地域と共に、みんなの広島スポーツ交流マガジン

【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア > サンフレッチェ広島 > 広島新サッカースタジアム完成まで「あと357日」、ハード面着々の一方で、キャパ3万人&コンサート等音楽イベント不可で肝心の収益性改善にイエローカード?
2023年01月01日
編集部

広島新サッカースタジアム完成まで「あと357日」、ハード面着々の一方で、キャパ3万人&コンサート等音楽イベント不可で肝心の収益性改善にイエローカード?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
サッカースタジアム
  • 3

    飛翔会

  • 2

    ダグ

  • レッドヘルメット

画像は建設が進む広島の新サッカースタジアム(1月1日撮影)

 

 

ひろスポ!2023年、年明け最初にアップする記事は…

 

 

広島の新サッカースタジアム!

 

 

初日の出を浴びて光り輝く鉄骨群…、建設現場には「スタジアム完成まで無事故・無災害達成 あと357日」カウントボード。ただし2022年12月31日も1月1日も「357日」だったので、お正月休み期間中の残日表示はフィックスか?

 

サッカースタジアム
壁の向こうにかろうじて確認できる「357」

サッカースタジアム
新サッカースタジアム西側はすでに6階まで鉄骨が組まれている

 

いずれにして、Jリーグ誕生のころから30年以上、広島市民・県民・サポーターが待たされるだけ待たされた”夢のピッチ空間“の完成まで、ジャスト1年になった!

 

 

建設工事のロードマップは、2023年12月末のスタジアム完成に向け、2022年2月の着工から全行程の35パーセントまで来た。2022年10月から屋根鉄骨の建方(たてかた=構造部材を現場で組み立てること)も始まり、スタジアム西側(本川河岸沿い、バックスタンド)はすでに6階まで鉄骨が組まれた。北側(すぐ北に基町アパート群)は4階まで、東側(国道54号線側、メーンスタンドで一番高い7階構造)は5階まで、南側(広島グリーンアリーナ向かい側、ホームスタンドになる)は2階まで工事が進んだ。

 

サッカースタジアム
スタジアム北東角から撮影、基町高層アパート駐車場からいかに至近距離にあるかがわかる、右に見える基町アパート第17号棟は2024年までに解体される

 

工程表では今春からは屋根掛けが始まり、夏には天然芝の工事に着手する。ロシアのウクライナ侵攻などの影響で、様々なモノの値段が上がる中、ハード面の整備はけっこう順調に進んでいるようだ。

 

 

そんなハッピーな気分に水を差すことになるが、ひろスポ!は年明け早々から敢えて課題を提示したい。(それこそが既存のマスメディアとは一線を画する、インディペンデントメディアの使命!)新サッカースタジアムの指定管理者になるであろうサンフレッチェ広島と広島市は、国の新たな成長戦略に沿い、その手本となるべく広島の新たな舞台装置のポテンシャルを存分に引き出すことができるだろうか?

 

2022年12月28日の森保一監督「続投」会見。質問時間の中で中国新聞記者がこう尋ねた。

 

 

「広島では今サッカー専用スタジアムが街中で建設が進んでいるんですが、代表戦でこけら落としという声も上がっています。実際に動かれるのは協会の方だと思うのですが、森保監督として広島の新スタジアムで代表戦ということに興味、関心、意欲は?」

 

 

勇気ある超ローカルなこの質問に対して森保一監督はこう答えた。

 

 

「機会があればぜひ、やってみたいと思います。決めていただけるのは私の両方にいる…田嶋会長、反町技術委員長にもお力添えをいただいき実現できればと思います」

 

……

 

W杯カタール大会を2カ月後に控えた2022年9月16日、広島市街地のど真ん中、NTT基町クレドふれあい広場で「11月に開催されるワールドカップサッカーを広島で盛り上げよう!!」プロモーションイベント(広島県サッカー協会主催)が開催された。

 

日本サッカー協会の田嶋幸三会長がイベントに呼ばれ、広島県の湯崎英彦知事、広島市の松井一実市長と同日“広島サッカーサミット”(ひろスポ!命名)が開催された。その中で、森保一監督続投なら、新サッカースタジアムでの代表戦開催を!という3者の思いは一致した。
ひろスポ!関連記事
田嶋会長再びドーハへ経つ前「日本人監督」に言及、その3カ月前に広島のド真ん中で上がった「広島の新サッカースタジアムで森保ジャパン代表戦を!」の声~ひろスポ!は見たポイチの「野心」Ⅵ | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2022年12月11日掲載)

 

森保ジャパンが新サッカースタジアムのピッチに立つことはまず間違いないだろう。ただ第二次森保政権の任期は4年もある。日本サッカー協会はフル代表戦開場のキャパを4万人以上としている。広島新スタジアムは3万人。そのため代表戦をどんどん呼びましょう!とはならない。

ひろスポ!関連記事
日本サッカー協会の田嶋幸三会長、広島サッカーを語る(1)まちなかサッカースタジアムは多くの市民の方が毎日楽しめる、集いの場です | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2019年4月28日掲載)

 

 

「3万人」がベストとしたのはサンフレッチェ広島と広島市。しかしそれで本当に良かったのか?

 

 

古い話にはなるが1994年の広島アジア大会に向け整備された広島ビッグアーチ(現エディオンスタジアム広島)も当初は3万人規模で計画され途中で5万人に引き上げられた。

 

 

キャパにこだわるのは、けっきょく施設運営の収支にそれがモロ跳ね返ってくるからだ。

 

 

あまり知られていないが、新サッカースタジアムでは「いっさい音楽イベント、コンサートの類は行わない」というのが広島市の立場。このことは施設運営面での致命傷になりかねない。音楽イベント可能なキャパ4万人以上、それがベストチョイスだった。

 

 

実際、エディオンスタジアム広島では、ミスチルのコンサートなど年数回の大規模コンサートで、がっつり使用料を確保している。その額はJリーグ開催日の比ではない。桁が違う。

 

 

もともとサンフレッチェ広島も、当時のサンフレッチェ広島森保一監督も、大多数の広島市民もサポーターも、そしてひろスポ!も、新サッカースタジアム建設場所としては「旧広島市民球場跡地」がベストだと主張していた。仮に旧広島市民球場跡地に新スタジアムを建設していれば「音」の問題はほとんど生じなかった。実際、旧広島市民球場での音楽イベントではボリューム上げ上げで盛り上がったし、周辺からの苦情も皆無に近かった。

 

 

だが、建設場所を基町アパート群隣接の中央公園としたたことで「音」の問題から逃れることができなくなった。実際、今も工事現場の騒音レベルを示す計測表示が基町アパート側で稼働している。

 

 

「音」に広島市が敏感なのは、目の前に巨大スタジアムができる、という話に猛反発した基町アパート群の住民たちを説得するために「音は出さない」と言い切ってしまったからだろう。後先考えず、その場逃れでことを進めているとあとで痛い目に遭う。

 

音楽イベントは不可のまま、本当に新サッカースタジアムの良さを最大限引き出すことができるのか?「365日賑わう空間」を実現できるのか?だいたい広島から世界に向けて平和を発信するための舞台装置なのに「音」はなしっておかしくない?

 

 

スポーツ×音楽=世界平和への祈りと活動のはずだが…???

 

 

きっと”みんな”もそう思ったはずだ。その証拠に広島市の「広島サッカースタジアムの指定管理者の公募」(2022年10月7日から12月15日)に応募してきたのはサンフレッチェ広島だけ、だったのではないか?ほかには「うちも手を上げる」という声を聞いたことがない。

 

プロ野球興行だけで年間200万人集客が見込めるマツダスタジアム指定管理者の広島東洋カープの例を新サッカースタジアムにそのまま当てはめることはできない。サンフレッチェ広島の2021年度の売上高は34億5900万円、同じく広島東洋カープは約116億円。コロナ禍の影響をモロに受けての数字ではあるが、3倍近い開きがある。カープのおよそ3分の1の“体力”しかないサンフレッチェ広島が単体で新サッカースタジアムをうまく回していくのは大変なことだ。

 

 

踏んだり蹴ったりのアフター東京五輪パラのメーン施設だった国立競技場について、スポーツ庁は2022年12月28日、その後利用に関する新方針を公表した。民営にしても公費として年間10億円の負担が必要となり「負の遺産」との批判は免れない情勢となっている。

 

 

広島市の「広島サッカースタジアムの指定管理者の公募」の要綱を読めば読むほど、その敷居が高いことが分かる。新サッカースタジアムがその周辺地域、広島都市圏、そして世界に向けて強烈なインパクトを与えるための空間であるからには、それは当然のことであるし、それだけやりがいのある「管理」でもある。

 

 

経済産業省及びスポーツ庁では、まちづくりや地域活性化の核となるスタジアム・アリーナの実現を目指す「スタジアム・アリーナ改革」に取り組んでおり、2025年までに20拠点を実現する!と張り切っている。この「改革」は日本経済にとって極めて重要なスポーツの成長産業化の柱となっている。

 

国が求めているのは、これまでのスポーツ施設(エディオンスタジアム広島もそのひとつ)に対する固定観念・前例主義などに関するマインドチェンジだ。

 

 

こうした新世代のスタジアム・アリーナと、現状の旧世代のそれでは以下の4項目でマインドチェンジが必要になる。

 

 

現状      目指す姿
単機能型 → 多機能型
行政主導 → 民間活力導入
郊外立地 → 街なか立地
低収益性 → 収益性改善

 

 

この中で4項目目の「低収益性 → 収益性改善」ではイエロー、下手をすればレッドカードとなりかねない。広島の取組みには国も、Jリーグも大いに注目している。2月には指定管理者候補者の公表などがあり、4月には基本協定の締結という流れの中で「収益性改善」の明確なビジョンを示すことはできるのだろうか?(ひろスタ特命取材班&田辺一球)

 

参考…広島県サッカー協会HPから「ミカサッカー」番組をクリックすると新サッカースタジアムに関連した最新情報にアクセスできる。
ミカサッカー #21 – YouTube

 

LINEで送る

シェアしてお友達にもこのニュースを教えよう!

ひろスポ!の情報を逃さずチェック!

※SSL暗号化通信で登録します。
※メルマガはいつでも解除出来ます。
  • 6

    レッドヘル

  • 1

    医療法人社団飛翔会

  • 5

    アイフット

  • 4

  • 2

  • 3

有料メルマガ配信案内