サッカースタジアムも旧陸軍被服支廠(画像)もともに市と県と関係者が三位一体で取り組むのが普通…
>都市活性化対策特別委員会での”珍問答”も、そろそろ見飽きてきた感がある。
>次回は松井市長と湯崎知事の仲を掘り下げる。
前回の連載記事の最後にそう記した。
以下が前回記事。
ウイズコロナの広島中央公園サッカースタジアム問題点に迫る(7)
神戸ノエビア参考に本体222億4500万円…のアバウトさと「県知事がお金を出すにあたってちゃんと…と言ってたのに何で?」の市議の声…(2020年9月3日掲載)
hirospo.com/pickup/67931.html
…すると9月4日付、中国新聞1面に絶妙のタイミングで”そのネタ”が掲載された。見出しにこうある。
「被服支廠 強度再調査へ」
「保存費減る可能性」
この記事では、湯崎知事の唐突感満載の発言など以降、大騒動となった被爆建物である旧陸軍被服支廠(広島市南区)の高額とされる耐震費用について、広島県が再調査する方針で、費用が大幅に圧縮される可能性もある、とある。
サッカースタジアム建設費の県市負担割合の問題では、完全に松井市長の手順ミスだった。先にメディアに「折半」案を報じさせ、ぜんぜん了解していない湯崎知事が「白紙」と言い返した。
だが、旧陸軍被服支廠の保存問題は湯崎知事の”自爆”と言っていい。いきなり解体ありきのような発表をして、市民・県民・被爆の実相を大切に思う関係者に驚きと怒りを持って受け止められ、その存在を知らなかった全国、あるいは世界中の人々の注目の的となり、国会でも取り上げられた。
当然、瞬く間に湯崎知事の立場は苦しいものとなった。広島だけのモノサシで事を片付けようとしたのがミスの原因だ。
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50年後、100年後を考えれば当然「リアル」な旧陸軍被服支廠4棟は全保存、危機的状況に県が意見募集へ、突き詰めれば広島サッカースタジアム問題と一緒!
hirospo.com/pickup/61927.html
上記記事は、2019年12月4日の県議会総務委員会で県が所有する3棟のうち2棟を解体する方針を示したのに続いて、12日の県議会委員会で国が所有する残る1棟、4号棟についても県の担当者が「中国財務局に確認したところ、危険防止の観点から多額の費用を要する大規模な改修や耐震化を行うことは困難で、仮に4号棟を解体・撤去することになった場合でも…」などと説明したことを受けてアップした。
上記記事の中で「広島県では、被服支廠解体案への意見募集を12月17日から行うと発表した。きっと”解体反対”の声が沸き上がるだろう」とまとめた。
その通りになった訳だが、そんなことは誰でも分かる。広島と向き合い広島に暮らし、広島と世界を考える者なら誰でも…
市民団体、現地で実際に8・6までとその後を生きた人々、学生、文化人、文化庁、官邸や各党…
旧陸軍被服支廠に向けられる目は多種多様であり、広島市と広島県はそれらをみな大事にする義務を負う。いい加減なことはできない。
そんな中、2019年12月に松井市長が全棟保存の意向を県に要望した。
比較すること自体が適切か不適切かの論議はこの際、脇に置いといて、今、松井市長が湯崎知事に頼み込んでいるスタジアム費用「折半」案の逆バージョンだ。
ただし「保存せよ」という立場の広島市がじゃあいくら負担するか?と言えばそこは県と国の方でしっかり考えて、というスタンスだから、言われた方はもしかしたら怒り心頭かもしれない。
現状では1棟あたりの耐震費用は30億円以上。スタジアム折半案では「44億円」よろしく!と言われ、耐震費用は知らん、ではそりゃ湯崎知事じゃなくても怒るだろう。県議会もそうだ。
湯崎知事や松井市長を”専門にウォッチ”する取材者は複数いる。そんな取材者の間からは、この二つの問題も含めて「最近ろくにトップ会談もしない知事と市長の仲がある時を境にどんどん悪くなっていくのを見てきた」という声が上がっている。
旧陸軍被服支廠は広島の過去と今と未来を繋ぎ、サッカースタジアムは子どもたちの未来のためのかげがえのない財産だ。
両方がことごとく県と市の奏でる不協和音とともに迷走中。こんな残念な記事を、あとどれほど記録していけばよいのだろうか…
ひろスタ特命取材班