冬の西日を受けるドームのハートが泣いていないか…(2016年12月撮影)
ヤフーニュースに「原爆ドーム、イルミで波紋、観光キャンペーンで広島市、被爆者”祈りの場、不適切”」の見出しの記事がアップされた。
1月29日午後2時17分時事通信の配信。
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170129-00000045-jij-soci
記事の中では、広島市が市民や被爆団体への事前の相談なしに始めた、原爆ドームの世界遺産登録20周年を記念したイルミネーションが「波紋を呼んでいる」と改めて指摘。「祈りの場にふさわしくない」との声も紹介している。
ひろスポ!広島新サッカースタジアム取材班では、原爆ドームや、そのすぐ北側の相生通り(電車通り)を挟んで隣接する旧広島市民球場跡地、さらにはその北側の中央公園芝生広場や戦後広島の復興の証と言われる基町高層アパート地区などを取材してきたが、そうした取材を通して探っていく中でも「原爆ドームと平和大通りのドリミネーションをいっしょに扱うような市の見識が疑われる」という声が多い。
広島市はサッカースタジアム建設候補地について、広島みなと公園、旧広島市民球場跡地、中央公園芝生広場の3つを建前上、「並列」としているが、実際には旧広島市民球場跡地へのスタジアム建設プラン排除へ躍起になっている。
割高な建設費、敷地の狭さ、動線の安全性の問題、米国・オバマ前大統領の広島訪問でいっそう大切になった原爆ドーム背景の問題などが、旧広島市民球場跡地にスタジアムを建設しづらい要素だと主調しているわけだが、それらはいずれも「どうしても旧広島市民球場跡地にスタジアムができない」必然的な障壁になおそらくなり得ない。
それはそれでまた、ひとつひとつ”潰して”いけばいいだけで、それより何より、一方では旧広島市民球場跡地へのスタジアム建設問題に「平和」を絡めておきながら、一方では今回のような大失態を犯す。それは残念ながら広島市自身が「平和」と真正面から向かい合っていない証左とも言える。
1月19日付の中国新聞には「原爆ドーム周辺でともしている夜間電飾を巡り、来訪者に賛否などを尋ねたアンケートの結果を明らかにした。7割強が”問題ない”と答えたという」という記事があまり目立たないレイアウトで掲載された。
ただし、アンケートは昨年12月28日、1日だけ市が実施したもの。しかもドーム前で外国人を含む観光客や市民131人から回答を得ただけ。101人、77・1パーセントが「問題ない」と答え、「控えるべき」は8人、6・1パーセント。残る22人、16・8%は「どちらとも言えない」と答えたという。
それを記事として掲載した中国新聞はどうして次の情報は記事にしなかったのか?
2016年12月12日掲載
原爆ドーム、緩衝地帯のイルミネーションでYahoo!ニュース意識調査、の途中経過は…?(新サッカースタジアム取材班)
hirospo.com/pickup/34737.html
上記記事は、原爆ドーム、緩衝地帯のイルミネーションに関するYahoo!ニュース意識調査の途中経過について紹介したもの。
「原爆ドーム周辺でイルミネーション、どう思う?」のYahoo!ニュース意識調査、実施期間は12月4日から12月14日に行われた。
同調査
polls.dailynews.yahoo.co.jp/domestic/26822/result
その途中経過は…
問題ない、22613票、40・8パーセント
控えるべき、29506票、53・3パーセント
わからない、どちらともいえないは3251票、5・9パーセント
となっており、こちらの方がよほど中国新聞が掲載すべき結果ではなかろうか。
さらにひろスポ!ではこの原爆ドーム「電飾」が大きな問題となる可能性についても記しておいた。
2016年12月8日掲載
原爆ドーム緩衝地帯の電飾・イルミネーションにセンスなし、それをやるならサッカースタジアムでインバウドの幹の部分を構築した方がよほどクール!
hirospo.com/pickup/34584.html
2016年12月11日掲載
原爆ドーム、緩衝地帯のイルミネーションは風前のともしびか?Yahoo!ニュース意識調査で逆風鮮明に…(新サッカースタジアム取材班)
hirospo.com/pickup/34645.html
今回の時事通信の配信は、中国新聞の1月19日の記事への”対抗措置”のようにも見える。
最後に、サッカースタジアムの旧広島市民球場跡地への”建設封じ”のために「原爆ドーム周辺の建物が景観を邪魔しないよう、条例などによる規制を検討」するとする松井市長は、肝心なことを忘れていないか?
原爆ドームは「二度と同じような悲劇が起こらないように」との戒めや願いを込めた「負の世界遺産」である。ポーランド南部にあるアウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所も「負の世界遺産」のひとつだが、同じように楽しげなイルミネーションで飾られた過去はあるのだろうか?
広島新サッカースタジアム取材班