地域と共に、みんなの広島スポーツ交流マガジン

【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア > ピックアップ > 湯崎知事、どの口で「見直し」と言ったのか?世界に広島の恥を発信…原爆ドームと並ぶ広島の”命”旧陸軍被服支ぶち壊し暴挙外堀埋まって180度転換へ
2021年02月19日
編集部

湯崎知事、どの口で「見直し」と言ったのか?世界に広島の恥を発信…原爆ドームと並ぶ広島の”命”旧陸軍被服支ぶち壊し暴挙外堀埋まって180度転換へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
旧陸軍被服支廠
  • 3

    飛翔会

  • 2

    ダグ

  • レッドヘルメット

画像からも旧陸軍被服支廠のスケールがイメージできる、そのスケールが100年後の世界に大切なことを伝える…

湯崎知事、どの口で「見直し」と言ったのか?世界に広島の恥を発信…原爆ドームと並ぶ広島の”命”旧陸軍被服支ぶち壊し暴挙、外堀埋まって180度転換へ

……

広島県の湯崎知事は2月18日、県議会の代表質問に答える形で旧陸軍被服支廠に関して「見直し」という語句を使って、自らが先頭に立って進めてきた同施設の解体作業を180度転換した。

湯崎知事の180度転換方式は今に始まったことではないが、広島県にとっての最重要課題においてことごとく「見直し」なので、県民にはそのたびに不要な負荷がかかる。関係者も振り回される。「見直し」はやむを得ない場合だけ、でないとみんなが困るのである。

2015年7月…湯崎知事は当時のに広島商工会議所・深山会頭、松井市長と新サッカースタジアム建設候補地を広島みなと公園としながら、国からストップをかけられ、水面下で中央公園に変更。この件では未だに事実を明らかにしていない。おかげで現在の新サッカースタジアムは南北軸が”キツキツ”の、極めて使い勝手の悪いものにならざるを得なくなりつつある。ツケを払わされるのは県民だ。

2020年4月…全国民に一律給付された10万円について、県職員分を県の財源に充てる考えを口にして即、撤回。全国に恥じを晒す形に…

2021年1・2月…広島市民80万人対象のPCR検査を発表したのち「保留」として8000人試行に変更。きょう2月19日から広島市中区の旧広島市民球場跡地で始まったPCR検査の市民からの反応はさっぱりで、さっそく中区一部地区住民対象としていたものを中区全域に変更した、付け焼刃でやるから常にバタバタだ。

 

旧陸軍被服支廠解体も「80万人対象PCR検査」同様、湯崎知事が率先して進めようとしたものだ。だが、2019年12月、広島県が解体案を発表した直後から広島県民はもとより、全国的にも、さらに海外からも注目(英国BBC放送も素早く反応、それほどの価値があるからだ)され、一気に湯崎知事にとっての雲行きが怪しくなった。

湯崎知事は当初、国や広島市とは十分に話し合った末の結論であり、解体の最大の理由は「多額の費用」「1棟を耐震化するだけで33億円かかる」という見解を示していた。建物は国の1棟を含めて4棟ある。

世界的に見ても大切なのはこの4棟、というスケールだ。1棟欠けても意味がなくなる。

そのスケールで過去の日本は自ら戦禍に飛び込み、そして被爆した。旧陸軍被服支廠も筆舌に尽くしがたい被爆者の地獄絵図を記録に止めている。旧陸軍被服支廠は人々の誇りでもあり、戦火の中の負の記憶でもあり、そしてヒロシマを100年先にも伝えていくおそらく世界遺産に匹敵する空間である。

※旧陸軍被服支廠の存在がどういうものだったか?についてはひろスポ!関連記事参照

それを解体?ありえないだろう。

次々と沸き上がる解体反対の声に抗い切れなくなった湯崎知事が発した言葉も、またしてもとんでもないものだった。

2020年9月4日、県が実施した旧陸軍被服支廠の耐震調査について「はしょった形で説明した」と言い放ったのである。

サッカースタジアムの広島みなと公園案がとん挫した際にはうまく責任を回避した湯崎知事だが、さすがにこのケースでは説明せざるを得ない状況となった。それにしても「はしょった」はあまりにも稚拙な言い訳だろう。

素直に自らの過ちを認めないから、こうしてネット上にその言動が残されることになる。

今回の湯崎知事の発言では「有識者から国の重要文化財級の価値があると示され、解体を遡上に乗せるのは現段階では適当でない」というものがある。

「有識者」に指摘されないと、そんなことも分からない?

ひろスポ!では県の「解体」宣言を受け、即座に次のような記事をアップした。

 

50年後、100年後を考えれば当然「リアル」な旧陸軍被服支廠4棟は全保存、危機的状況に県が意見募集へ、突き詰めれば広島サッカースタジアム問題と一緒! | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2019年12月17日掲載)

 

このタイミングでひろスポ!には以下、読者からの県の姿勢を批判する「レポート」も届いている。

許可をいただいたのでそのまま掲載させていただく。

以上、広スタ特命取材班&田辺一球

 

旧被服支廠の全棟保存は我々世代の絶対的責務!

まずもって、この三棟に関する起案先であり、パブリックコメントの応募先が広島県の財産管理課県有地販売促進グループであることに驚きを禁じ得ない。このパブリックコメントの応募先が県有地を販売するセクションとは大いに違和感がある!

パブリックコメント募集の表題「旧被服支廠に係る安全対策方針」、もしもの時に備えて周辺の安全確保のため解体します、それについてのご意見ください、とも取れる。そこにはこの建物の建築的価値、被爆建物としての重要性に考えが至っていないと断ぜざるを得ない。

云うならば、県営住宅が老朽化しました、危ないので居住者に出て行ってもらい、更地にして大手デベロッパーに売却、マンションでも建ててもらいましょう、という発想ではないか。

2棟解体、1棟は外観保存、これは三棟解体と同義語ではないか、残すとする1棟の建物の外観を見て回ってそれがどれほどのものか?むしろ三棟を未来永劫にわたって有効利用する方向性が出されてしかるべき。バーチャルリアリティなどは「本物」の持つ訴求力の強さを敢えて無視する、全くのまやかしである。

今回の県の提案は「保存」という意図はほとんどなく、建物の劣化、耐震性を強調することにより、世論を「解体止む無し」の方向にミスリードしようとしている。ならば、戦後75年、この建物の保守管理のためどれほどのことを行ってきたのか?言葉は悪いが「ほったらかし」、行政の不作為を厳しく問いたい。

淡路大震災、東日本大震災…、この30年間、大規模地震が日本各地で頻発している。この建物の持つ歴史的価値に行政として思いが至っておれば、その時期から耐震措置など施してしかるべきだったのではないか。

この期に及んで外観保存、耐震化に係るとする大きな数字(金額)を出すことで、これまた「解体止む無し」の作意が透けて見える、まさに行政の不誠実さの証明にもなろう。
この数字について外部のコンサルタント会社の試算という事だが、この会社名を明らかにし、積算根拠も公表すべきであろう。さらには一社だけではなく、複数社に調査を依頼すべきであろう。

旧被服支廠がなぜ全棟残されるべきか

これは幸か不幸か行政の不作為により、被爆当時のまま残っている、まさに大規模な被爆建物であるからである。

爆心地近くの原爆ドーム、これは被爆の象徴として、非核を訴えるシンボルとして世界に知られているところである。しかし、風雨にさらされることにより、ドーム状の鉄骨部分などが防錆塗装された他、あらゆるところが補強されている。云うならばお化粧を施されたものであり、私たちが中学生の頃は中に入ることが出来たが、今は周りを鉄柵で囲われ近づくことが出来ない。

しかし、被服支廠は内部に入ることが出来るし、有効利用が十分考えられる。そして外観部分の鉄扉など爆風でねじ曲がった状況などは原子爆弾のすさまじさを実感するに十分である。

パリのオルセー美術館。いまやルーブルと並ぶ観光名所である。1900年の万博時にできた駅舎である。使い勝手の悪さから、駅舎としての機能は早い段階で終えていた。一時期には解体の話があったようだが、現在はその外観部分と共に見事に有効利用されている。

被服支廠は多くの被爆者が収容され、残念ながらここで息絶え、傍で荼毘に付された。このことは峠三吉の原爆詩集「倉庫の記録」に克明に描写されている。

利用方法としてはこの峠の「倉庫の記録」を壁面に筆で書いて掲示することも考えられるだろう。なにより、資料館とは違った視点での、例えば被爆当時を描いた絵画、彫像類の展示など「ヒロシマ美術館(仮称)」(かってエルミタージュ美術館誘致の動きがあった)、ホテル(師範学校の寮として使われたことも…)、コンサート会場、サークル活動の拠点とするなど、その利用法は無限にあるだろう。

わたしは建築には全くの門外漢であるが、この建物は日本に現存する最も古い鉄筋コンクリートの建造物であり、その建築方法は初期の鉄筋コンクリート造りの遺構としても極めて価値の高いものだと言われている。その傾斜屋根の技術の先進性は世界的に通用するものとも。

レンガ作りの、世界遺産になっている「富岡製糸場」は1872年の創建。世界遺産指定以降多くの観光客を集めている。

今回の県の提案には、被爆遺構としてのスケールの大きさや建築的価値での言及・アプローチがない、というかあえて避けている。新聞などによると文化的側面から検討されていないという。それは外形的な「体」だけ見て、「心」を見ていないことに等しいことだ。

なぜ4棟保存が必要なのか?

航空写真などでみるこのL字の壮大なスケールは我々に迫ってくる。一辺が100m、総面積は2万1700平方メートルの巨大な被爆遺構である。

これまで、多くの被爆建物が時代と共に消えていっている。そこに新たに建った建物が申し訳程度に被爆部分を切り取り、壁面などにはめ込んで「残して」いる。赤十字病院、キリンビアホール、そして旧帝国銀行のアンデルセン…、被爆遺構のパンフレットに載っていても、多くの人は素通りしているのが現状だろう。

恐らく、完全な形で残る最後の、しかもスケールの大きいこの「被服支廠」を残すことこそ、後世に被爆の実相を知らしめる重要な「証人」となるだろう。

いまの県の提案ではまさに申し訳程度(残す)の延長線上であり、「証人」の役割は果たせない。

原爆で破壊された浦上天主堂の写真を観てみよう。爆心地から500mのところにあった浦上天主堂は高さ25mの双塔の鐘楼を持つ「東洋一の大聖堂」と言われていたが、
1945年8月9日、一瞬にして倒壊した。

今保存されていれば、原爆ドーム同様、「世界遺産」に指定されていただろう。昨年、ローマ教皇が長崎、広島を訪れたが、現存されていれば、その場で教皇が平和のメッセージを発信したことは想像に難くない。

「原爆の恐ろしさを伝える歴史的資源」として保存の動きが市議会などを中心にあったが、保存派だった当時の市長が解体撤去の方針に傾き、保存の願いもむなしく1958年解体撤去された。

現在、長崎では被爆の実相を伝える「被爆遺構」が少ないと言われている。 被爆遺構に関わらず、文化的価値のあるもの、平和の象徴として後世に残すべきものはその時代に生きるものの使命であり、その決断をする為政者の責任は重い。

バーミアン古代遺跡群の中の大仏石像2体が平山郁夫さんなどの美術家のみならず世界中からの声を無視してターリバーンによって破壊された。今またトランプ大統領がイランの文化施設への攻撃を示唆している。

私は3年前、陸前高田の震災被災地を訪れた。そして、そこに立つ一本松の前に佇んだ。残ったのはこの一本だけだが、ここに7万本もの松林があったことを想起させてくれ、思わず涙ぐんだ。

保存費用について、提案では外観保存5億円、耐震化28億円の試算を示している。いわば、これをどうするんだ!と。

しかし、私は問いたい。何ら事実関係の解明もなされることなく二葉山トンネルの事業費が87億円も増額され県議会で可決成立したことを…、何故に賛成したかについて賛成会派は「事業の継続性」、それはないでしょう!

僅か1.4キロのトンネル工事費用。このトンネルがもたらす効果は10分かそこらの時間短縮でしかないではないか?しかもモータリゼーションの大転換が目前に迫り、迫り来る少子高齢化…、100年先と言わず50年先にはトンネルそのものが閉鎖になっていることも十分考えられる。

費用問題は当然のことながら県が中心になり、広島市も協力する形を作る、そこでは単に予算措置だけではなく、クラウドファンディングなども一つの選択肢にしながら、世界中から募金を募る、そのような手法も考えられるべきだろう。

この県の提案が出て以降、広島市長は「全棟保存」地元選出の国会議員も「100年先を見据えて…」、今朝(1/8)の新聞にはパブリックコメントが700件をを超えているという。こうした県民・市民の関心の高まりの中で2月結論出すとの当初の方針は撤回すべきである。

行政当局は未来への豊かな創造性を持って欲しい!

今年は被爆75年という節目の年である。その年に「解体」の結論に導けば、日本のみならず世界から被爆地広島を見る目も変わって来るだろう。

浦上天主堂の例を引くまでもないが、解体してしまえば「覆水盆不帰」であることを行政当局は肝に銘じて頂きたい。

……

その他、旧陸軍被服支廠関連記事
スタジアムも旧陸軍被服支廠も広島100年の視点が必要、「広島県はその建築的価値、被爆建物としての重要性に考えが至っていないと断ぜざるを得ない」 | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年1月14日掲載)

新サッカースタジアム「広島みなと公園案」誤魔化した湯崎知事、また南区旧陸軍被服支廠問題で国内外から注目されることに…広島になぜ巨大な「廠」が誕生したのか? | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年1月18日掲載)

旧陸軍被服支廠解体に一端「待った!」だからいわんこっちゃない!サッカースタジアム問題で県民振り回した湯崎知事またイエローカード! | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年1月25日掲載)

旧被服支廠「解体」断念に向けてキャンペーン展開を!湯崎知事の父・稔さんは爆心地周辺の復元運動を中心になって行った気鋭の社会学者だった | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年1月39日掲載)

湯崎知事は「惜しい!」どころの騒ぎではなくなった、広島県ワーストを報じられ、コロナで難題山積スタジアム問題、高校生パソコン購入や県職員10万円負担案… | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年5月15日掲載)

コロナと広島県職員への国給付10万円と湯崎知事と大阪府吉村知事、広島みなと公園スタジアムと菅官房長官と旧陸軍被服支廠と… | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年4月22日掲載)

週刊文春デジタルの「知事たちの通信簿」、広島県湯崎知事の「△」に「×」の声多数、舟入危機招いた広島市松井市長は”評価に値しない” | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年5月5日掲載)

湯崎知事の言う被服支廠保存「多額費用」一夜にして?90億円プライスダウン、4棟保存計44億円ならスタジアム建設費用折半案と一緒の不思議…ウイズコロナの広島中央公園サカスタ問題点に迫る(9) | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年9月5日掲載)

湯崎知事と松井市長が平和都市で奏でる究極の不協和音、片や「44億円折半」案、片や額には触れない1棟30億円超の旧陸軍被服支廠…ウイズコロナの広島中央公園サッカースタジアム問題点に迫る(8) | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年9月14日掲載)

旧陸軍被服支廠だけじゃない、兵器支廠も糧秣支廠もマツダスタジアムから”延びている”宇品線もセットで残したい、真珠湾攻撃から71年目の12月7日に思うこと | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年12月8日掲載)

広島サッカースタジアムや旧陸軍被服支廠問題で歩み寄らぬ湯崎知事にネット上でも厳しい声、松井市長は2014年大規模土砂災害に続く「大規模災害級」コロナ禍に市民を晒す | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2020年12月31日掲載)

広島市PCR検査80万人の衝撃、後手に回った湯崎知事と松井市長、一方宮崎は無観客キャンプへ、ならばせめてマツダスタジアムPCR検査臨時センターを開設しては? | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2021年1月15日掲載)

広島県湯崎知事、サッカースタジアム&コロナ責任追求記事アクセス集中、無策のまま流川・薬研堀地区も呉市、尾道市、福山市、三次市歓楽街もますます窮地…次は広島そごうか… | 【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア (hirospo.com)
(2021年2月14日掲載)

LINEで送る

シェアしてお友達にもこのニュースを教えよう!

ひろスポ!の情報を逃さずチェック!

※SSL暗号化通信で登録します。
※メルマガはいつでも解除出来ます。
  • 6

    レッドヘル

  • 1

    医療法人社団飛翔会

  • 5

    アイフット

  • 4

  • 2

  • 3

関連記事RELATED ENTRY

有料メルマガ配信案内