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2020年01月18日
編集部

新サッカースタジアム「広島みなと公園案」誤魔化した湯崎知事、また南区旧陸軍被服支廠問題で国内外から注目されることに…広島になぜ巨大な「廠」が誕生したのか?

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4者会談の湯崎知事
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画像は広島県の湯崎知事

 

広島県は1月17日、解体問題でにわかに注目を集める旧陸軍被服支廠(広島市南区)について、広く意見を公募した結果、2,232人がアンケートに応じたとの速報値を発表した。アンケートにはこの問題に関する自由記述の項目もある。

広島県はこうした真摯な「声」とアンケート集計結果をすみやかに公表すべきだろう。

旧陸軍被服支廠解体問題は、2019年12月4日、広島県が県議会総務委員会で、県が所有する3棟のうち2棟を解体する方針を示したことで表面化した。

さらに国が所有する残る1棟、4号棟についても県の担当者が「中国財務局に確認したところ、危険防止の観点から多額の費用を要する大規模な改修や耐震化を行うことは困難で、仮に4号棟を解体・撤去することになった場合でも…」などと説明したため、市民、県民の間に潜在的に存在していた危機感が一気に顕在化した。

それが今回の2,232人という数字となった。意見公募は2019年12月17日から1月16日まで、わずか1カ月しか実施されなかったにもかかわらず、だ。

それ以外にも現地見学会・学習会や著名人による保存の呼びかけなど、原爆ドームに匹敵する被爆の証人を保存、利活用する声は同時多発的に沸き上がりつつある。

広島県の示した速報によると、県の示した案(2棟解体)に賛成767人(34・4パーセント)、反対1,332人(59・7パーセント)、その他133人となっている。

会見で県財産管理課の足立太輝課長は「県が意思決定を行う際の参考にするもので、賛否が多い方で対応するという趣旨のものではない」とコメントした。

それに先立ち、広島県の湯崎知事は14日、解体せず全3棟を保存した場合には県財政にとって重荷になるとの理由から3棟保存に否定的な考えをこれまでと変わらず、繰り返し述べている。

だが、市民・県民の間には、不満の声が渦巻いている。

同じく年の瀬の広島では広島高速5号線二葉山トンネル工事で、県や市の不手際により工事増額分が87億円に達したことが大ニュースになった。市民・県民から行政に向けられる目は非常に厳しくなっている。未来の世界平和に繋がる被爆建物の存廃を「お金の話」で片付けようとするその姿勢に、人々が疑問を抱くのは当然だろう。

広島のサッカースタジアム建設場所が迷走した際、その主体である広島市は今回のような意見公募すら実施しなかった。

それに比べれば今回の広島県の姿勢はずいぶんその目線を下げたことになるが、実際のところは”結論ありき”であり、”根”はスタジアム問題といっしょで、結論ありき。

しかも「意思決定を行う際の参考にするもので、賛否が多い方で対応するという趣旨のものではない」などとコメントしたことにより、広島市民・県民の危機感がさらに増幅されその熱量に対して”火に油”となったことは間違いない。

ほんの少し前までサッカースタジアム建設場所について広島市南区の「広島みなと公園優位」を声高に叫んでいた湯崎知事は、その後、”宇品撤退オウンゴール”の責任を明らかにすることなく水面下での工作により「中央公園案」シフトに成功した。だが、今回はそんな誤魔化しは通用しないだろう。

旧陸軍被服支廠の保存・解体問題は、すでに国内外の平和を希求する人々の耳目を集めることとなった。保存のための募金活動や基金の創設など何ら手を打ってこなかった湯崎県政に対しては逆に批判の厳しい声が上がる可能性がある。

世界の人々が訪れる広島平和記念公園の原爆死没者慰霊碑には「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」の文字が刻んである。

「過ち」の原因を作ったのは、まさに戦争勃発であり、旧陸軍被服支廠が第1次世界大戦開戦の目前に日本を代表する戦闘員の装備のための巨大施設として建設されたことを、湯崎知事はどう考えているのか?

巨大な廠(柱のない大きな空間を有する建築物)だから、その意味がある、一部を残したのでは過去の「過ち」のスケールの大きさを見誤り、また戦争に手を染めることに繋がる。

広島に新たに誕生するサッカースタジアムも平和を希求する心によって未来へと引き継がれていく。新たな平和の象徴を広島の英知を結集して生み出そうとしている時に、敗戦国日本の象徴である、旧陸軍被服支廠を解体しようなどと言う考えは到底、納得できるものではない。

ひろスタ!特命取材班

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