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2020年01月14日
編集部

スタジアムも旧陸軍被服支廠も広島100年の視点が必要、「広島県はその建築的価値、被爆建物としての重要性に考えが至っていないと断ぜざるを得ない」

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旧陸軍被服支廠
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    ダグ

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画像は解体阻止に向け、市民・県民の声が急速に高まりつつある旧陸軍被服支廠

 

広島は「広島大学移転」「空港移転」「西飛行場廃港」「旧市民球場解体」など、昭和から平成にかけて、取り返しのつかない判断ミスを重ねてきた。

広島大学は今、その機能の一部を徐々に東広島市からもとの「千田町」に戻しつつある。スタジアムと一緒。大学もマチナカにないと、その機能は存分に発揮されない。

広島空港では2015年4月、アシアナ航空機が着陸に失敗。機長らがやっと1月10日、書類送検されたが、地球温暖化の影響なのだろう、霧の絶えない広島空港にはきっと誰だって着陸したくないはずだ。実際、霧による欠航が相次いでいる。あんなところに空港を作ったこと自体、大失敗だった。当時、広島県が声高に叫んでいた「臨空都市」とはいった何だったのか?

「西飛行場跡地」はまさに広島らしさ満開!その活用策は二転三転で、市民・県民への説明もなく、普段、目につかない場所だからみんな、その存在すら気にしなくなった!?

そして二葉山のトンネル問題。実はこのトンネル、構造上、非常に大きな危険をはらんでいる。高齢者にとっては極めて危険なルートになりかねない。また機会があれば触れてみたい。

今、挙げた案件は、はいずれも広島県が絡んでいる。広島県の湯崎知事はサッカースタジアム問題を散々、迷走させた。

そして令和の時代に最大の汚点…となりそうな原爆ドームに並ぶ、世界遺産的な価値を有する旧陸軍被服支廠解体問題。

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広島県では、おそらくポーズの意味合いが強いのだろうけども、「旧広島陸軍被服支廠に係る安全対策等の対応方針に係る意見募集」を1月16日(木)まで実施している。

広島県ホームページ
www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/13/hihukusisyou.html

ひろスポ!には読者から、広島県に送る前に呼んで欲しい、と読者から旧陸軍被服支廠に関するレポートが届いた。

許可をいただいたので以下、そのまま掲載させていただく。

旧被服支廠の全棟保存は我々世代の絶対的責務!

まずもって、この三棟に関する起案先であり、パブリックコメントの応募先が広島県の財産管理課県有地販売促進グループであることに驚きを禁じ得ない。このパブリックコメントの応募先が県有地を販売するセクションとは大いに違和感がある!

パブリックコメント募集の表題「旧被服支廠に係る安全対策方針」、もしもの時に備えて周辺の安全確保のため解体します、それについてのご意見ください、とも取れる。そこにはこの建物の建築的価値、被爆建物としての重要性に考えが至っていないと断ぜざるを得ない。

云うならば、県営住宅が老朽化しました、危ないので居住者に出て行ってもらい、更地にして大手デベロッパーに売却、マンションでも建ててもらいましょう、という発想ではないか。

2棟解体、1棟は外観保存、これは三棟解体と同義語ではないか、残すとする1棟の建物の外観を見て回ってそれがどれほどのものか?むしろ三棟を未来永劫にわたって有効利用する方向性が出されてしかるべき。バーチャルリアリティなどは「本物」の持つ訴求力の強さを敢えて無視する、全くのまやかしである。

今回の県の提案は「保存」という意図はほとんどなく、建物の劣化、耐震性を強調することにより、世論を「解体止む無し」の方向にミスリードしようとしている。ならば、戦後75年、この建物の保守管理のためどれほどのことを行ってきたのか?言葉は悪いが「ほったらかし」、行政の不作為を厳しく問いたい。

淡路大震災、東日本大震災…、この30年間、大規模地震が日本各地で頻発している。この建物の持つ歴史的価値に行政として思いが至っておれば、その時期から耐震措置など施してしかるべきだったのではないか。

この期に及んで外観保存、耐震化に係るとする大きな数字(金額)を出すことで、これまた「解体止む無し」の作意が透けて見える、まさに行政の不誠実さの証明にもなろう。
この数字について外部のコンサルタント会社の試算という事だが、この会社名を明らかにし、積算根拠も公表すべきであろう。さらには一社だけではなく、複数社に調査を依頼すべきであろう。

旧被服支廠がなぜ全棟残されるべきか

これは幸か不幸か行政の不作為により、被爆当時のまま残っている、まさに大規模な被爆建物であるからである。

爆心地近くの原爆ドーム、これは被爆の象徴として、非核を訴えるシンボルとして世界に知られているところである。しかし、風雨にさらされることにより、ドーム状の鉄骨部分などが防錆塗装された他、あらゆるところが補強されている。云うならばお化粧を施されたものであり、私たちが中学生の頃は中に入ることが出来たが、今は周りを鉄柵で囲われ近づくことが出来ない。

しかし、被服支廠は内部に入ることが出来るし、有効利用が十分考えられる。そして外観部分の鉄扉など爆風でねじ曲がった状況などは原子爆弾のすさまじさを実感するに十分である。

パリのオルセー美術館。いまやルーブルと並ぶ観光名所である。1900年の万博時にできた駅舎である。使い勝手の悪さから、駅舎としての機能は早い段階で終えていた。一時期には解体の話があったようだが、現在はその外観部分と共に見事に有効利用されている。

被服支廠は多くの被爆者が収容され、残念ながらここで息絶え、傍で荼毘に付された。このことは峠三吉の原爆詩集「倉庫の記録」に克明に描写されている。

利用方法としてはこの峠の「倉庫の記録」を壁面に筆で書いて掲示することも考えられるだろう。なにより、資料館とは違った視点での、例えば被爆当時を描いた絵画、彫像類の展示など「ヒロシマ美術館(仮称)」(かってエルミタージュ美術館誘致の動きがあった)、ホテル(師範学校の寮として使われたことも…)、コンサート会場、サークル活動の拠点とするなど、その利用法は無限にあるだろう。

わたしは建築には全くの門外漢であるが、この建物は日本に現存する最も古い鉄筋コンクリートの建造物であり、その建築方法は初期の鉄筋コンクリート造りの遺構としても極めて価値の高いものだと言われている。その傾斜屋根の技術の先進性は世界的に通用するものとも。

レンガ作りの、世界遺産になっている「富岡製糸場」は1872年の創建。世界遺産指定以降多くの観光客を集めている。

今回の県の提案には、被爆遺構としてのスケールの大きさや建築的価値での言及・アプローチがない、というかあえて避けている。新聞などによると文化的側面から検討されていないという。それは外形的な「体」だけ見て、「心」を見ていないことに等しいことだ。

なぜ4棟保存が必要なのか?

航空写真などでみるこのL字の壮大なスケールは我々に迫ってくる。一辺が100m、総面積は2万1700平方メートルの巨大な被爆遺構である。

これまで、多くの被爆建物が時代と共に消えていっている。そこに新たに建った建物が申し訳程度に被爆部分を切り取り、壁面などにはめ込んで「残して」いる。赤十字病院、キリンビアホール、そして旧帝国銀行のアンデルセン…、被爆遺構のパンフレットに載っていても、多くの人は素通りしているのが現状だろう。

恐らく、完全な形で残る最後の、しかもスケールの大きいこの「被服支廠」を残すことこそ、後世に被爆の実相を知らしめる重要な「証人」となるだろう。

いまの県の提案ではまさに申し訳程度(残す)の延長線上であり、「証人」の役割は果たせない。

原爆で破壊された浦上天主堂の写真を観てみよう。爆心地から500mのところにあった浦上天主堂は高さ25mの双塔の鐘楼を持つ「東洋一の大聖堂」と言われていたが、
1945年8月9日、一瞬にして倒壊した。

今保存されていれば、原爆ドーム同様、「世界遺産」に指定されていただろう。昨年、ローマ教皇が長崎、広島を訪れたが、現存されていれば、その場で教皇が平和のメッセージを発信したことは想像に難くない。

「原爆の恐ろしさを伝える歴史的資源」として保存の動きが市議会などを中心にあったが、保存派だった当時の市長が解体撤去の方針に傾き、保存の願いもむなしく1958年解体撤去された。

現在、長崎では被爆の実相を伝える「被爆遺構」が少ないと言われている。 被爆遺構に関わらず、文化的価値のあるもの、平和の象徴として後世に残すべきものはその時代に生きるものの使命であり、その決断をする為政者の責任は重い。

バーミアン古代遺跡群の中の大仏石像2体が平山郁夫さんなどの美術家のみならず世界中からの声を無視してターリバーンによって破壊された。今またトランプ大統領がイランの文化施設への攻撃を示唆している。

私は3年前、陸前高田の震災被災地を訪れた。そして、そこに立つ一本松の前に佇んだ。残ったのはこの一本だけだが、ここに7万本もの松林があったことを想起させてくれ、思わず涙ぐんだ。

保存費用について、提案では外観保存5億円、耐震化28億円の試算を示している。いわば、これをどうするんだ!と。

しかし、私は問いたい。何ら事実関係の解明もなされることなく二葉山トンネルの事業費が87億円も増額され県議会で可決成立したことを…、何故に賛成したかについて賛成会派は「事業の継続性」、それはないでしょう!

僅か1.4キロのトンネル工事費用。このトンネルがもたらす効果は10分かそこらの時間短縮でしかないではないか?しかもモータリゼーションの大転換が目前に迫り、迫り来る少子高齢化…、100年先と言わず50年先にはトンネルそのものが閉鎖になっていることも十分考えられる。

費用問題は当然のことながら県が中心になり、広島市も協力する形を作る、そこでは単に予算措置だけではなく、クラウドファンディングなども一つの選択肢にしながら、世界中から募金を募る、そのような手法も考えられるべきだろう。

この県の提案が出て以降、広島市長は「全棟保存」地元選出の国会議員も「100年先を見据えて…」、今朝(1/8)の新聞にはパブリックコメントが700件をを超えているという。こうした県民・市民の関心の高まりの中で2月結論出すとの当初の方針は撤回すべきである。

行政当局は未来への豊かな創造性を持って欲しい!

今年は被爆75年という節目の年である。その年に「解体」の結論に導けば、日本のみならず世界から被爆地広島を見る目も変わって来るだろう。

浦上天主堂の例を引くまでもないが、解体してしまえば「覆水盆不帰」であることを行政当局は肝に銘じて頂きたい。

 

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