画像は新井監督、手前は藤井ヘッドコーチ
連載中の<田辺一球|note>より、アクセス数の多い<カープダイアリー第8550話「新井流、北の大地の風とともに」(2024年3月11日)>記事を引用する。
カープダイアリー第8550話「新井流、北の大地の風とともに」(2024年3月11日)
チームは日本ハム3連戦に備えて空路移動、札幌市内の施設で投手陣の指名練習があった。今季、日本シリーズ対決が実現しない限り北海道遠征は最初で最後となる。
今回の遠征メンバーに森下、アドゥワのほか、島内、栗林、大道の名前もない。シーズンを通じて働いてもらうために、飛ばし過ぎは禁物。今の首脳陣はそういうバランス感覚を大事にしている。
代わりに斉藤優汰、滝田一希のフレッシュなコンビと、5年目の持丸が“里帰り”を果たした。
持丸は北海道第2の人口を有する旭川市の出身。旭川大学高等学校では1年春からベンチ入りして、2年と3年の夏に甲子園の土を踏んだ。
2019年ドラフトでは育成1位指名され、背番号123からスタート。佐々岡監督3年目の2022年、初めて一軍キャンプを経験して6月半ばに支配下登録された。
だが、キャッチャー陣の層は厚い。
3月1日に始まった教育リーグでも思うようにマスクをかぶることができていない。ここまで主力組に食らいついている高木との併用が2試合あった。当然ながら拮抗した力量なら若い方が優先される。左打者というのも考えようによっては不利に映る。
だが、いやだからこそ新井監督は北海道遠征に呼んだのだろう。たくさんの知り合いや関係者にもその姿を見てもらうことで、節目の5年目での飛躍を加速させなさい、と…
滝田一希は札幌市から東へ車でおよそ3時間、150キロ圏内の寿都郡黒松内町出身。小さなコミュニティーから「プロ」という大きな夢を持って、北広島市にある星槎道都大に進んで成長した。母校から直線距離にして1キロもないエスコンフィールド北海道でまた同じ風の匂いを感じることができれば、ますます力が漲るはずだ。
斉藤優汰はとてもオープン戦に登板できるような状態にはないことが想像されるが、そこはドラフト1位の“特権”だろう。ダイヤモンドの原石が輝くためなら、球団側も可能な限りの配慮を惜しまない。
ところで新井監督も“人の子”だ。ふたり兄弟。
ドラフト制度があるから、もちろん思うようにいかない世界だが、しかし兄も弟も同時に阪神のユニホームを着る、という“異常事態”は広島在住の家族にとってはかなり辛いものだった。しかも兄の方は、「裏切者」のレッテルを張られてカープファンから糾弾された。
なぜ兄が泣きながら広島を出て行かなければいけなかったのか、本当の理由を知る者はほんの一部だろうから、罵倒したファンを責めるのもまたお門違い…。悪いのは誰か?正しいことを報じないメディア、だろう。
新井監督が選手の家族や恩師や関係者に配慮したコメントを残すのは、自身が歩んできた道を、それぞれの選手に均等に投影しているから、だ。
新井兄弟のケースでは、ふたりとも“元の鞘に収まる”という落ちになってはいるのだけれど…
新井カープという存在は、北の大地でも温かく、厳しく、そして優しい。
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