第2ステージ、残り3節となった時点で「全部勝つ」と宣言した森保監督は大きな声で選手に指示、後方は森保監督のよき理解者でもある横内昭展コーチ
サンフレッチェ広島の森保一監督が近い将来、サンフレッチェカラーの紫からサムライ・ブルーに染まる可能性が出てきた。
広島は10月24日のヴァンフォーレ甲府戦に2-0で快勝してチャンピオンシップ進出一番乗り。さらに第2ステージでも鹿島アントラーズ勝ち点3差をつけて首位に立ち、次節にもステージ優勝を決める可能性がある。
明治安田生命J1リーグ第2ステージは残り2節。広島は11月7日の第16節、アウェーでガンバ大阪と、22日の最終節ではホームで湘南ベルマーレと対戦する。
ただ、G大阪との一戦は”雌雄を決する”闘いとなる。
10月25日の第15節最終日、G大阪はベガルタ仙台に3-1で勝利。勝ち点3を上積みして年間勝ち点を60に引き上げ、FC東京と入れ替わってチャンピオンシップ圏内の3位に浮上した。
長谷川健太監督率いるG大阪は10月31日のナビスコ杯決勝を控え、天皇杯と合わせて2年連続の三冠をその視界にとらえている。
広島はそのG大阪に昨季、公式戦で4戦価値なし。今季も第1ステージ、ホームで0-1負けを喫している。
このヤマ場を越えれば、第1ステージ王者の浦和レッズと勝ち点差なしの首位をキープしている年間勝ち点1位にも大きく近づくことになる。
ひとことで言うならJ1リーグはこのところ広島を中心に動いている。広島は2012年、13年にJ1連覇を成し遂げたばかり。代理店などそれぞれの立場からすれば「サンフレッチェにばかり勝ってもらっては困る」という声があがっても不思議ではないし、そんな噂なら聞いたこともある。実際に見えない力が働いているのでは?という”場面”にも遭遇する。それほど今の広島は力が安定している。毎年、お決まりのように主力の国内外流出が続くにもかかわらず、だ。
その強さの秘訣はもちろん下部組織とスカウティングの充実度でJ有数の力量を誇るクラブ側の努力によるところが大ではあるが、加えてペトロヴィッチ監督(現浦和)からチームを2011年12月に引き継いだ森保監督の「人となり」が決め手となっている、と多くの関係者が証言する。
その人柄とサッカーに取り組む姿勢、ピッチの中と外での振る舞いが選手はもちろん、コーチ陣、スタッフ、クラブ関係者、そしてサポーター、広島市民・県民から絶対の支持を得ている、ということになる。
森保監督の現役時代をJ発足当時から見守り、カタール・ドーハの悲劇も現地で見届けた都内在住のある関係者は、日本サッカー協会に近い立場からもこう言い切る。
「ハリルホジッチ監督が予選を勝ち上がり解任騒動もなく2018年のW杯ロシア大会に臨んだとしたら、そのあとをどうするか?岡田武史監督の緊急登板のあと、トルシエ、ジーコ、オシム、また岡田さん、そしてザッケローニ、アギーレ…、そろそろ次は日本人もありでしょう。そうなるとその一番手が森保監督、次にガンバを1年でJ2から引き上げ、間髪入れずJ1三冠を達成した長谷川監督、そしてサンフレ勢からもうひとり三番手に風間監督…。協会内部の考えはわかりませんが、普通に考えればそうなりますよね」
ちなみに森保監督は現在47歳、長谷川監督50歳、風間監督54歳。3人とも今季も素晴らしい戦いをJ1で演じているが風間監督はまだJ1リーグ制覇の経験がない。ただ、森保監督は現役時代、風間監督がキャプテンを務めたチームでとことん鍛えられてこその今…、ということにもなっている。
さらに11月7日の万博記念競技場で、長谷川監督と森保監督はそれぞれ手塩にかけたチームを”決戦”のピッチに送り込む。
そして広島の、三度目のJ1制覇と引き換え?にやがて森保監督が広島をあとにする日が来るとするならば…。
いや広島で大きく育ち、そしてサポーターに何度も歓喜の時を提供してくれたその手腕が、いつの日か世界舞台で発揮されるというのなら、おそらくサポーターも広島県民も、紫からサムライ・ブルーに進化する指揮官の背中を温かく後押しするに違いない。
「日々、できるだけの準備をして試合に臨むことがモットーです。それと、やはりこの世界で生きていくためには野心も必要だと思っています」(森保監督)
ひろスポ!サンフレッチェ広島取材班
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