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2023年11月05日
編集部

カープ魂宿す1年生右腕・堀田昂佑の二刀流で広陵が創志学園を斬って3季連続中国王者…からのセンバツ優勝へ、エンドランスクイズありその”返し”ありの秋季中国地区大会決勝

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画像は広陵の中井哲之監督

 

高校野球の秋季中国地区大会決勝が11月5日、岡山県倉敷市の倉敷マスカットスタジアムであり、広陵(広島)が創始学園(岡山)に2対1で勝って大会史上初の3連覇を果たした。

広陵は11月15日から始まる明治神宮大会高校の部へ出場する。全国10地区の王者たちが集い、秋の全国王座をかけて戦う。

 

決勝

創志学園 000100000・1
広  陵 00001001 X・2

 

広陵は1年生右腕が優勝の原動力になった。

 

前日4日の準決勝のあと広陵・中井哲之監督は「(決勝は)絶対に勝ちたいと言いたいんですが、なかなか勝たせていただけないんで…」とコメントした。2年生エースの高尾響が170球完投した直後だったから無理もない。

 

しかも決勝の相手創志学園は、準々決勝で強打の広島新庄を9回完封した2年生エース・山口瑛太が1/3回だけ投げてこの日の大一番に備えていた。

 

ところが2対1のスコアで3季連続の中国王者になった中井哲之監督のこの日のコメント第1声は「150点満点のピッチングでした」だった。県大会から公式戦を通じて初めて先発した1年生右腕の堀田昂佑が9回をひとりで投げ抜いた。しかも4安打7三振1死球1四球1失点という抜群の内容で、だ。

 

中井哲之監督の胸の内を勝手に覗かせてもらうならば、東海大相模(神奈川)を率いて春夏4度甲子園優勝の経験がある門馬敬治監督率いる創志学園を封じるための秘密兵器で勝算あり!だったのではないか???

 

堀田昂佑は広島市立尾長小1年時には広島東洋カープジュニアに参加した。広島市立中広中時代には広島廿日市ボーイズに所属していた。中学3年時にはおよそ2/30という狭き門を突破して侍ジャパン15歳以下の代表メンバーに二刀流の能力も買われて選出された。ワールドカップメキシコ大会を経験することで視野が広がった。

 

「大谷翔平選手、そしてプロ」という明確な目標を掲げて広陵に進むと、今夏の甲子園、立正大淞南戦で九回のマウンドにも立った。

 

中井哲之監督の”仕込み”が始まっていたことになる。

 

決勝を中継したNHKラジオ解説の杉本真吾さん(元米子東高校監督、元慶応大学助監督)が「甲子園のベスト8レベル」と唸ったこの日の決勝戦。

 

ふたりの名監督の下で鍛えられた両チームが、守備の失策ゼロ、四死球の数も最小限、試合時間もわすかに1時間30数分という好ゲームを演じた。

 

先制したのは創志学園。三回、一死から二番・後藤龍太郎(2年)が死球で出て、牽制悪送球で三進。三番・豊島虎児(2年)の中前適時打で均衡を破った。

 

この場面…

 

序盤3回41球パーフェクトピッチングとなった堀田昂佑-只石貫太の広陵バッテリーは、今大会8の3と当たっている後藤龍太郎を警戒して左打席の内角を厳しく攻めようとして初めての走者を背負うことになった。

 

スタメン6人が左打者の創志学園打線。183センチの上背から真っすぐと変化球を投げ分ける堀田昂佑の武器は左打者膝元へのスライダーだ。

 

次打者・豊島虎児にはボールカウント1-1、並行カウントとなったため、一度様子見の牽制球を挟んだ。さらにもう一度、牽制球。これが大きく逸れた。

 

3球目はスクイズだったがファウルになった。ここで只石貫太はマウンドへ。

 

バッテリーでの打ち合わせの間に、創志学園ベンチにはその上を行く策を用意された。4球目と同時に三塁走者がスタート。「軟式野球でよくやるエンドランスクイズ」(杉本真吾さん)の形になり、打球はセンター前にゴロで抜けて行った。

 

追いかける広陵は五回、先頭の七番・白髪零士(1年)が左前打で出塁した。これがこの試合初めての先頭打者ヒット!続く池田颯大(1年)は大会初出場ながらきっちり犠打を決めて一死三塁。ここで二刀流、堀田昂佑は粘って、左腕エース山口瑛太(2年)のスライダーをジャストミートしたがセンターライナー。

 

チャンスは潰えたかに思われた次の瞬間、一番・濱本遥大(2年)の打球が右中間を破って試合は振り出しに戻たった。

 

八回、広陵の決勝点は二刀流が切り拓いた。先頭の堀田昂球数80を超えた山口英太を捉えて左前打。濱本遥大送りバントに続いて二番・田村夏芽(2年)もボールカウント3-1まで見て5球目を右前打した。

 

一死一、三塁、打順は三番・土井貫太(2年)。しかしここまで左対左のスライダーで3打席連続の空振り三振…

 

中井哲之監督の勝負手は左打者の「代打・澤田哉斗(2年)、プラスボールカウント2-2からの”エンドランスクイズ返し”。

 

遊ゴロの間に自ら勝ち越しのホームを踏んだ堀田昂佑は九回、先頭の豊島虎児に初めての四球を与えながらも「甲子園ベスト8」レベルの大舞台で1失点完投、高尾響との”二枚看板時代”の訪れを告げたのである。

 

かつて中井哲之監督が小土居昭宏と1年生・塩崎貴史の両右腕を擁して就任1年目でセンバツ65年ぶりの優勝を遂げた時のように…(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)

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