時代”と呼ばれていた。
赤坂のTBS放送センターに向かう途中、「ドカベン」のキャラクターたちのバナーが風に揺れていた時代がある。放送局がプロ球団を所有してもその程度!?
TBSは2018年にプロ野球ラジオ中継から撤退した。つい最近では大きなニュースになったやらせ番組が終了となった。通信に押されヘロヘロ状態の放送の未来は明るくない。苦しいのは読売グループだけではない。
一方で、DeNAの青い血?が流れ始めた新生ベイスターズは12球団の中でも大きな存在になった。デイリー新潮では「救いがたい弱さ」の中に一括りにされているが、今後も横浜という巨大市場での地の利も活かしつつ勢いを増していくだろう。
よってこの話の落ちをつけるなら、巨人がやがぐDeNAやパ・リーグ勢の後塵を拝することになる可能性すら否定できない。
(ひろスポ!・田辺一球)