森下暢仁の視界には、最初から開幕がきっちりとらえられていた…(画像)
2月1日、日南でのキャンプインから開幕に向けその歩みを進めてきた森下暢仁の”地力”は本物だった。マツダスタジアムでの西武との無観客3連戦最終日…
初めてホームグラウンドのマウンドでの実戦に臨んだ広島期待のドラワン右腕は、前日(3月7日)クリス・ジョンソンらから19安打を放った強力打線を5回3安打1四球でゼロに抑えた。しかも空振り三振7つの計8奪三振…「相手を圧倒した」と言っていいだろう。
三塁側ベンチの西武ナインは身を乗り出すようにしてその立ち上がりに注目していた。2月22日のヤクルト戦(沖縄・浦添)で3回1失点。3月1日の中日戦(ナゴヤドーム)で3回無失点。その力量がどれほどのものか?パ・リーグ最強の面々も興味津々…
だが、プレーボールの声と同時に、三塁側ベンチは顔色なし、となった。
その立ち上がり。真っ直ぐが2球続けて高めに浮いた。だが、おそらく本人の意思に反して球筋が乱れたのはこの2球だけのはず。
その証拠にそれ以後、ボール球が2つ以上続いたのは、リードする曾澤の”遊び心”に応じた2度だけだった。
四回、二死一塁で五番の殿崎にカーブを3球続けて全部ボール球になり4球目も抜け球になって四球を与えた。五回には先頭の七番・スパンジェンバーグを変化球2球で追い込み、外に真っすぐ3つ。相手が誘いに乗らずフルカウントになったあと6球目の151キロはファウルになり、7球目のチェンジアップは一番低いところに決まった。空振り三振!
真っ直ぐとカットボール、チェンジアップ、カーブのコンビネーションが抜群だった。初回、二死から森に中前打されて打席には四番の山川。110キロのカーブでストライクを取りボールカウント1-1。3球目の148キロはセンター前に抜けたかと思われたが、菊池涼がスライディングキャッチしてそのままフワリとセカンドにトス。二回にもスパンジェンバーグのゴロが一、二塁間を襲ったが菊池涼が追いつきアウトにしてくれた。
打順2周り目の四回。先頭は二番の源田。第1打席はカーブを打たせて一ゴロだった。この打席は、カットボール、チェンジアップ、真っすぐ、150キロの真っすぐのあとのカットボールでライトフライに仕留めた。
二死一、二塁とこの日、ただ一度だけ得点圏に走者を背負ったこの回、六番・中村への攻めは素晴らしかった。2ストライクと追い込んでファウル、ボール、ボール。ここで少し間を取った。ふた呼吸置いて投じたチェンジアップで中村のバットに空を切らせた。
五回の二死一塁でも似たような場面があった。打席には金子。前の2打席は右飛と空振り三振。ファウル、ファウル、ボールでカウント1-2。森下は2度、一塁にけん制球を投じた。自分の間合いで投じた4球目、ここでも相手のバットに空を切らせた。
外崎の懐を突いた見逃し三振以外の三振は相手が何が来るか予想しきれないまま手を出した感が強い。変化球がどれも際どいところに来るのだから的を絞るのは難しい。
森下の前に2打席とも沈黙した山川は六回の第3打席で二番手・岡田の148キロをバックスクリーンに叩き込んだ。さらに八回には新外国人DJ・ジョンソンの高めの快速球を左中間コンコースの向こうまでかっ飛ばした。
西武打線はやはりすごい迫力だ。初戦の先発だった大瀬良も5回3安打無失点だった。森下もそれに続いたことになる。
森下は日南キャンプ、沖縄キャンプでフリー打撃登板、シート打撃登板…と着々と関門をクリアしてオープン戦に突入した。そして3試合で11回を投げ失点2の10イニングス連続無失点。残るはソフトバンクとの開幕前のオープン戦最終登板だけとなった。
西武・先発の松坂と”投げ合った”この日のマツダスタジアムは、ファンが詰めかけていたならさぞかし盛り上がったことだろう。
開幕に向けて調整を重ねてきた森下の敵は、見通せない今後のスケジュールだけ、ということになりそうだ。(ひろスポ!・田辺一球)
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