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2021年04月01日
編集部

広島の新サッカースタジアム、マツダスタに並ぶ年間220万人目指すそのデザインなど評価詳細から見えてくる風景…

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サッカースタジアム
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    飛翔会

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    ダグ

  • レッドヘルメット

画像は松井市長(右)に答申する選定審議会の古谷会長

 

旧広島市民球場跡地でのスタジアム建設を望むサポーターの声が最高潮に達したのは、2015年11月22日だった。

 

サンフレッチェ広島はホームでJ1第2ステージ優勝、年間勝ち点1位、J新記録の勝ち点74のトリプルVを決めた。歓喜するエディオンスタジアム広島のスタンドには3万人のサポーター。そして「サッカースタジアムは市民球場跡地」の横断幕が掲げられた。

 

森保サンフレッチェ快進撃…まだ佐藤寿人も千葉和彦もミキッチもみんないた。みんな「スタジアム早期建設を!」と願い、声を上げ、クラブワールドカップで「広島」の存在をアピールした。

しかし新サッカースタジアムを巡る状況は二転三転した。広島みなと公園を「優位」(湯崎知事と松井市長)とする流れに抗い、サポーターの声や市民の声を受けたサンフレッチェ広島の久保允誉会長が「独自プラン」を発表。

 

広島みなと公園案は国からレッドカードを突きつけられて頓挫。しかし湯崎知事と松井市長は広島みなと公園と並列の候補地となっていた旧広島市民球場跡地への建設を避け、第3の候補地として一度は候補地から外された中央公園を再び最優先候補地とした。

 

すぐに基町高層アパート住民らから猛反発の声が上がり、また空転する時間が必要になった。

 

そして、コロナ禍の一番厳しい状況にあって、今回ついに新サッカースタジアムの設計と建設を担う共同企業体が決まった。

 

その経緯を将来のためにもここにまとめる。

 

 

共同企業体の案を「選定」する広島市サッカースタジアム整備等事業者選定審議会。審議会は委員10人以内をもって組織され、委員は学識経験者その他市長が必要と認める者のうちから、市長が任命した。

 

 

広島市が選定した委員は次のとおり。(  )は分野

 

会 長 (建築設計)  古谷誠章  早稲田大学創造理工学部建築学科 教授
副会長(まちづくり)渡邉一成  福山市立大学都市経営学部 教授
委 員 (建築設計)  小野田泰明 東北大学大学院工学研究科 教授
委 員 (建築構造)  竹内徹    東京工業大学環境・社会理工学院 教授
委 員 (建築環境)  金田一清香  広島大学大学院先進理工系科学研究科准教授
委 員 (ランドスケープ)舟引敏明  宮城大学事業構想学群 教授
委 員 (サッカー関係)佐藤仁司     公益社団法人日本プロサッカーリーグクラブ
経営本部クラブライセンス事務局スタジアム推進役
委 員 (財 務)    桂田隆行  ※ 株式会社日本政策投資銀行
※第4回の審議会より新たに委員として参加。

 

広島市は2019年10月と12月に「サッカースタジアムについての意見を聴く会」を2度開催した。委員は15名。

 

広島市長、広島県知事、広島商工会議所会頭の3者は2018年5月に「サッカースタジアム建設の基本方針」を策定。この基本方針を基に、2019年度中に基本計画を策定するにあたり、県民・市民をはじめ幅広く意見を聴きながら進めていくため、その一環として有識者等からの意見を幅広く聴くために広島市がこの「意見を聴く会」を持った。

 

そこで出された意見や提案は非常に具体的で有用なものばかりだった。その詳細について、地元メディアはほとんど報じなかったのでひろスポ!ではまとめておいた。

 

この「意見を聴く会」のメンバーと選定審議会のメンバーで重複しているのは2名。

 

広島に新サッカースタジアムを!の声が上がって以来、様々な形でそこに携わってきたJリーグ“代表”の佐藤仁司 氏と途中から参加した桂田隆行氏。両氏の「意見を聴く会」での数々の発言は特に傾聴に値するものが多く、逆に言えば「今の広島にないもの、不足しているもの、広島が苦手とするもの」をよく把握しているであろうことが見て取れた。

 

審議会をまとめる古谷誠章会長はカープが旧広島市民球場跡地を本拠地として広島空港が観音地区にあった時期に8年ほど広島で暮らしていたという。

 

4つの共同企業体のプレゼンと提出された提案を委員7人で公開された評価基準にのっとり採点。誰が何点つけたかを分かるようにして、評価が分かれていればその背景を探るなど互いの意見も擦り合わせるなどして、最終的には全員の平均点で100点中87・278点だった大成建設中国支店らの共同企業体が優先交渉権者に決まった。

 

バラエティに富んだ委員構成ゆえに多様な価値観で評価。当然、評価が割れることもあったが、総合的にはどの分野でも一段階高い評価を集めた“圧勝”だった。次点とは7・958点の開きがあった。

 

「基本的にはすべての面で完成度が高いんですね。そして検討が子細、詳細に渡っていまして、Jリーグを始めとするサッカーの興行に対して非常に緻密に計算されている、それが結果として提案の完成度を生み出していました。広場とスタジアムを繋ぐアクセスゾーンと(提案者は)言われていましたけど、そこにスパイラル型の広場、あるいはだんだん型の緑のテラス、そしてサンフレタウンと呼ばれる仕掛けなど、盛りだくさんでサッカーのない日も大いなる賑わいを誘発できるかなという感じがいたします」(古谷会長)

 

スタジアム本体一番の特徴はスタジアムが閉じず、四隅がVカットされていること。これにより場内の雰囲気が周辺へこぼれだし、場内にいれば広島の都心の雰囲気を感じ取れる。

 

一方で残る3共同企業体の案の中にも優れたものもあった。そのため「もうちょっと工夫すればもっとよくなる」(古谷会長)ということで今後の検討課題も担当者には伝えられた。

 

そのひとつ目はスタジアム屋根が特徴的なため、その屋根形状が丹下健三の平和の軸線に沿って存在する今の広島の建築、都市景観形成とうまく調和するかどうかということ。もう一点はスタジアム本体部分と「パークPFI」が行われる広場の繋がりをさらに「融合」できないか、ということだった。

 

またマツダスタジアムを設計した環境デザイン研究所(東京都港区)がこの共同企業体に参画していること、また事業主体の広島市と広島県、広島商工会議所、サンフレッチェ広島の4者はマツダスタジアムの集客数を参考に年間の集客目標を220万人としていることについて、古谷会長は次のようにコメントした。

 

「明らかに最良のプランが選ばれており、これで達成できなかればほかじゃ達成できないな、という手ごたえがあります。そしてマツダスタジアムとあるところでは共通性があり、当然ですけどサッカーと野球では観戦スタイルが違うのでそのへんをさらに盛り込んでいただくと面白いサッカーの観戦環境ができてくるかな、と。これまでスタンドで見続けることが主流だったサッカーですが、アメリカでは多様な楽しみ方も増えていることなどもご研究なさってたので、そういうものが活かされたシートバリエーションも生まれてくるなという期待感があります」

 

「ひとつの街の野球、サッカースタジアムの両方を手掛ける大建築家ですけども、それは非常に大きな特徴になると思います。それぞれが個性を持って別のものであっても構わないのですけど、マツダスタジアムのことを十分ご存じの設計者が、競技が変わりロケーション少し変わって街のまんまん中で公園に隣接してという中で、どうやってマツダスタジアムとは違う“ひと味”を工夫してくださるか?共通してればこそ可能という風に考えられます。一方で観戦スタイルの違いはもう少し煮詰めていっていただければと思います」

 

最後にひろスポ!では古谷会長に個別の質問にも答えてもらった。

 

-今回の4企業体の案では徒歩以外のアクセス、自転車、あるいは関係者などの車両の動線についてのものがありませんでした。マツダスタジアムは供用開始から13年目ですが、いっこうに試合後の周辺道路の渋滞は解消されず、1、2時間を要してもまだ道路は渋滞しています。

 

古谷 車に関しては街中ですから自ずと限界がありますよね。それに将来的な交通体系も考える必要があります。自転車は歩行者の動線と共通する部分もあるでしょう。

 

-確かに街の中心部には車を乗り入れないなど、欧州などの現状を考えればそういう発想になるでしょうね。ただし関係車両、選手バスなどに対する万全の配慮は必要だと感じます。国際大会も開催します。それと敷地の関係から南北の余裕がなく、パツンパツンになっています。他ではほとんど見られない状況だと思いますが…

 

古谷 ゲームやイベント開催日と試合などのない日、ふたつのモードがあるわけですが、Jリーグの規定にも合致していて、南側ホームスタンドの観戦環境も優れたものになっていましたね。

 

なお、今回、応募のあった4共同企業体についてはプレゼンテーションのあとのメディアの取材は許可されず、委員への個別の取材も不可とされた。

また採点のための審議会も非公開となった。

その分、古谷会長へ最後の共同会見では各メディアに質問の機会が許され、また古谷会長もできる限り応答していた。

以上、広スタ特命取材班

 

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