画像は緒方監督の辞任会見に集まった報道陣
広島の緒方監督が10月1日、辞任会見を行った。
10月3日付の中国新聞15面には「緒方監督辞任5年間の光と影」(下)が掲載されている。
そこには「寡黙」「孤高」「報道陣に胸襟を開くことはなく」「会見拒否」「不器用なまでに自らの流儀」などの表現が見られる。
「孤高」のトップじゃ、みんなきっと困るだろう…悪く言えばコミュニケーション力不足。報道陣に対してそうだと選手に対してもそうだった可能性が高い。それが致命傷となったのではないか?
黒田博樹と新井貴浩が揃っていなくなった今季も、過去4年間と同じ調子だったから、ではないか?わずかの期間でチーム状況が瓦解したのだから、そこにはそれなりの理由がある。
少なくとも報道陣に対してはそうだった。中国新聞が記したように「報道陣に胸襟を開くことは」ないまま表舞台から緒方監督は去って行った。
「キャンプで結果を残した者が四番!」
「じゃあ○○選手が結果を出せば四番ですね」
「そんなことあるわけないだろ」
ある年のキャンプでの若い記者と緒方監督のやりとりだ。
記者は悪気があって言った訳ではない。
頭ごなしに言われた方はもう質問しなくなる。
「カープ記事」に監督談話は欠かせない。しかし、緒方監督の周りにはいつも記者はいない。他球団でよく見る、ベンチで監督が記者に囲まれる風景。カープファンは一度も見たことがないはずだ。
中には緒方監督と話をできる記者もいる。日刊スポーツだ。当然、その記者の書く記事は緒方監督を後押しする内容になる。この記者については他のメディアが広島のマイナス要素のひとつとして紹介している。
だが、その日刊スポーツでさえ辞任会見翌日の紙面(10月2日広島販売分、以下同)ではバティスタのドーピング問題に触れていた。やはり平手打ちの一件は欠落していたが…
サンスポ、九スポではバティスタ問題、平手打ちともに辞任会見記事内に記されていた。
スポーツ報知に至っては、わざわざ「暴力行為発覚」の見出しを取り、やはりバティスタ問題とともに触れていた。ひろスポ!に近いスタンスだ。
中国新聞も会見翌日には一面でバティスタ問題、平手打ちを交えた内容を伝えていた。3日付の「緒方監督辞任5年間の光と影」(下)でも平手打ちに触れ、そのせいでベンチの空気が3連覇した時とは変わった、と指摘している。時を同じくして11連敗したのだから誰が見てもそうだろう。
だがスポニチだけは翌日の一面報道でバティスタ問題、平手打ちの一件についてひと言も触れていない。試しに大阪の紙面も確認したが最終面の記事内ではやはり触れられていなかった。
このことだけ見てもスポニチと緒方監督、あるいはスポニチと広島球団の間に特別な関係が存在する状況が見てとれる。
メディアが取材対象に忖度するとろくないことがないのは、すでに広く国民の知るところとなった。ちょうど今の時期は、かんぽ生命保険の不正問題を報じたNHK側に、NHKの将来を左右する力量を有する側から圧力がかかり、NHKの放送総局長が、のこのこと謝罪文を”権力側”に持ち込んだことが報じられている。
ニュースで「正義」を報じて得意げな?NHKですらこれだから、国民は真実を見抜く目(メディアリテラシー)を養うしかない。
今回のNHKの一件でも分かるとおり、メディアは権力によっていとも簡単にコントロールされる。不都合な真実はみんな、なかったことにされ、時にSNSの力によって白日の下にさらされる。
なお、スポーツ各紙などの緒方監督辞任ニュースの報じ方についての比較記事掲載に至ったのは、ある関係者がひろスタ!特命取材班に直接、問題提起してきたから、である。(ひろスタ!特命取材班)