画像はマツダスタジアムの堂林
7月8日 〇6-3DeNA、マツダスタジアム
通算6勝7敗1分け(首位巨人に3・5差の4位に浮上)
18時開始・3時間26分、無観客
相手先発 濱口5回3分の1、6安打2失点(自責2)
本塁打 堂林3号④
一番レフトピレラ
二番セカンド菊池涼
三番センター西川
四番ライト鈴木
五番ファースト松山
六番キャッチャー曾澤
七番サード堂林
八番ショート田中
九番ピッチャーK・ジョンソン7回109球6安打3失点(自責3)
塹江〇(6試合1勝)※プロ初勝利
菊池保S(5試合1S)※プロ初セーブ
開幕3連戦、その3戦目でサヨナラ負けを喫したDeNA相手に堂林の一振りで逆転勝ちした。負けていればDeNAをまた勢いづかせるところだった。
広島は今季、マツダスタジアム初白星。さらには連敗が4で止まり、7月に入って初勝利…
先発のK・ジョンソンが七回に四球や暴投絡みで2失点。1対3となり、2日連続で雨天中止となったマツダスタジアムにまたじわ~と怪しげな空気が広がりかけた。
が、それを堂林のバックスクリーン弾が”一掃”した。八回、一死満塁、マウンドにはパットン。初球ボールのあと147キロを空振りした。3球目も148キロ。DeNAバッテリーは力で抑えられると判断したのだろう。だが乾いた打球音ととともに飛び出した打球は大きな弧を描くグランドスラムになった。
空振りしたあと、すぐに振幅をコンパクトにした。それが今季の堂林の強みでもある。大きく振り回さなくても、バットのしなりをうまく使えば天性の飛距離がそのまま表現できる。
大切なのは相手投手がどんなタイプであっても、自分の間でバットを振ることだ。左右もオーバースローもサイドスローも、最後には手元にボールはやってくる。
打席で構える自分の方から、これまでは自分の空間を崩していた。外の球に右膝が折れ、上体が前に崩れて空振り三振…。思い切り引っ張ってもショートゴロかサードゴロ。そんな悪循環に終始を打つべく、今の自然に立ち、背筋を伸ばし、重心を高く引き上げた構えからのスイングを固めてきた。
コロナによる長い調整期間を追い風にしたのは間違いない。いい時も悪い時もあったけれでも、マツダスタジアムでの分散練習を経てシート打撃や紅白戦を重ねる間にだんだん打球の質が変わってきた。
今の首脳陣は、その肩書は変わっていてもずっと堂林を見てきた面々だ。その能力をいかに引き出すか?みんなそれぞれ思案してきたはずだ。そして今回、ついに「サード堂林」を解禁した。
サード・堂林は緒方前監督の5シーズンの途中で立ち消えとなっていた。緒方監督の1年目、2015年のサードには梵がいた。木村昇吾もいた。そこに堂林も少し絡んでいた。
翌2016年。ルナが開幕からサードを守った。やがて安部、小窪、堂林…またいつもの混沌とした状態になった。
そこに西川も参戦…安部と西川の競争は2017、2018年まで続いた。
長年、サードを固定できていない広島にとって、11年目の堂林がレギュラーに定着するなら願ったり叶ったり、である。
野村監督の下で全144試合に出場した2012年はサードに固定され29失策、ついでに打つ方では150三振。
だが、今の堂林はもうその時とはぜんぜん違う。2月以降、サードの練習を本格的にやったことはないが、ファーストを主に守っていたから内野の様子は分かっているし、守って打って、走ってが今は全部うまく繋がっている。
長い下積み生活を糧にして、三振か一発か?というような初々しい?バッティングスタイルとも決別した。そこには多くの指導者や仲間たちの助言、手助けもあった。感謝の思いを表現するなら、やはりバットで、が一番だ。
この日、三回にも適時打を放ったことで打率は4割1分5厘引まで上昇した。打撃ベスト10のトップにその名見た関係者はみなさらに応援したい気持ちになったに違いない。(本人は打撃1位など、気にもしていないだろうけども…)(ひろスポ!・田辺一球)