画像は大迫敬介
明治安田生命J1リーグ、第3節(7月8日、エディオンスタジアム広島)
開幕から2戦連続の完封勝ちで首位を行くサンフレッチェ広島は大分トリニータとリモートマッチで対戦。前半10分、レアンドロ ペレイラの3試合連続ゴールで先制したが後半40分からの2失点で逆転負けを許した。
大分トリニータ戦先発と選手交代、サブメンバー
先発
GK
大迫敬介
DF
野上結貴(78分井林章)
荒木隼人
佐々木翔
MF
ハイネル(83分茶島雄介)
川辺駿
青山敏弘(78分柴崎晃誠)
浅野雄也(63分藤井智也)
ドウグラス ヴィエイラ
森島司(63分東俊希)
FW
レアンドロ ペレイラ
サブメンバー
林卓人、永井龍
順調過ぎる展開には落とし穴。そんなありがちな90分間を、リーグ戦再開を祝うはずの無観客のエディオンスタジアム広島で演じた。
前半10分、青山敏弘からの強いパスを、絶妙のトラップからのドリブルに持ち込んだレアンドロ ペレイラが力強く決めて1-0。
そのまま後半へ。GK大迫敬介の好守もあって、ゲームの流れを奪われるような展開にはならなかった。後半25分、相手ペナルティエリアに向けて得意のパス回しで圧力をかけ、最後はハイネル。だが、会心のボレーシュートはクロスバーに嫌われた。
互いに選手交代を繰り返し、過密日程の中でも、最後の15分でフレッシュな動きを大事にする。大分トリニータは後半29分に三平和司を、さら38分に高澤優也をピッチに送り込んできた。
高澤優也は完全移籍でザスパクサツ群馬から完全移籍してきた。みんな、それぞれがドラマを背負っている。J1デビュー戦のピッチは、きっとふわふわしたものだっただろう。それでもその2分後、左サイドからのロングフィードに体がうまく反応した。
危険を察知した大迫敬介が前に詰めて腕を伸ばしたが、高澤優也のバックヘッドの方が先だった。無人のゴールにボールは吸い込まれて同点になった。
サンフレッチェ広島の鉄壁の守備に、守護神の一瞬のジャッジの迷いによって小さな穴が開いた。
だが、そこで食い止めれば勝ち点1。大きな勝ち点がまた手に入るはずだった。
ところが時計の針が45分を指した状態で、今度は同じく途中交代の三平和司に決勝ゴールを蹴り込まれた。大迫敬介のアンダースローパスが相手にカットされて、そのまま繋がれて悪夢のような失点となった。その瞬間、大迫敬介はバッタリと前に倒れ込んだ。
「勝ち点0では終わってはいけない試合だったと思う。可能であれば時間を巻き戻したい、そんな試合だった」
試合後の城福浩監督のコメントがすべてを物語っていた。
選手交代枠が広げれらたため、どんどんマークする相手も変わってくる。時間との戦いの中で相手の動きをどう判断してどう守るか。あるいは攻めの気持ちをどうキープするか。そこがバタつくとそれまでのいい展開も台無しになる。指揮官が「時間を巻き戻し」てでも修正しておきたかったことは、今後の戦いの中で確固たるものにするしかない。
歓喜の輪の中にした片野坂知宏監督は、サンフレッチェ広島の第一期生、1994年の第1S優勝メンバーのひとりだ。
当時の広島ビッグアーチのピッチで鍛えたそのメンタリティが、大分トリニータの選手たちに浸透していると考えるなら、この逆転負けも何ら不思議ではない。
この1敗でグラつくようでは、とてもコロナによる特別なシーズンに優勝争いなどできないだろう。
ショッキングな負け方のあと、またすぐに次の試合がやってくる。リモートマッチもやがてサポーターとともに戦う空間へと切り替えられる。スタンドに浮かび上がったSave HIROSHIMA の願いとともに、広島を背負って立つからにはひと時たりとも下を向いている暇はない。(ひろスポ!・田辺一球)
7月8日無観客でのキックオフを待つエディオンスタジアム広島