画像はJリーグ公式戦開催日のエディオンスタジアム広島
中国新聞12月12日付の紙面に「2019サンフレ成果と課題 下」が掲載された。見出しには「客足伸びず試行錯誤」「地道な地域活動が鍵」。記事の中では「ホーム入場者数は18チームで下から2番目」とある。
浦和レッズの社長を務め、現在は広島経済大学でスポーツビジネスを担当する藤口光紀教授のコメントも紹介されている。
そこには「今は選手の顔が見えない」とある。また「日常生活にどれだけ(サンフレッチェ広島が)入り込めるか」とある。
サンフレッチェ広島はオリジナル10、Jリーグ発足と同時に広島に誕生した。経営陣の顔ぶれは変わっても、地域密着のためにいろいろな策を講じてきた。だが、結果が出ない。
チーム力は維持できているが集客数がぜんぜん伸びない。
「選手の顔が見えない」ことについては当然、クラブ側もその点を重要視しており、社長交代を機に新たな動きもあるだろう。
2シーズンで退任することが決まった山本拓也社長は神奈川県出身。ナイキジャパンを退職して40歳代の若さで広島に乗り込んできた。広島にはないような風を吹かせるための2年間。しかし、経営面で風向きが大きく変わることはなかったようだ。
サンフレッチェ広島が広島県民からどれだけ「気になる存在」(山本社長)になれるか?選手たちの間からも、地域との繋がりをもっと深めたいという声が上がっている。
そのキーワードはやはり「親近感」だろう。
エディオンスタジアム広島の最大の弱点はそこ、だ。
MLB、米国メジャーリーグは1980年代、巨大ドーム球場に軸足を移した。が、客足は逆に遠のいた。
ボルティモア、クリーブランドなどを本拠地とする一部のローカル球団から屋根のない、オープン型スタジアム建設に舵を切り、これが功を奏した。
現地での担当者もやはり「親近感」の重要性を真っ先に挙げた。
2004年、近鉄球団消滅の「球界再編の危機」に際して、広島に誕生した国内初の本格的ボールパーク、マツダスタジアムはそのメジャースタジアムを模して造られた。
スタンドのすぐ眼の前に鈴木誠也選手や大瀬良大地投手がいる。選手とファンの距離は物理的にも心理的にも近くなった。
カープファンはレプリカユニホームでスタンドを埋める。旧広島市民球場時代にはなかった風景だ。
レプリカユニは祭りの法被と同じで、それを身に着けると高揚感を味わえる。お祭り気分だ。
マツダスタジアムは毎試合、3万人のカープ祭りを開催しているのと同じだ。祭りの嫌いな日本人はあまりいない。祭りには性別も年齢も関係ない。その代表例がフラワーフェスティバル…
エディオンスタジアム広島では祭りにならない。
中央公園ならアクセスの諸課題をクリアできれば、旧広島市民球場跡地に次ぐお祭り会場である。実際、中央公園では植木市など様々な祭りが開催されている。とうとうFISE Hiroshima 2020まで中央公園でやることになった。
新たサンフレッチェ広島の経営のトップに立つ中国放送出身の仙田信吾氏は広島生まれ、広島育ち。広島の”風土”は肌感覚で把握できているはずだ。しかもイベント開催など、放送局の業務と祭りは密接な関係にある。
ただし、放送とプロスポーツでは祭りも似て非なるもの、かもしれない。
ベイスターズはかつてTBSが所有していた頃、チーム力、集客力ともジリ貧だった。ところがDeNAに変ったとたんに日本シリーズに参戦するほどの力をつけ、集客力でもマツダスタジアムと肩を並べるようになった。
横浜スタジアムもまた「I ☆ YOKOHAMA(I LOVE YOKOHAMA)」祭り!?を開催することでファンとチームの距離が近くなった。
ピッチの最高責任者、2年目のシーズンを終えた城福浩監督も「観る方や報道する方からムービングしている、と言ってもらえるサッカーを、もっと点を取るサッカーを…」と祭りの舞台作りに意欲を示している。あとはピッチ外でサンフレッチェ広島祭りがどんな仕掛けを用意するか…
ひろスタ!特命取材班
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